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邦銀、その先にまだ難題
いわゆる3月危機を無事通過できたとして、わが国銀行の課題は軽くなるどころか、その先かえって難しさを増す。米国の銀行では10年前から進んできた収益構造、資産構成の組み替えに邦銀はほとんど手をつけられずにいるのに加え、2005年以降、「バーゼルU」と呼ばれる新たな自己資本比率規制への対応を迫られる。
米国の銀行はこの10年に変貌を遂げた。預貸利ざやから得られる金利収入は、依然収益の大宗を占めてはいる。しかし手数料収入など非金利収入はこの間金額にして2.8倍の伸びを示し、金利収入との比で言えばかつての6対1が、今日3対1にまで縮まっている。
米連邦預金保険公社(FDIC)、日本の全国銀行協会(全銀協)がまとめた数字を基に、日米銀行の比較をしてみたのが右の表だ。いわゆる全国銀行ベースの数字であって、先端的銀行を比較したものではない。上位行だけを比べたら、差がもっと鮮明に出たかもしれない。
また邦銀については、今回1997年度にまでしか遡れなかった。しかし、これらの点を差し引いても、この間についた彼我の差は大きい。例えば、融資に頼るストック商売から脱却し、今後は手数料で稼ぐべきだと叫ばれてきたものの、邦銀の手数料収入は遅々として増えていない。片や米銀ではこの10年、ほぼ倍増している。新しい戦略が自覚的に実行されてきたことを物語る数字だ。
総資産に占める融資比率の低下など、一見邦銀に有利な数字がある。しかしこれも、貸し出し難の中で、その分が国債購入に置き換わったことなどあまり評価できない理由による。
この間に米銀は、シンジケートローンやコミットメントラインといった手法を開発し、資産を膨らませずに融資を実行する、または手数料を獲得する術を身につけた。そのため融資も市場で値がつく商品となり、売買の対象となった。結果としてそれは市場のシグナルがよく響く環境を米国企業に与え、米国経済の適応力をさらに高める結果をもたらした。不良債権にかまけざるを得なかった10年の遅れは邦銀にとって大きかったと言える。
米銀のたどった進路にまだ十分踏み出せないまま、さらに加えて新BIS規制が間近に迫りつつある。スイス・バーゼルの国際決済銀行(BIS)に事務局を置く委員会で今、2005年の実施を目指し「バーゼルU」と呼ばれる新しい自己資本比率規制の策定作業が進んでいる。しかしこれまた、当面する不良債権処理の文字通り「死角」となって、邦銀経営者は払いたくても注意を払い切れないでいる。
●新BIS規制の重圧かかる
最大の変化は、資産(分母)の過半を占める企業向け融資が仮に100あった場合、従来の規制では100と算定されていたところ、今後は格付けなどに応じ上限150まで濃淡がつくことだ。銀行資産の健全性が一層表れやすくなり、場合によっては資本(分子)不足の状態が露呈する。
世界の銀行を巻き込みやや紛糾気味の策定過程は予断を許さないとはいえ、新モデルを入れる際に必要と見込まれるシステム投資の規模は、膨大となることが恐れられている。しかし邦銀大手行の経営陣に、この点の認識もほとんどないのが実情だ。
2005年と言えばすぐそこである。不良債権をそれまで抱え込んでいられないことだけははっきりしている。(谷口 智彦)