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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu84.htm
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現在の日本経済の問題は、情報産業(ホワイトカラー)の
生産力が製造産業の生産力に追いついていないからだ。
2004年12月5日 日曜日
◆情報作業と知識作業の分離の方法 吉田繁治
http://www.cool-knowledge.com/021014chishikishihon-chishikiroudou-2.htm
▼根底は、日本企業の収益率の低さ(米国の25%:西欧の50%)
政府がなぜ年30兆円を超える赤字を出すか。無駄な公共投資もあり
ますが、根底は、企業の利益率が「半減」していることです。
そのため法人税収も半減。日本経済の再生には企業収益の増加しか方
法はない。現在、税務上で赤字申告の企業は70%、3社に2社の割
合です。債務超過は、3社に1社、約80万社でしょう。雇用数で1
500万人以上が、債務超過企業に勤務しているでしょう。
政府とおなじように企業にも過剰債務(総資本過剰)がある。総資本
対経常利益率が低すぎます。このままでしばらくすれば日本からのキ
ャピタルフライト(資本逃避)が必然になる。
【債務超過企業の整理を先送りにした結果】
自然にしておけば退出したであろう過去形の企業が、結局は無駄遣い
になる支援策で残っていて、縮小した国内需要に対し、同質商品で、
過当競争が発生しています。企業収益が低い原因がここです。あり地
獄のような、一蓮托生の風景が見える。
※日本経済の問題は労働者の50%弱(約3000万人)は、直接・
間接に、政府予算・自治体予算に依存していることです。政治が左右
する非市場経済が拡大し市場経済が縮小したのが90年代です。
▼選択肢
(1)利益を出さないため援助が必要な約80万社と、税の投入が必
要な政府機関を保存したまま行くことに合意するか、
(2)過去形になった企業と政府機関を(自然に)整理し、新たな企
業で経済の活力を回復するか、(1)か(2)かの選択。
※実際は{(1)+(2)}÷2になるでしょう。
上記(1)は日本経済の内容の広範囲な悪化に帰結します。
(2)は、失業率の上昇を経由した日本経済の再興です。
あらゆる金融対策の終着点は、つまるところ短期しのぎで、問題の先
送りです。赤字補填で借りたものは、利益か資産処分で返さなければ
ならない。返せない借り入れは時間とともに問題を深める。
株を無理やり上げて援助の融資を投入しても、一時的効果しかない。
企業収益の上昇、または上昇見込みがあれば、株も融資もついてきま
す。こうした「あたりまえのこと」に戻る必要がある。
不良債権対策の、その次の議論がないことを、哀しみます。
市場経済には冷酷な面がある。金融対策や援助で冷酷さを避け、不良
部分を経済全体に拡散させるか、そうでないか。
遅すぎた清算が始まった。昨年末から予測していた、低温やけどの準
恐慌経済。これは企業収益が回復しないかぎり、いつまでも続く。
何が本当の問題か、次項で見ます。20世紀の工業経済から、情報経
済への大きな潮流があります。ここを見なければならない。
▼知識労働のイメージを広くする
行政官である小泉首相も、政治と行政という仕事で報酬をもらい、意
思決定という高度な「知識労働」を行っています。高級官僚も、企業
のトップ、幹部も「知識労働」です。そして、実はオフィスにいるホ
ワイトカラー全体、および小売のパートも同じ「知識労働」です。
最大多数派になった「知識労働」の生産性を上昇させないかぎり、余
暇時間の増加を含め、生活が豊かになることはない。
知識労働では弁護士、医者、会計士、コンサルタントのような職種を
思い浮かべる人が多い。そうではないのです。
デパートの販売員。業務内容は「知識労働」です。顧客の反応から、
欲しい商品を見分けなければならない。商品知識も必要です。メーカ
ーについての知識も、在庫知識も必要です。モノを生産するわけでは
ない。モノの形は変えない流通の仕事全体は、知識労働です。
流通・小売は「知識労働」であり、金融も知識労働です。工場で生産
ラインに従事する労働もモノの加工は機械が行いますから、本人が行
っているのは「知識労働」です。
タクシーの運転も、交通事情と道路知識が必要な知識労働です。
20世紀の工業生産は「個客」に売る前の「規格品量産」という仕組
みで、生産性を上げた。
しかし、工場の外では、ほぼ全部が「個」対応になる。デパートの販
売員、タクシーの運転手が行っているのは医者と同じような「個客」
対応です。まとめて接客はできない。診断と手術も、胃潰瘍の患者を
100人ベルトコンベアに並べてできるわけではない。5人まとめて
離婚の法律相談もできない。
工業生産は、製品を規格化し、加工を一箇所でまとめ集中的に行うこ
とで、生産性を上げた。生産性は一人当たりの製品生産量です。
ところが工場以外では、ほぼすべてが分散した「個客」対応になる。
個別のケースでの、場の判断と知識が必要な、知識労働になる。
こうした幅広い「知識労働」の生産性を、コンピュータと通信を使い、
いかに上昇させるか、これが21世紀産業の課題です。
▼「ペーパーレス・オフィス」のイメージから
<なぜ、こんなにたくさんの紙がいるんだろう。ここではみんなパソ
コンをもっている。そして互いに接続されている。どうしてこの紙の
代わりに、(WEB等を使った)電子書式を使って、業務プロセスを合理
化しないのだろう(同書p58)>
こう考えたビル・ゲーツは「CEOの特権」を行使し、不必要な用紙
、書式を禁止する。1996年のことです。今の日本の会社で紙の書
式を禁止したところが何社あるでしょうか? こうしたところから、
知識作業全体で、根底的な遅れが生じる。
日本企業の問題は、ビル・ゲーツと逆にデジタル化されているプロセ
スでも幹部・トップが「紙」を要求することかもしれません(笑)
これは「出力プロセスで毛筆を要求する」ような無謀なことです。書
式を画面化すれば分かりますが情報作業の生産性は数倍に上がる。情
報作業は知識作業とは違い、容易に定型化できます。
(私のコメント)
一昨日はライブドアの堀江社長の本を紹介しましたが、ライブドアの仕事の形態がペーパーレス社会の会社のあるべき姿なのですが、日本の企業の大部分がまだペーパー社会に留まったままだ。会社を見回してみれば机にはうず高く書類の山が出来ている。役所などは特にそうで、書類を積み上げることで仕事をしているというアピールのつもりだろう。
わたしも会社員時代がありましたが、無駄な仕事のオンパレードで、本当の仕事をしている人は全社員の内の二割程度で、後は会社にぶら下がっているだけだ。私の場合は銀行の融資部にいても、ほとんどが書式に則った書類を作成することがほとんどで、多くが前回の融資のロールオーバーだから、前回の書類を丸写しすることをやっていた。書き直す部分はほんの一部だ。
このような仕事は電子化すればやらずに済むことであり、本部と支店とがネットで情報を共有していれば、かなりの無駄が省けることはあった。しかし現在でもその仕組みは変わらず、今年の夏に銀行から借り入れを申し込んでも、遅々として手続きは進まず銀行の業務形態は10年前とほとんど変わっていないことが分かった。
なぜ銀行の業務形態が変わらないかというと、監督官庁の指導が変わらないからであり、ペーパーレス化したくとも、監督官庁で書類を請求されれば提出しなければならないから書類の作成に日夜追われることになる。銀行の収益率が低いのも金融庁のせいなのだ。金融庁と銀行とがネットで結ばれて資料も電子化して交換すれば検査も簡単になるだろう。
日本では大企業の本社ビルが東京のビジネス街に集中していますが、これも中央官庁の情報がほしいからで、相変わらず担当者が担当官庁を回って、場合によっては宴席を設けてまでして情報を取らねばならない。MOF担などがいい例だった。このように役所でも電子化はほとんど進まず、規制の緩和も情報の公開も掛け声だけで進んでいない。これでは民間会社でも情報の合理化は進まないのも当然だ。
日本企業でもパソコンやネットの普及はまだ始まったばかりであり、それを有効に使いこなすレベルには程遠い。政治の世界でもインターネットを選挙に使うことはまだ許されていない。監督官庁がまだ許可していないからだ。文書図画の配布は法令違反だとネットの無い時代の条例を持ち出して禁止している。これでは情報化社会が来るはずがない。
国会議員にしても選挙に金がかかるというのも、結局は情報の合理化が進んでいないからだ。ネットを有効に使いこなしている議員は数えるほどしかいない。これでは一般の企業の情報化やペーパーレス化が進むわけがない。マイクロソフトやライブドアのように社長自ら先頭に立たなければホワイトカラーの生産合理化は進まないだろう。
しかしパソコンやインターネットを誰もが自由自在に使いこなすことは無理だろう。洗濯機や冷蔵庫のようにコンセントを差し込んでスイッチを入れれば使えるというわけにはいかない。しかしホワイトカラーはパソコンとインターネットは使いこなせなければなる資格がない。基本的なツールだからだ。しかし日本のホワイトカラーはそのレベルになっていない。
逆に使いこなしているパソコンマニアやネットマニアは機器やソフトの扱いは出来ても、情報発信力がない。両方出来るようなホワイトカラーはほんの一部であり、それが生産大国でありながら低収益性に悩む企業がほとんどであることの原因であると思う。しかしホワイトカラーを合理化するにしてもシステムを変えなければ、人員を減らせば残業が増えて仕事量は変わらない。サービス残業が問題になるのは企業のシステム改革が進んでいないからだ。
この本を読んでメールの使い方をマスターしよう!
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