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2004年 12月 8日 水曜日 21:27 JST
[東京 8日 ロイター] 8日の短期国債市場で、同日に入札が行われた新発3カ月物FB(政府短期証券)が異例のマイナス金利で取引された。要因には、銀行勢の金余りが鮮明になるなか、運用先として来年4月1日のペイオフ全面解禁前に償還を迎える3カ月物FBの人気が高まっていることに加え、円資金の調達コストの低い海外勢による需要が利回り低下を後押ししたことが指摘されている。
午後零時40分に発表された新発3カ月物FBの入札結果は、最高・平均落札利回りともに0.0018%となり、先週行われた前回入札と同水準になった。ところが、その後の流通市場では、証券会社によるショートカバーを中心に買い一色の展開となり、複数の市場関係者によると、マイナス0.001%で500億円程度の出合いが見られた。短期市場では、ユーロ円やコール取引において、外銀同士によるマイナス金利での出合いが頻繁に観測されているが、短期国債がマイナス金利で取引されるのは異例のこと。
背景については、さまざまな憶測がささやかれているが、市場では、金融システム不安が後退する一方で、高水準の当座預金残高維持を目標とする量的金融緩和政策が継続しており、大手銀行などを中心とした銀行勢の余剰資金が短期国債市場に染み出している、との見方が多い。不良債権処理の進展や、景気回復などを背景に、邦銀勢の格付けが引き上げられるなど、銀行の信用力が向上するなか、「金融システム不安を背景に無利息で日銀に溜め込んでいた資金が、貸出が伸びない環境下で、債券市場などに向かっている可能性がある」(外銀)と見られている。
特に、来年4月1日のペイオフ全面解禁前に償還を迎える3カ月物FBは、「ペイオフ解禁リスクが完全に払しょくされたとはいえない状況のなか、銀行勢の格好のキャッシュつぶしの対象となっている」(国内金融機関)という。
このため、きょうのFBマイナス金利の発生についても、「入札段階で銀行を中心とした投資家の需要を満たせなかった証券会社が、収益度外視で付き合いのために玉の確保に走った結果だろう」(別の国内金融機関)との見方が複数から示されている。
また、円資金の調達コストが低い海外勢による買いが利回り低下を後押しした、との指摘もある。市場関係者によると、海外勢が12月決算を控えて円資金のポジション変動を抑制する方向にある一方で、本邦勢の外債投資需要などを背景に、円のマイナス金利幅は拡大基調にああり、「マイナス金利でもサヤを稼げる海外勢の買いが、FBマイナス金利発生のきっかけになった可能性がある」(別の国内証券)とされている。
もっとも、この点については、「そもそも外銀は年末に向けて数字を固めている段階にあることに加え、すでにソブリン・リスクは限界まで積んでいるところが多いのではないか。そうした状況の中で、わずかな利ざやを狙いに、マイナス金利のFBを買うことは考えづらい」(外銀)との声もある。
いずれにしても、市場は異例のFBマイナス金利にも、「これまでにゼロ%での応札や出合いも頻繁に見られており、時間の問題だった」(別の国内金融機関)と冷静に受けとめている。マイナス金利自体も入札を受けた証券会社のショートカバーが中心と見られており、恒常化は見込みづらいとされている。
ただ、現行の量的緩和政策が維持される限り、景気回復下でも金利に低下圧力がかかり続ける「ねじれ現象」が続く可能性が大きい、という。ABNアムロ銀行・国際資金為替部マネージングダイレクター・ヘッドトレジャリーの永井伸氏は、「日銀が当座預金残高という量を変えない一方で、邦銀に余裕が出てきているなかでは、余剰資金がイールドカーブをさらに潰していく状況が続く可能性がある。本来は、30─35兆円程度という当座預金残高を減らすことを考えるべきだが、日銀はメディアや政治家などの反応も考慮せざるを得ない。量を維持することの弊害が、一段と顕著になってくる懸念がある」と述べている。
※(伊藤 純夫記者 ロイターメッセージング:sumio.ito.reuters.com@reuters.net
E-mail:sumio.ito@reuters.com 03-5473-3729)
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