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米との惜別を決意せよ
H16/11/18
アメリカの大統領にブッシュが再選された。そのことについて、書きたいことはたくさんあるのだが、今回はブッシュがおこなった減税政策について取り上げる。
「融資」でなく「貢ぎ」
米財務省が十月に発表した二〇〇四会計年度の財政赤字額は四千百二十五億五千三百万ドルと、二年連続で過去最大を更新した。また世界貿易機関は、アメリカの二〇〇三年の貿易赤字が五千二百億ドルを超えたと発表している。これらの数字は日本政府があがめ、追随しているアメリカという国がとんでもない借金地獄に陥っていることを示している。それに対して、日本政府は外貨準備高として九月末で約八千三百億ドルを保有している。
以前から私は、日本政府が外貨準備高で米国債を購入していることは「融資」ではなく「貢ぎもの」だと主張してきた。たとえば一ドル一八〇円の時代に購入した米国債が償還時に一二〇円になれば、アメリカは三分の二だけを償還すればよく、三分の一は日本の納税者の負担となる。これは日本が長年にわたってアメリカの植民地としての役割を担っていること示す一つの例である。
日本は独立国だと反論するだろうが、植民地は、宗主国に対して天然資源供給地となる、宗主国がその領土の一部を所有している、植民地の軍隊は宗主国が指揮する、植民地の税金は宗主国の意のままである、といった特徴がある。日本は確かに表向きには主権国家だが資源の代わりに資金を供給し、米軍基地をおき、自衛隊はアメリカの指示でイラクへ派遣されていることをみれば、日本が「植民地」状態にあることは明白で、小泉は総督として手腕を発揮しているといえる。しかし、宗主国が借金で破たん寸前にあることを総督は理解しているのだろうか。
借金国アメリカ
アメリカの財政赤字はレーガン政権時代、ごく少数の金持ちの所得税を70%から38%に減税することから始まった。ふれこみはこれによって投資が活発になり、経済が活性化されるというものだったが現実は反対だった。アメリカは不況におちいり、財政赤字が膨らみ、大統領に就任した一九八一年に九千九百五十億ドルだった債務は十二年後には四兆ドルにも増大した。
次のクリントンが金持ちに増税して労働者層を減税し、アメリカには史上最長の好景気がおとずれた。米政府は財政黒字となって借金を返し始めたが、再びブッシュ大統領になるとレーガン政権のやり方にもどり大金持ち優遇が始まった。そして再び財政赤字が累積したのである。今回のブッシュ再選で小泉総督は胸をなでおろした心境であろうが、しかしこれはアメリカの赤字がこれからも増え続けることを意味している。
また貿易赤字は、アメリカが輸出額より毎月五百億ドル多く海外からモノを買っているということである。つまり世界に米ドルをあふれさせているのだが、これほど危険なゲームはない。誰かが「もうドルはいらない」と抜け始めたらドルは暴落し、最後には誰かの手にババ抜きのように紙切れになったドルが残される。現実に、すでにドルは昨年から徐々に下がっている。
海外投資家を引き付けるには金利を上げるしかないが、金利が上がればすでに停滞しているアメリカ経済はさらに末期状態になる。なぜならそれで当然民間の借金の金利も上がり、これによって投資が減退し、成長が停滞し、経済はさらに悪化する。これが借金財政の避けられない運命なのだ。
破たん見える時代
問題は富裕層を減税しても消費が増えないことだ。すでに車は複数台持っているし、高価な外国製品を買い、休暇は海外で過ごし、外国に投資するか、使わないお金は銀行の預金口座で増えていく。その一方で中流以下の働く人々は、所得のほとんどすべてを消費にまわす。自動車の修理代、子供には新しい服や靴が必要だし、家賃も払わないといけない。アメリカでも個人消費がGDPの67%を占める。
国家所得が、所得の多くを消費にあてない人のところに回り、そして消費に回す人のところへいく所得が減少すれば、経済が停滞するのは当然だ。金持ちに富が移るのと同じ速度で、GDPを支える購買力が不足する。そんな悪循環の借金地獄のなかで、日本が貸している八千三百億ドルがどうなるか誰もわからない。さらに日本もGDPの140%にもなる公的債務を抱えているのだ。
「政治が悪い」と言ってみてもしかたがない。腐敗した政治家を選び続けてきたのも、無関心を装ってきたのもアメリカの、そして日本の、国民なのである。しかし世界情勢が大きく揺れ動き、金融破綻や政界の汚職が以前よりもこの目ではっきりと見える時代になったことは確かで、十年以上こんなことを言いつづけてきた私の言葉に耳を傾けてくださる人も増えてきている。
借金国アメリカの破たんで日本が大きな被害を受けるとしたら、それは日本国民をめざめさせ、アメリカとの惜別を決意させるための計らいかもしれない。(アシスト代表取締役)
http://www.nnn.co.jp/essay/tisin/tisin0411.html#18