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12月6日(ブルームバーグ):「インドネシア、おまえもか」−−英オックスフォード大学のエコノミスト、ブラッド・セッツァー氏は、米ドルをめぐり山積する問題に関するリポートを、こんな言葉で始めている。
シェークスピアの戯曲でのジュリアス・シーザーのセリフ「ブルータス、おまえもか」のもじりだが、世界の状況に照らし適切な例えと言えそうだ。
インドネシアは米国債の保有を減らすことを検討しているだけだが、米国の当局者らはシーザーと同様に、背中に短剣を突き立てられたように感じたかもしれない。インドネシア中央銀行のアスリム・タジュディン副総裁はジャカルタでのインタビューで、この爆弾を落とした。
ドル下落が続くなら保有する米国債の一部を売却しようと考えているのは、インドネシアばかりではない。ロシア中銀も、ドル建て資産からユーロ建てへの乗り換えを示唆した。
中国も11月末に、同国が米国債保有を減らしたとの中国紙報道で市場の耳目を集めた。この報道は市場を揺るがせた。何しろ、同国は米国債1740億ドル(約18兆円)を保有する大債権国だ。中銀当局者は、発言が「わい曲して」伝えられたと火消しに努めたが、市場は最悪の事態を恐れる。
世界3位の外貨準備を持つ台湾も、ドル安に伴い米国債保有を減らす計画だとの報道を否定しなければならなかった。570億ドル相当を保有する台湾からの売りは確実に、米国債利回りを押し上げることだろう。
口には出せないが
各国の中央銀行には、米国債売りを認めるわけにはいかない事情がある。そんなことを発表しようものなら、それだけで米国債相場は急落し、損失はさらに膨らむばかりだからだ。しかし当局者の言葉にかかわらず、アジア諸国は米国債を売り抜けて巨額損失を抑えたいと考え始めている。
問題は、いつ日本がこの騒動に参加するかだ。日本の米国債保有高は約7400 億ドルと飛び抜けている。日本政府がドル安と米国債利回り上昇に不安を抱き始めれば、米国にとどめを刺すことにもなりかねない。日本が米国債を売れば、諸外国、特にアジア諸国は追随するだろう。
米財務省の当局者は、自民党の与謝野馨政調会長の発言に暗い気持ちなったに違いない。同会長は、日本政府は強いドル政策を米国に求める方針だとして、ドル下落が続けばドル建て資産からの大規模な資本逃避が起こるとの見方を示した。
日本が大量の米国債を売るかどうかはだれにも分からないが、そのリスクを無視することはできない。グリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長も11月に、ドル建て資産への海外からの需要がしぼむ可能性について警告した。
日本に注目
すべての視線は日本に集まっている。大いに言いはやされていた景気回復は勢いを失いつつあり、今年の入っての円高で向かい風は強まるばかりだ。モルガン・スタンレーは2005年6月と同年末の円相場見通しをそれぞれ1ドル= 95円と92円と円高方向に修正した。
円高に対する日本の許容度が厳しく試されている。米国がドル安を放置し、ブッシュ政権は既に過去最高の水準にある財政赤字をさらに拡大させるとの見通しのなかで、日本の忍耐にも限りがあるかもしれない。もし日本が米国債売りに転じれば、アジア諸国は追随するだろう。
世界の債券投資家は、アジアの中銀がいつか、米国債市場の足をすくうのではないだろうかと思い続けてきた。そのような行動が、近いうちに現実のものにならないとは限らない。
原題:Asia Draws Nearer Shocking U.S. Treasuries: William Pesek Jr.(抜粋) {NXTW NSN I89XQ70YHQ0X http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003009&sid=aYTulMxGyxRA&refer=jp_top_world_news
翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:
東京 木下 晶代 Akiyo Kinoshita akinoshita2@bloomberg.net Editor: Kakuta
記事に関する記者への問い合わせ先:
バンコク William Pesek Jr. wpesek@bloomberg.net.
記事に関するエディターへの問い合わせ先:
Bill Ahearn bahearn@bloomberg.net.
更新日時 : 2004/12/07 14:51 JST