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職場から :身近なところがますます危なくなる日本 (SENKI)
http://www.asyura2.com/0411/hasan38/msg/1081.html
投稿者 愚民党 日時 2005 年 2 月 20 日 06:26:47: ogcGl0q1DMbpk
 

職場から

身近なところがますます危なくなる日本

http://www.bund.org/culture/20050225-1.htm


火災はいつ起こるかわからない防火対策は真剣に

龍野元気

 昨年12月にドン・キホーテ数件で死者を出す火災が発生した。放火だったようだが、時折ドン・キホーテに買い物に行き、消防に関する仕事をしている私としては非常に気になる火災である。3年前に新宿歌舞伎町のビルで44人の死者を出した火災以降、消防法の改正が行われた。建物の防火管理に対する法律が厳しくなったほか、火災報知器を付けなければいけない建物の基準が拡大され、防火対象物点検資格者制度などが確立された。これは避難経路などが確保されているかを点検する資格制度である。

 私は仕事の関係で、建物の防火管理者や消防署の職員などと話をすることが多い。その際防火管理者や建物のオーナーなどに対しての火災予防に関する義務が厳しくなっているにも関わらず、まだ他人事のような話をよく聞かされる。

 例えば、ある百貨店の店長などは階段に荷物を多数置いているのはいけないと答えていたのだが、実際に現場を見ると階段の半分位にダンボールが積み重ねてあった。「どうなってんだこれは」等と彼は言っていた。

 飲み屋などになるともっとひどい。いざというときに使わなくてはならない非常階段に、避難することが出来ない位荷物が積み重ねてあるのはザラにある。状況としてはドン・キホーテの圧縮陳列よりもずっとひどかったりする場合もある。

 ここで考えなければいけないのは、百貨店や飲み屋などで火災が起きた際に被害に会う可能性が高いのは誰なのかということである。実際には店などの勝手が良く分からない客なのだ。非常のときにどこに逃げればよいかなどは、初めての店であれば、誰もが標識があったとしても見つけられなくなってしまう。パニックになってしまうのだ。突然の火災でパニックになってしまうのは、何ら不思議ではない。

 実は、かく言う消防関係の仕事をしている私も、数年前にちょっとしたボヤを起こしたことがある。部屋にあるストーブの上に紙切れが一枚落ちたことにより、燃え広がったのだ。幸い火はすぐに消すことが出来たので良かったのだが、火について関心があるわたしでも、一瞬火の消し方を忘れそうになった。

 火災の際に一番パニックになる可能性が高い客に対して、防火管理の責任がある店舗側がしっかり避難経路を確保するなどしておかなければ、いざというときに犠牲者が出てもおかしくないのだ。

 過去の火災の例から考える  ホテルなどの宿泊施設では、1982年に東京赤坂のホテルニュージャパンで多くの死傷者を出す火災があったのが有名だ。イギリス人男性が泊まっていた部屋から火事が発生し、防災設備が機能せず火はまたたく間に燃え広がった。従業員による避難誘導もなかったため、死者33名・重軽傷者34名(内消防隊員7名)の大惨事となってしまった。このホテルはスプリンクラーもまともに設置されておらず、防火扉は作動しない、自動火災報知器はスイッチが切られていて動作せず、非常放送設備は故障し使用できないという有様だった。  

 もちろん今ではホテルの場合、防火管理に対しての規制が厳しくなったこともあり、私が点検に行く現場なども大きいホテルである程管理がきちんとされている。  

 デパートでの火災の例では、1973年に熊本の太陽デパートで合計104人の死者を出す事故などが起こったこともある。だが人は過去のことはすぐに忘れてしまう。それで防火管理者がまるで他人事のようなことを言ったりするのだ。ドン・キホーテの火災では、放火による火災であったということを差し引いても、店舗の責任者の防火管理意識がどうだったかは問題である。そこにあったのは、「火災はいつ起こるかわからないから、いつ起こるかわからないことは優先しなくてもよい」という意識だったのではないか。ドン・キホーテの社員が避難口に物品が放置されていることを責任者に対して指摘したときに、責任者が「どうでもいいこと」と言ったのが報道されている。めったに起こらない防災に関することは無視して、圧縮陳列などの、商品陳列の見た目をどうするかの方が優先されていたのだ。  

 今回のような火災を繰り返さないためには、防火管理者や利用者もが、防火の観点から店舗を見るように考えてもらいたい。店舗の責任者はいざというときに、どのように避難したらよいかが分かりやすいか、利用者は防災対策がきちんと採られている店かどうかを考えてもらいたいのだ。  

 ちなみに火災発生の統計で出火原因の第1位は放火である。火災対策では放火されにくいように警備員を置いたりするなどがあるが、放火されたときに犠牲者を出さないようにするにはどうしたらよいかは努力次第で成果が出ることなのだ。   

 消防設備関係の仕事をしている私としては、防火管理者などが万が一のときに設備を有効に使えてこそ仕事のやりがいがあるといえる。火災が起きて犠牲者が出るということは消防関係者としては切ない気持ちになるのだ。    

(消防設備士)


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住民票は原則公開 一人歩きする個人情報

柊真南風

 ある日、全く身に覚えのないところからDM(ダイレクトメール)が送られてきた経験は誰にでもあるだろう。子どもが来年小学校入学、高校受験などとなると、学習教材の売り込みのためのDMが送られてくる。一体どこで名簿を手に入れたのか?

 先日、私の働く市民課の窓口で「市役所は誰にでも住民票を見せるのか」と聞かれた。「いえ、そんなことはありません。理由が正当でない限り住民票の発行には応じていませんが」と答えると、1枚の葉書を出して「じゃあ、これはなんですか」と言う。

 葉書を見ると「市役所の住民基本台帳を閲覧し、送付させていただきました。不当な手段によるものではありません」と書かれていた。

 「企業のDMが正当な理由だというのですか?その台帳から私の名前を消してください」このあと、同じような苦情が3件ほど続いた。

 じつはこの葉書に書かれていたとおり、企業はDMを送る目的で住民基本台帳の閲覧をすることができる。住民基本台帳法第11条に「住民基本台帳の一部(氏名、生年月日、性別、住所)の写しについて、何人も(だれでも)市町村長に閲覧を請求することができる」とあるのだ。但し書きがあり「不当な目的によることが明らかなとき、又は、知り得た事項を不当な目的に使用されるおそれがあること、その他の請求を拒むに足りる理由があると認めるときは、請求を拒むことができる」とされてはいる。しかし、運用上民間企業のDMは正当な理由とされるし、NHKの世論調査や学術調査、マーケティング調査等にも利用されている。

 私も市民課に異動して、企業がDM目的で閲覧しているのを知った時、「私のは見せないで欲しい」と心底思った。NTTの電話帳にも電話番号を載せないようにしているのに、市民の生活や安全を守るはずの市役所が、本人に断りもなく住民票を見せているなんて思いもよらなかった。住民登録の事務に携わっている全国の市町村職員も、この大量閲覧がいいと思っているわけではない。住民登録や戸籍事務を扱う職員で構成する全国戸籍事務協議会では、DM目的の閲覧を制限するように国に再三働きかけている。

 国が世論調査・学術調査・市場調査など各種統計調査目的での住民基本台帳の閲覧は、調査の精度を高めるための基礎データの整備をする上で必要として、法律の改正にふみきらないのだ。企業側からは、弱小ベンチャー企業や新規参入のための顧客開拓に有効と、経済産業の活性化のために必要という意見が出されている。

 自治体独自の工夫は値上げ  こんな中、独自に閲覧の制限を設けて個人情報の保護に努める自治体もある。滋賀県では県下の市町村で作る戸籍住民基本台帳事務協議会で統一の申し合わせ事項を作り、公開を公務及び報道機関に限定している。また、手数料の値上げで大量閲覧を抑止する対策をとっている自治体もある。杉並区では、手数料を台帳1冊2500人分2000円から一人につき150円とした。約200倍の値上げだ。盛岡市は一人300円。自治体の手数料の水準から比べると破格の値段である。私の勤務している市役所でも一世帯当たり150円で、閲覧手数料としては高いほうである。 その効果はどうか。杉並区では値上げ直後は申請件数が減ったが、翌年にはまた増えているそうである。企業としては多額のお金を出しても欲しい情報なのだ。  

 企業のDMの場合は、閲覧申請書に、申請者(企業名と実際に来た人の氏名・住所)・目的・閲覧の地域、年齢層などを書き、他の目的には使用しないという誓約書を書いてもらう。しかしDM送付後の閲覧名簿の回収はしない。手数料を払って終わり。私が業者なら一度手に入れた名簿を捨てるわけがない。引越しなどで多少の移動はあるだろうが、次の機会にもまた使うだろう。  

 DM代行業者のHPを見ると、「保有リスト」を利用する場合と、役所で閲覧をして最新のリストを利用する場合があるようだ。閲覧の場合は役所に支払う閲覧手数料以外に、基本料1万円、制限のある役所の場合はさらに割増料金がかかる。住民基本台帳では住所・氏名・生年月日・性別だけなので、電話付けといって電話番号をマッチングしたものはさらに高い。  

 こうして一度、名簿となった情報は流出していく。DM目的の閲覧は禁止にするしかないのだろうか。企業の新規開拓の手段は確実に狭められるので、反論は多いだろう。大量閲覧の問題点は、自分の情報を自分でコントロールできないことだ。それで住基ネット導入の際に横浜市が行った選択制は多くの人から支持を得た。住基ネットに参加して恩恵を受けたい人は情報を提供し、情報漏洩が心配だから参加したくない人は情報を提供しないことができるシステムだ。同じように住民基本台帳の閲覧制度にも選択制を導入したら良いと思ってしまう。      

(地方公務員)


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コンビニ店員の課題に万引防止がある

立瀬無志

 大学近くのコンビニで3年間ほどアルバイトをしている。お客が店に入ってくると、センサーが反応しピンポーンと鳴る。「いらっしゃいませ、こんばんは!」と私たち店員は入ってきた客の顔を見て声をかける。それから陳列などをしながら客の動向を伺う。万引き対策も仕事のうちなのだ。  

 万引きされているかどうかは在庫チェックすればわかる。しかし実際現場をつかむのは難しい。万引き犯はこちらの隙を見ながら隠れてやるからだ。だからといって盗られっぱなしではたまったものじゃない。万引きし放題の店というレッテルを貼られてしまうし、そもそも利益がなくなってしまう。  

 昨年、私の勤務中に万引きにあった。その日は新人の初日で、あれこれと懇切丁寧に教えていた。ちょうど米飯や紙パックのドリンクを並べ、雑誌を並べ終えたころだった。私はレジ前で雑誌の付録を挟む作業をしていた。新人は大量にあるパックドリンクを一心不乱に並べていた。これが済めば一休憩。次はお菓子や化粧品、カップラーメンにペットボトルが大量に来る。そのとき客が入ってきた。私はしゃがんでいたのであまり声が出なかった。「いらっしゃいませ…」と私はぼそりと言った。その客は備え付けのカゴを持ち、片っ端から商品をカゴに入れていった。格好はだぼついた白いトレーナーに、頭にはタオルを巻いて、その上に作業用ヘルメットだ。ヤンキー系の格好だが、しかしそんな客は昼でも夜でも来るので日常茶飯事。カゴをもって買い物している様子から、万引きはしないだろと思い、付録をつけることに意識を傾けていた。すると突然バイクのアクセルを回す音が外から聞こえ、入り口付近に移動していた客は、ドアを勢いよく開けて走り出した。  

 万引きとわかるまでに数秒の時間を要した。万引きだ! と気づき、外に飛び出したが、すでにバイクは走り去った後だった。1万2000円近く万引きされた。後始末としてそれを新人と私で給料から引かれた。  

 コンビニやスーパーの万引き対策はビデオだけで、あとは各店舗の従業員まかせなのだ。ビデオの費用も各店舗のオーナー負担の場合が多い。素人の万引き犯ではなく、今回のケースのように、撮られていることを知りながら大胆に大量に盗む犯人がでてきたのだ。昨年のドン・キホーテ放火事件やコンビニ駐車場での殺人事件なども聞く。少し前は若者が深夜数人で乗りつけ、店の外で酒盛りをするのをよく見かけた。店内で飲食は平気でしようとするし、大声でしゃべり他人など存在しないかのような振る舞いをする。そうした客にいちいち注意するのはかなりのストレスだ。ましてや万引きをさせまいとして、入店する客の動向を伺い、死角に入れば見える位置にまで近づき監視する。店員が常に客を万引き犯じゃないかと疑っている店、そんな店に入りたいだろうか?  

 しかし犯罪に対してコンビニ本部はなにも対策をとらない。強盗がはいろうが、殺人事件がおきようが、やるのはPCを通じて行なう伝達だけ。「気をつけましょう」といったメールが送られてくるだけなのだ。万引きされた商品はロスとして原価で店負担となる。でもおかしくないか、確かに万引きされる各店舗にも問題があるかもしれない。だが店の構造が万引きしやすい形になっている。客は自由にカゴを持って店内を物色し選び、出口付近のカウンターにて精算する。客の自由度は高いのだ。万引き対策に従業員を増やそうにも人件費は各店舗負担になる。アルバイトでは責任を取ろうとはしないし、正社員は雇えない。それでもコンビニ本部は、万引きされても店舗に原価で買わせるからおかまいなしなのだ。払えなければ、本部からの借金で払わせるまでだ。経営を止めたくても、違約金や借金返済のメドが立たず続けている経営者も多い。  

 夜に犯罪は起きやすいが、深夜営業も光熱水費や人件費を考えたら、よほどの立地でない限り純利益はマイナスになるだろうと思う。しかしコンビニは24時間営業が多い。24時間営業のほうが「お客様に便利であることを印象付け、より積極的に買い物をしていただける」と本部が考えているからだ。24時間ゆえに若者がたむろし、犯罪の温床になり、各店舗は必要経費に頭を悩ませている。そのくせ従業員の身の安全や健康は配慮されない。儲かるのは本部だけなのである。  

 どれだけ経営不振で店がつぶれようとも、新しく建てれば問題がないからだ。活力を失った地元商店的な酒店に、パン屋、食料品店、青果店を勧誘してフランチャイズ契約させるのだ。「最近どうですか。大型スーパーなんかに大事なお客様を取られているでしょう。うちとFC契約すれば今より儲かりますよ。日商50、60万行きますよ」と誘う。売り上げの半分近くをロイヤリティ等で絞り、それで潰れて結構。近くに同系列のコンビニができても結構。どんなにコンビニが社会問題化しても本部は知らん顔なのだ。営業努力が足らない、そんなのきちんと注意していれば防げるでしょう、の一点張りで事をすまし続けている。  

 毎日、一日の売り上げを本部に全て送金するシステム上、独自に万引き対策の機器を仕入れるなどすることは非常に困難である。少なくともコンビニ本部が深夜営業を中断するように変えていかなければ、夜中に起きる犯罪を防ぐことはできない。深夜営業をやらないからといって、極端に売り上げが下がることも利用者が大幅に減ることもないとぼくは思っている。  

 テレビのニュースで、一部のコンビニが24時間経営を地方から見直すという決定をしたというのを見た。理由は廃棄を基本とする販売のため環境負荷が高いことや、夜間営業による犯罪の増加への対処だそうだ。そうなるに越したことはない。  

 ここ15年でフランチャイズ事業は急成長を遂げてきたわけだが、それに関した社会的問題にはまるで対処してきてない。99年に今後の不良債権処理によって出た失業者を、FC事業に回して雇用安定させようという支援措置なるものが通産省(現経済産業省)から出ている位だ。飲食店や食料品店だけでなくとも出店増加とサービスの激化に伴って24時間営業店舗(もしくは営業時間の延長)は増えるのだ。だが深夜にそこで働く人も、利用する人もそれで幸せには思えない。夜働く人がいるから夜間営業するのではなく、夜間営業するから夜働くのだとぼくなどは思ってしまう。  

 テレビでは今増加中の24時間スーパーも特集していた。スーパーの夜間責任者が「夜間営業を始めて売り上げが8%増えました。夜間市場はまだ飽和状態ではないと思います。チャレンジできます」と応えていた。そう言わされているのかなと思った。人間の生態にあってない商売には無理がある。

(コンビニ店員)


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(2005年2月25日発行 『SENKI』 1170号6面から)


http://www.bund.org/culture/20050225-1.htm

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