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11月24日(ブルームバーグ):そのニュースは華々しくトップ項目で報じられることはなかった。だが、金融サービス最大手の米シティグループが香港上場の不動産会社、銀建国際実業(シルバー・グラント)に投資するというニュースは、2005年の大きな話題、つまり「中国の債務」の前触れといえる。
シティは不良債権投資中国最大手の子会社、シルバー・グラントに16.4%出資する。日本に次ぐ世界2位の不良債権市場で、米大手証券のゴールドマン・サックス・グループやモルガン・スタンレーと競争していくためだ。
中国の債券市場には十分な流動性がないが、それでも投資家たちは中国の次のゴールドラッシュに乗り遅れまいと急いでいる。中国の4大国有銀行とその資産運用会社は4500億ドル(約46兆6000億円)以上の不良債権を保有する。投資家は額面を大きく下回る価格で資産を購入し、世界で最も高成長を続ける中国経済の発展に伴い、利益の出る価格で売却することを目指す。中国では成長と投資のチャンスがほぼ同程度だ。中国は9%成長を続けており、ゴールドラッシュとでもいうべき心理から、世界で最も直接投資を集めている。
しかし、機能不全に陥った中国の金融システムは、景気の先行きに疑問を投げ掛けている。同国の主要銀行は銀行というより、政府の資金調達部門なのだ。このことが、国際的なリスク管理基準にほとんど照らすことなく融資を拡大するという組織的な資金配分ミスにつながった。結果として、優良な投資先への資金を細らせ、経済の多くの機能を滞らせるという日本に良く似た不良債権問題が起きている。
不良債権処理に6560億ドル必要
米大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、中国の不良債権処理には6560億ドルが必要と試算。一部には、さらに巨額な資金が必要とするアナリストもいる。S&Pにとって満足いくペースではないものの、処理は進行している。今年1月、中国は一部の金融機関救済に数百億ドル規模の外貨準備取り崩しを始め、続いて銀行幹部に不良債権処理の徹底を強く要請。最近では、海外投資家による不良債権取得を容易にする新規則を導入した。
この最新の動きは正しい方向への大きなステップであり、楽しみな2005 年へのお膳立てともなった。新規則の下で銀行の財務健全化が加速し、経済は高成長に向けた準備が一層整うこととなる。外国投資家による中国の不良債券購入額はこれまでのところ60億ドルに過ぎない。中国不良債権への投資は、リスクを恐れる人には向かない。今年9月に米投資ファンド、ローン・スター・ファンズが北京事務所の閉鎖と中国事業の縮小を決定したことがその表れだ。理由は取引が少ないためとしているが、その行動から不良債権処理の遅れと中国の銀行の芳しくない業績に対する海外投資家のいら立ちが見て取れる。
透明性の欠如
結局、官僚主義の中国では取引完了までに1年以上かかり、多くの政府部局で承認を得ることが必要となる。また透明性の欠如から、投資家は対象資産について必ずしも詳しく知ることができるわけではない。中国が現在進めている法整備では、債権者の権利執行は不完全との感がぬぐえないだろう。しかし、シティの出資話は、同社は面倒で高リスクのこの仕事に価値を見いだしていることを示す。シティは、シルバー・グラントに8億4500万香港ドル(約112 億円)を出資するとともに、合弁で中国の不良債券を買い取る会社の設立を計画している。
海外投資家による対中投資が適切かどうかは時間がたたないと分からないだろう。しかし、海外投資家が不良債権によって利益を得る理由はある。中国の銀行や資産運用会社は株式公開に向け、不良債権処理前倒しの必要性が高まっており、それは海外投資家にとっては低価格で不良債権を買いたたく機会を与えるだろう。
中国は日本が1990年代後半に経験した状況に近づきつつあるのかもしれない。日本は90年代半ばに、不良債権危機を最小限に食い止めた。2000年が近づくにつれ、その問題が経済全体にどれほどの逆風となるかを理解し始めた。投資家は好条件で債権を買いあさり、日本の企業改革の加速を後押しした。中国がその状況にあるとすれば、同国が海外投資家に向けて市場をさらに開放することは勇気づけられる。単純に、国内市場には経済成長のペースほど迅速に不良債権処理を行うだけの投資家は存在しないのだ。
チャンスは銀行の不良債権だけにとどまらない。中国は国有企業の一層の売却を計画している。米投資会社のカーライル・グループは先月、対中投資を現行の1億5000万ドルから10億ドル強へ拡大する計画を発表している。
これによって、景気過熱、汚職、貧困といった中国を悩ます問題が減ることはない。しかし、中国で正しい方向に向かっていることは何かと探すなら、それはきっと不良債権市場だろう。
(ペセック氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:The Next Great China Gold Rush -- Dodgy Debt: William Pesek Jr. (抜粋) {NXTW NSN I7NHFV1A1I4H 更新日時 : 2004/11/24 15:48 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html