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米国は経常赤字を削減する方法は『ドル安以外にない』G20に谷垣大臣が欠席する日本政府の緊張感の無さ
http://www.asyura2.com/0411/hasan37/msg/804.html
投稿者 TORA 日時 2004 年 11 月 26 日 15:30:45:CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望

http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu83.htm
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米国は経常赤字を削減する方法は『ドル安以外にない』
G20に谷垣大臣が欠席する日本政府の緊張感の無さ

2004年11月26日 金曜日

◆FRB議長の経済と為替への思惑 ケンミレ株式情報
http://www.miller.co.jp/kmp00/visitor/market/bn/200411/20041122.html

■本日の要点
先週末、普段は慎重な物言いのグリーンスパンFRB議長が「ドル安容認」とも受け取れる発言を行って、米国のマーケットは「ドル安・債券安・株安」のトリプル安となりました。グリーンスパン発言だけでは意図は見えてきませんが、前後するスノー財務長官やブッシュ大統領の発言内容と合わせて考えてみると、米国の真意がおぼろげながら見えてきます。詳しくは本文をご覧ください。

◆FRB議長の経済と為替への思惑
米国のFRB(連邦準備制度理事会)議長のグリーンスパン氏が『米国の経常赤字の状況を踏まえれば、海外勢のドル資産への投資意欲はある時点で減退せざるを得ない』と19日にフランクフルト講演で発言しました。

為替市場の動きを見ますと、
1.円ドルでは、9月28日の111.73円から11月18日には103.66円まで2ケ月弱で8.07円上昇。
2.ドルがユーロに対して8月30日の1.2034ドルが1.3066ドルと2ケ月半で0.1032ドル下落。これは、2000年10月には1ユーロ=0.8235ドルでしたので、0.4831ドルの下落、率にして60%近い下落になります。

つまり、グリーンスパン氏は、ドルが円とユーロに対して下落し続けている時に『更にドルを下落させる発言』をしています。
更に、海外投資家の米国債券投資に対しても『リスクヘッジをしない投資家は損をしても良いと考えていると言わざるを得ない』と発言しています。これは、ドルが下落すれば『海外の投資家は債券の利回り以上の損失を被ることになる』ということですが、これは景気が良いから金利が上昇するではなく、ドルの下落によって債券価格が下落して金利が上昇するという意味になります。

◇グリーンスパン議長の思惑
グリーンスパン議長は2000年当時から『米国経済のソフトランディングが自分の使命』と発言してきました。そして、現在までのところは奇跡的な手腕で米国の景気を維持し、株式市場の下落を防いできました。

しかし、そろそろ景気持続も株式市場の高値維持も限界にきていると考えたのかもしれません。もし荒療治をするならば、株式市場が高値圏にあり、景気も維持している現在は絶好のチャンスかもしれません。また不動産バブルに対する懸念もあるのかもしれません。

ブッシュ大統領が財政赤字削減について言及しましたが、言及している本人が戦争によって財政赤字を拡大させている張本人です。
スノー財務長官も『強いドルは米国の国益だが、為替については市場に任せるべき』と日本の市場介入を阻止する意図を持った発言をしています。

これらのことをまとめますと、
1.グリーンスパン議長はドル安が進行している最中の今、更にドルを下落させる発言をしている
2.米国債券投資をしている投資家に、為替ヘッジをしないで米国の債券投資をする投資家は損をしても良いと考えているという、およそ考えられない発言をしている
3.スノー財務長官は『為替市場に介入すべきではない』と日本の介入を牽制
4・ブッシュ大統領は自分が減税と軍事費で増加させている財政赤字の削減を表明

以上を考えれば、米国は経常赤字を削減する方法は『ドル安以外にない』と決定したのではないかと思われます。つまり、1985年に『ドル安政策』に転換し、続いて1995年に『ドル高政策』に転換し、2004年末に再び『ドル安政策』に転換したのではないかと思われます。

そして、米国の為替政策は経常収支が決定要因になっているということになります。但し、1985年のドル安政策と2004年のドル安政策には決定的な違いがあります。それは1985年がレーガノミックスによって米国の景気が上昇し始めた時であるのに対して、現在はピークを打った後であることです。

つまり、前回は、米国の経済も株式市場、債券市場も膨らむ前でしたからドル安政策に転換しても大きな影響を米国に与えませんでした。しかし、今回はドル高政策によって世界中の投資資金が、米国の経済と株式市場、債券市場、不動産市場に大量に流れ込んだあとですから、ここでのドル安政策は『大量の資金の米国から逃避』を生みますので、1985年とは比べ物にならにないくらいのリスクがあるのではないかと思います。

つまり、グリーンスパン議長は『リスクをヘッジしないで米国の債券に投資する投資家は損をしても良いと思っている』と警告を発しましたが、今回の米国の決定は、世界の投資家に『これによって世界の投資資金が米国から逃げ出して、米国の株式市場と債券市場と経済が急落して、米国経済が大きなダメージを受けても良いとグリーンスパン議長やスノー長官が考えていると思われても仕方がない』と考えた上で『ドル安誘導発言をしていると思われても良い』とグリーンスパン議長達が思っていることになります。

ブッシュ大統領の対外政策とグリーンスパン議長ほかのドル安誘導発言は『21世紀の新しい厳しい時代の始まり』になるかもしれません。
1997年に書きました『長期展望』のシナリオがいよいよ動き始めたのではないかと思います。

◆G20財務相・中央銀行総裁会議、為替問題や原油高を議論へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041116-00000549-reu-bus_all

[東京 16日 ロイター] ベルリンで19日から20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開催される。為替問題や原油高が世界の経済動向とあわせて議論される見通し。
 谷垣財務相は16日、10月のG7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)から変動している為替相場について、G20財務相・中央銀行総裁会議では、「ひとつの議論の焦点になることは間違いない」と指摘。原油高も議論になると述べた。
 今回で6回目を迎えるG20会議は、米大統領選後という絶好のタイミングで開かれるだけに、「米国の為替・経済政策をめぐり外為市場で注目が高い」(財務省幹部)。谷垣財務相は自らのベルリン行きを強く望んでいたものの、山場を迎えた三位一体改革(国と地方の税財政改革)のとりまとめに忙殺されるなか、代わりに田野瀬副大臣が出席する方向だ。
 G20会議はもともと、アジア通貨危機の教訓から、先進国と新興市場国が金融システム強化や通貨安定などを話し合う場として1999年に創設された。危機対応色が当初は強かったが、その後は原油高やテロ資金対策など、その時々の主要な国際経済問題を幅広く議論する場となっている。
 メンバー国は、主要7カ国、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、韓国、メキシコ、ロシア、南アフリカ、サウジアラビア、トルコなど。2003年に世界のGDPの8割、人口の6割を構成。エネルギー需要の高い中国、インド、ロシア、ブラジルのいわゆるBRICs4カ国や、サウジアラビアなど産油国を含む。
 外為市場では、二期目をむかえるブッシュ政権は自然なドル安を黙認する形で、巨額の経常赤字の調整に取り組むとの見方が根強い。1999年末に初会合が開かれたベルリンで、再び開催される今回のG20会議は、米国の為替スタンスや原油高の世界経済への影響を確認する場として注目が高まっている。
(ロイター) - 11月16日17時11分更新


(私のコメント)
最近の日本政府や財務省の動きを見ると、谷垣財務大臣がG20を欠席するなど緊張感が欠けた対応が目立ちます。その後のニュースなどを見てみるとG20ではかなり重要なことが話し合われたことがニュースで分かります。そして会議や声明などのほかに秘密の情報交換が行われた模様だ。日本からは副大臣が出席したが、そのような姿勢では国際会議のカヤの外に置かれるだけだ。

G20で話し合われた主な議題はアメリカの金融政策の問題であり、これは日本にとって担当大臣が不在で済まされる問題ではない。それはグリーンスパンFRB議長の発言やスノー財務長官の発言など重要な発言が相次いだ。日本政府としてはG7があるからG20は副大臣でいいだろうという財務省の官僚たちの間抜けな判断だからですが、これでいいのだろうか。

おそらくG20ではアメリカがこれからドル安政策をとるが、ドルを多く持つ債券国はドルを売らないでくれと言う要請が行われたのだろう。日本の財務省は最大の債権国なのに大臣が欠席した。それ以外にもイラクに対する80%の債権放棄の問題が決着した。中国の人民元に対する為替問題も話し合われた。どれも日本が大きく関わっている問題だ。担当大臣が欠席していい問題ではない。マスコミからもそれを指摘されて次のようなニュースがあった。

◆G20での為替議論、これまで考え方の再確認でそれ以上の議論ない
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041125-00000287-reu-bus_all
◆人民元改革の必要性、共同声明で訴える…G20閉幕
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041121-00000415-yom-bus_all
◆イラク向け債権80%放棄へ=米独が基本合意
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041121-00000808-jij-bus_all
◆米欧対立に終止符 パリクラブ、イラク債務80%削減合意
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041122-00000025-san-int

イラク支援国閣僚会議を控え、十八日から討議を再開して米欧の妥協点を探っていたが、ベルリンでの二十カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で米独が80%で合意し、これに仏露が追従した形だ。
 こうした背景には、イラク国際会議で「国際社会が一致してイラクを政治、経済的に支援していく」(仏外交筋)との強いメッセージを出すためには、イラク戦争での米欧の対立に終止符を打ち、債務削減率でも合意すべきとの共通認識が米欧に芽生えてきたことがある。イラクの債権国としては日本が約四十一億ドル(利子なし)でトップ。次いでロシア約三十四億ドル(同)、フランス約三十億ドル、ドイツ約二十四億ドル、米国約二十二億ドルなどとなっている。
(産経新聞) - 11月22日15時57分更新


(私のコメント)
このように日本が41億ドルとイラクに対する最大の債権国なのですが、米独間で話が決まってしまった。このような日本の財務省の対応ではますますカヤの外になり、最大の負担を強いられる仕組みができてしまっているようだ。日銀の理事などもG20ではたいした話し合いは行われていないと弁明しているが、日本政府の国際金融問題に対する緊張感の無さはどうしてだろう。

ケンミレ株式情報のサイトではG20でドル安による経常赤字の削減に踏み切ったと解説していますが、そのようなことが出来る状況なのだろうか。へたをすればアメリカはトリプル安で一気にドル暴落、株価暴落、金利の暴騰につながりかねない。それによる一番被害を被るのが日本なのですが、日本は徹底的にドルを買い支えるつもりなのだろうか。

グリーンスパンFRB議長もスノー財務長官も為替介入を牽制する発言をしていますが、その意図はなんなのだろうか。アメリカの政府高官が本気で言っているのなら、日本政府は正々堂々とユーロを外貨として保有してもいいということなのだろうか。そうであるとすればアメリカの自殺行為だ。だからアメリカの真意は逆なのだろう。

G20で話し合われたアメリカの本当の真意は、アメリカはイラクから撤退するからドル売りは仕掛けないでくれという要請があったのではないだろうか。ドルとユーロの対立においてイラク戦争はドルからユーロへの流れを食い止めるための戦争でもあった。それがあてが外れてイラク戦争は長期化してアメリカ本国の経済が重症になってしまった。だからG20はそれに対する手打ち式があったのではないか。

もしそうでないとすれば、ブッシュ大統領は再選されたのだから、トリプル安覚悟でドル安て経常赤字を改善しようという決意なのだろうか。しかしアメリカは世界最大の石油輸入国であり、ドル安で輸出が改善するものだろうか。例えばアメリカの自動車を半値に値下げすれば世界に売れるのだろうか。アメリカで売れるものは航空機と農産物ぐらいだからドル安が経常赤字の特効薬になるとは思えない。

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