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12月1日(ブルームバーグ):アジアの株式相場が西側諸国よりも好調なので大喜びしたいアジア人は多いかもしれないが、慢心しない方が得策だ。こんな喜びは長続きするはずがなく、2005年は厳しい1年になりそうだからだ。
東南アジア諸国連合(ASEAN)が今週、首脳会議を開催したラオスの首都ビエンチャンの状況からみると、アジア人の自信は1997年のアジア金融危機以降で最高の水準に高まっているようだ。各国首脳は健全な経済成長への復帰に活気づいており、中産階級の消費者の数は増え、投資家に優しい多数の改革も進行中だ。
西側経済にはない人口増加や都市の拡大、市場の発展、そして新たな富を誇示したい消費者の旺盛な消費意欲という点もアジアは自慢できるだろう。アジア株は依然として割安だとの見方が多いし、域内の政情は1990年代よりも安定感が増しつつある。それにアジアには、世界で最も魅力的な経済を持つ中国という存在がある。同国は銀行の不良債権や貧困の問題を抱えているものの、日本が1990年代にデフレに陥って以来、アジアに欠如していた強力な成長エンジンとしての位置付けが確立されつつある。
債務削減
難しい年に向かいつつあるだけに、アジアは今の繁栄に感謝した方がよさそうだ。アジア株の下落は予想されていないし、中国が落ち込まなければ、経済成長に歯止めは掛からないかもしれないけれど、2005年の焦点は経済成長や株価ではなく、基本である債務に戻るとみられるだめだ。
政策当局者が今の健全な経済成長を生かして債務をどう縮小できるかが、投資家が今後数年間にわたりどの国に投資資金を託すことができるかを判断する手掛かりになるだろう。
国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局のデービッド・バートン局長は、「多額の債務負担は引き続き、域内の多くの国の経済活動に中長期的な脅威になる」と述べ、「アジアは今の好景気を生かして財政不均衡や財政収支の変動抑制に取り組む必要がある」と指摘する。
2005年の注目点
2005年にアジアの債務に絡んで注目すべきトレンドを以下、5項目列挙した。
まずは、中国の通貨切り上げだ。中国はインフレや景気過熱の抑制を急いでおり、人民元の米ドル・ペッグ(連動)制の見直しの可能性は高まりつつある。切り上げが実現すれば、ほかのアジア諸国の通貨上昇余地が生まれ、外資が集まり、株・債券相場が上昇するほか、米国債に滞留していた外貨準備をより生産的に活用でき、アジアの成長の質が向上するという好影響がもたらされる可能性がある。
次は日本の景気減速だ。2004年を日本経済の復活の年と呼ぶなら、2005 年はその宣言を撤回せざるを得なくなる年となるかもしれない。今は、日本経済が力強い成長を取り戻すチャンスがここ10年間で最も高いと言えるけれども、今の景気回復は主に輸出主導型であり、肝心の消費セクターには波及していない点が問題だ。日本の景気減速は、債券にとっても朗報ではなく、日本政府は2005年に国債発行の増額を余儀なくされるかもしれない。これは、ほかのアジア市場に向かう日本の投資家の資金が減ることにつながる。
3番目は発展途上国経済の健全化だ。新興市場の債務は全体としては、国内総生産(GDP)に占める割合が先進国を上回り、歳入に占める割合はさらに高まる。ただアジアが今の高成長を生かして債務を縮小すれば、将来はますます繁栄するだろう。
4番目は中国の不良債権処理だ。投資銀行は中国の次のゴールドラッシュとされる国有銀行による不良債権処理で、一獲千金を狙っている。総額4500 億ドル(約46兆円)の不良債権を格安で買い取り、景気拡大による資産価値の上昇で利益を上げたい意向だ。
最後に挙げるのは債務危機に陥るリスクの後退だ。インドやインドネシアは新政権が発足し、中国は銀行システム改革に取り組んでいる。韓国は5%の成長を遂げ、日本のデフォルトリスクはほとんどない。フィリピンも、財政赤字削減について新たに取り組んでいる。2005年の債券市場が危険な乱気流に見舞われるリスクはほとんどない。
こうしてみると、来年はアジア市場混乱の年にはならないかもしれない。そうなれば御の字だ。
(ウィリアム・ペセック・ジュニア)
(ウィリアム・ペセック・ジュニア氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:Don't Gloat Too Much Asia; Tough 2005 Looms: William Pesek Jr.. (抜粋) {NXTW NSN I80FAH1A74E9 更新日時 : 2004/12/01 17:15 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html