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11月18日(ブルームバーグ):スノー米財務長官は米国がドルの対ユーロでの相場下落を阻止する意図がないことを繰り返し示唆しており、ドルの下落は続いている。アナリストや欧州の政治家の間では、米国が責任を果たすことに無関心だとの不満が高まっている。
だが、欧州は米国にいったい何を望んでいるのだろうか?貿易統計を見れば、ドルの下落が欧州経済にそれほど悪影響を及ぼしている様子はまだない。巨額の米経常赤字に歯止めをかけ、削減する過程で生じる不可避の痛みもまだ起きていない。それに、米国がドル安を阻止するためにできることもすべきことも実際には何もない。
米国が「強いドル」政策を続けるかどうかについて為替市場関係者がこれまで気をもみ、現在も固執しているのは奇妙なことだ。というのも、米国がそんな政策をとったことはこれまで全くなかったからだ。
一般的に、通貨の価値は主にその国の金融政策によって決まる。だが米金融当局が政策金利決定に際してドルの価値を重視したことはごくまれなケースだけだし、最近では皆無だ。スノー長官はじめ最近の財務長官が金融当局にドルを支えるよう圧力をかけたことなど一切ない。
金融当局はインフレ抑制など純粋に国内的な理由で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を引き上げている。米国の為替政策を批判する者は、景気減速につながりかねない迅速で大幅な利上げを望み、そうした利上げがドルを支えると考えているのだろうか?
欧州から見れば、米経済成長が鈍化することは、欧州などからの米国の輸入減少につながり意味がない。欧州の懸念は結局、ドル下落がユーロ圏の対米輸出で価格競争力を失う原因になるということでしかない。
日本と中国
欧州の政治家らは米政府に対し、膨大な財政赤字を削減するよう繰り返し呼び掛けている。米国の財政赤字と経常赤字を穴埋めするために、米国は資金流入を必要としているが、この資金流入が減少するということは、米貿易赤字の縮小と同時に、欧州の輸出製品・サービスの需要が米国で減少する可能性があることを意味する。
これは米国以外の国々にとって不愉快な現実だ。米経常赤字の縮小は米国の輸出が輸入を大きく上回るペースで拡大するということであり、つまりは米国以外の国々が米国の製品とサービスを一層受け入れる一方で、対米輸出を減らしていく必要があるということだ。
日本の場合、通貨当局による市場介入が今年初めの円高・ドル安にブレーキをかけたが、ここ数年間の円の変動は、米国が輸入した日本製品の価格にほとんど影響を与えていない。2001年初めから2002年初めにかけ、円は1ドル=110円から134円付近まで下落したが、その後は円高方向に反転し、昨年後半にかけ強含んだ。
たが対照的に、日本製品に対する米国の輸入価格の変化はごくわずかで、 2002年初めのドル高のピーク時と比べると現在は約5%下落している。円高になったからといって輸入価格が上昇したわけではない。
また、中国による人民元とドルのペッグ(連動)制について、スノー長官も欧州各国も批判を続けているが、その批判も今のところ無駄に終わっている。
欧州の政治家が、米国の経常収支が調整され、経常赤字が減少する際の負担を欧州がすべて負う必要はないはずだと言っているのは正しい。日本、中国、それに自国通貨にペッグ制を採用しているほかのアジア諸国は、自らがやるべきことがあるはずであり、それぞれの役割を果たすべきだ。どの国も自らの輸出市場を失いたくはないであろうが。(ジョン・ベリー)
(ジョン・ベリー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:The U.S. Has Never Had A `Strong Dollar' Policy: John M. Berry (抜粋) {NXTW NSN I7CZLE1A1I4H 更新日時 : 2004/11/18 14:28 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html