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11月26日(ブルームバーグ):「今後1年間は、世界的に株安になろう」−−。ドイツ証券の武者陵司チーフストラテジストは、2005年の株式相場をこう予測する。無理をして拡大してきた米国景気が息切れし、下方屈折局面に入ると見ているためだ。また、原油価格は下がり、上昇傾向にあった米国金利も落ち着くため、「ドルは秩序だって下落する」と言う。
こうした中で、来年の日本株は「日経平均株価が1万円を切って、底値で 9000円ぐらいまではあり得る」と予想する。1万1000円近辺で推移する現在の日経平均株価には、「来年も景気や企業業績が良くなるといういずれ裏切られる期待が加えられている」との判断がある。
特にハイテクなどの輸出関連株、素材関連株といったグロース(成長)銘柄への投資に対して、武者氏は警鐘を鳴らす。「日本固有のグロースに対する期待がいったん裏切られている。内需の失速が明らかになり、外需も企業収益に恩恵を受けないため、グロースが見えない。アーニングス(業績)では株が買えない局面」と見ている。
一方、2006年について、武者氏は楽観的だ。「日本株がフォーカスされ、日本株元年と言える年になりそうだ。来年の下げ局面は買い場になる」と話す。バリュエーション面から見た株価の相対的な割安感や、金利上昇の一巡による世界的な過剰流動性の再現、国内金融機関の信用収縮の終了などが、投資家のリスク許容度の高まりなどを支援し、年率で最大40%から50%程度上昇する余地があると言う。
また、海外企業によるM&A(企業の合併・買収)の加速を促す法整備が進んでいることを含め、「日本企業のバランスシートが大胆に再構築される年になる」(武者氏)とも予想した。
ただ、「株に強気でも、経済に強気になったわけではない。業績相場ではなく、金融相場」との見解を崩さず、「日本の成長期待でグロース銘柄を買っていると、はしごを外されるだろう。今後2、3年の投資スタンスはあくまでバリュープレー」と、武者氏は話している。
米国を見る眼
今年55歳になった武者氏は、1973年に横浜国立大学を卒業してから大和証券に入社して以来、アナリスト、ストラテジストと調査部門一筋に歩んできた。97年にドイツ証券に移り、現在は日本株のチーフストラテジスト兼株式調査部長を務める。「リサーチは楽しい」と根っからの調査マンぶりをみせる一方、現在の主な仕事である相場予測については、ストレスを感じ続けているという。「相場は、少数が多数を獲得する過程で形成されるので、論理的ではなく、意外なもので動くことがあるため」(武者氏)で、気まぐれな相場の扱いに、論理派も手を焼かされることが多いらしい。
その武者氏が、「まだ弱気が多かった時に、米国に強気になったのは日本の関係者の中では初めてではないか。信じ難いだろうが、ブルが本当の姿」と自身を評するように、米国市場をどう見るかに彼のストラテジーの根幹がある。
「リストラが進み、人々は謙虚だった。マクロの体質変化をひしひしと感じた」−−。1988年から93年にかけて米国に駐在した時にそう感じた武者氏は、89年から米国株に強気になった。対照的に、「価値の源泉である期待リターンの低さ」を理由に日本株には弱気となり、この姿勢は2002年春まで続く。
日本株の方針転換に先立ち、武者氏は米国株に対してはすでに99年から弱気に転じている。米政策当局がバブル経済に対抗するため、金融引き締めを行ったことや、人々が謙虚だった10年前とは「まったく逆になった」ことがきっかけだった。慎重な見方は現在も維持しており、武者氏は今の米国株について「酔っ払い相場で、迎え酒が投資家をよりアップビートにさせている」と指摘する。ドル安による輸出競争力の高まりや、減税を進めたブッシュ政権の政策効果などが“迎え酒”の役割を果たしてきたが、2005年は長らくの酔いからようやく覚める公算が大きそうだ。
記事についての記者への問い合わせ先:
院去 信太郎 Shintaro Inkyo sinkyo@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:
崎浜 秀磨 Hidekiyo Sakihama ksakihama@bloomberg.net
CHIAN-WEI TEO cwteo@bloomberg.net
更新日時 : 2004/11/26 11:57 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html