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11月30日(ブルームバーグ):為替市場は、ウィンク、暗黙の了解、そして密約の世界だ。政策当局者が手の内を明かすことはほとんどない。中国の温家宝首相もその1人。トレーダーは十分に注意すべきだ。
温首相は今週、外圧がある限り、中国は人民元のドル・ペッグ(連動)制を緩和しないとの考えを繰り返した。いつもの発言と違っていたのは、普段より一歩踏み込み、通貨投機家に対してある種の警告を発したことだ。
温首相は27日、ラオスの首都ビエンチャンで「率直に言って、投機的な動きがこれほど横行している時に人民元制度の変更はできない」と言明した。
言い換えれば、トレーダーが中国の真意を試し続けている限り、ペッグ制の変更は遅れる可能性が高いということだ。投資銀行が人民元切り上げに関するリポートを増発し、投機家がそれに反応すればするほど、変更までの手続きは長引く可能性がある。
脚本でなく現実
温首相は、1997、98年のアジア危機で投機家と不名誉なバトルを繰り広げたマハティール前首相の脚本を参考にしているわけではない。温首相の発言は、脅しというよりはむしろ現実の追認だった。
中国は、世界が人民元切り上げを熱望していることを理解している。世界中から投資資金を集める上で、通貨切り上げが政治的利益につながる強力な意思表示になることも十分に分かっている。
しかし中国経済には、為替制度を緩和する準備が整っていない。その最大の理由は債務だ。中国の4大国有商業銀行は大量の不良債権を抱えており、同国の金融システムは極めてぜい弱な状態にある。
スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によると、中国の銀行の不良債権問題を解決するには6560億ドル(約68兆円)の費用がかかる。実際のところ不良債権の処理は進んでいるが、格付け会社の評価を得られるペースではない。
不良債権
今年1月、中国は数百億ドルに上る外貨準備を投入し、国内銀行の救済を開始した。経営陣には不良債権の処理を迫っている。さらに最近は、4大商業銀行や投資顧問会社が抱える4500億ドル超の不良債権を、外国資本が買い取る際に適用される規制を緩和した。
しかしまだ課題は残っている。中国が最も避けたいのは1995年にペッグ制を導入して以降落ち着いている為替相場が乱高下することだ。中国が国際貿易収支の均衡に向けて人民元制度を緩和することも重要だが、それをうまく行うことはもっと重要だ。
温首相は、中国はペッグ制を変更する前に「安定したマクロ経済、正常な市場メカニズム、健全な金融システム」を必要としていると指摘。「中国は、人民元改革が中国やアジアに与える影響を検討する必要がある」との考えを示した。
前兆?
良いニュースがある。今週ラオスの首都ビエンチャンで開催されている東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で、アジア諸国が人民元のペッグ制緩和・切り上げをすでに見越している様子が示され始めていることだ。
会議出席のためビエンチャンを訪問中のパンゲツ・インドネシア貿易相は 29日、インタビューで、ドル安が来年進行した場合でも、米国の輸出企業との競争力維持を目的としたインドネシア・ルピアの下落を誘導すべきではないと述べた。
東南アジア最大の経済大国であるインドネシアの見解がそうであるなら、無視すべきではないだろう。ここ数週間では日本政府も円高・ドル安の進行に対して措置を施さず、為替トレーダーを驚かせた。為替相場の動向を注視する傾向が強い韓国も日本と同じく、ウォン相場の上昇に寛容だ。
自信の表れ
こうした一連の動きは、アジア地域にとって重要だ。外国資本の流入が増え、金利低下を促す自信につながる可能性もある。政府や企業は自国通貨安の松葉づえに頼ることなく改革を進めることになるだろう。さらにドル安容認は、米国の記録的な「双子の赤字」を解消する上で必要なことなのかもしれない。
バンク・オブ・アメリカとメリルリンチのアナリストは先週、中国はインフレや景気過熱を抑制するため、来年4月までに1ドル=約8.3元に事実上固定しているドル・ペッグ制を緩和する可能性があるとの見通しを示し、ヘッドラインをにぎわせた。ただ、これも中国当局者が最近示唆しているように、希望的観測に終わる可能性がある。投機家はそれを肝に銘じて取引を続けるのが得策だろう。
(ウィリアム・ペセック・Jr氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:China Tells Currency Speculators to Get Lost: William Pesek Jr. (抜粋)
{NXTW NSN I7YYGB0D9L35 更新日時 : 2004/11/30 16:02 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html