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(読者の声1)最近、三菱銀行とUFJの合併、三共製薬と第一製薬の合併など、規模の巨大な合併がブームです。有史以来の現象かも。昔、それも二十年ほど前ですが、先生は『M&Aの研究』をだされましたよね。あれを拝読した時の衝撃を思い出しながら、現在のM&Aブームとの違いについて教えて頂けませんか?
(EU生、横浜)
(宮崎正弘のコメント)拙著『M&Aの研究』(エムジー出版、絶版)は、当時まさしく企業買収合併の分野で先駆け的役割を担った本と自負しています。米国並みの敵対的企業買収がブームになり、応戦側も法務テクニックが必要だとして、十数例をあげ、その手口も並べました。
小糸製作所に電撃的買収をかけたブーン・ピケンズにも小生は二回、インタビューをしております。また米国の巨大買収の例、その背景にある乗っ取り屋たちのことも詳述しました。続編は『ウォール街 凄腕の男たち』(世界文化社)です。
さて、現在のM&Aの多くは2006年商法改正を睨んだものです。
これはご承知のように時価発行総額の大きい企業(とくに欧米企業)が、「株式交換」という手口で規模の小さな企業をいとも簡単に買収できます。たとえばファイザーは武田薬品の四倍の時価発行、シティは三菱の五倍近い時価発行を誇ります。株式交換ですと、現金を必要とせず、(弁護士への手数料は天文学的ですが)市場シェア拡大が可能となります。日本企業はどんなに大手であれ、おそらく防戦に廻ることになり、防衛措置のためにも定款改定、新視点からの株主総会対策、国際法務対策が必要です。
もちろん日本の経済界は、防戦準備にはいりました。その現れが三菱・UFJ、三共・第一製薬などの現象として出てきています。法律で最後まで保護された製薬業界が、目下、最大のターゲット、次は金融業界です。
これらは欧米の禿げたかファンドのみならず、欧米多国籍企業が中心ですが、カネをもった中国系も日本上陸をM&Aの戦術行使で果たせることになります。ですから先の産経フジ支配をねらった「日本放送」と「ほりえもん」も、好き嫌いは別として、国際的常識としてのビジネスの先駆けを示していることになります。
◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/