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10月27日(ブルームバーグ):今年初め以降、金融政策にほとんど変化がないことは、日本銀行の動向を注視するエコノミストにとって実に気の毒なことだ。2005年についても大きな動きは予想されていない。
マッコーリー証券の日銀ウォッチャー、リチャード・ジェラム氏に尋ねると、7年にわたるデフレに終息の兆しがほとんど見えないなかで、日本の金融当局は「現状維持という一貫したアプローチを取る」と予想されるという。
ゼロ金利政策と量的緩和を継続する日銀には何も期待できないとなると、政府の責任を問うべきなのだろう。ただ問題は、政治家が円安による景気回復支援という安易な方法を選びそうなことだ。
今回の景気回復で明白なことが2つある。1つは朗報、もう一つは悪いニュースだ。朗報は、力強い経済成長と生活水準の向上、雇用の増加を享受できる過去14年間で最大のチャンスが日本に訪れていることだ。逆に悪いニュースというのは、この景気回復は世界が望んだような自己増殖的なものではなさそうなことだ。
29日に「経済・物価情勢の展望」を公表する福井俊彦日銀総裁は26日、この点を明確にした。「日本経済はまだ少しデフレの要素を残していて、特殊な状況を脱しきれていない」との見解を示したのだ。
消費者心理低迷
これは、問題が資金供給よりも需要であるということをだれよりもよく承知している人物によるうまい表現だ。規制緩和を推進しながら政府債務を削減し、女性の就業機会を広げ、年金制度改革を進めれば、将来に対する消費者の不安は減り、日本の状況は好転するだろう。日本の景気回復の背景にある世界経済の力強い成長や企業セクターの健全化は相変わらずだが、個人消費を押し上げるには至っていない。
小泉純一郎首相は、ここで景気回復を台無しにしかねない自己満足に陥ってはならない。消費者がいったん信頼を取り戻せば、日本の経済成長と金融市場は栄光の1980年代の水準に戻るはずなのだから。
ところが、そうなる可能性は高くない。10月23日の新潟中越地震がいい例だ。今のところは復興作業による経済効果に関心が集まっており、投資家はどの建設会社の株を買ってどの保険会社の株を売ればいいかと憶測するのに忙しい状況だ。今回の地震は、阪神大震災よりも大きな地震が発生するという不安を1億2700万の国民に与えたが、今回の地震に対する小泉政権の初動は鈍かったと評価されており、大都市での大災害や大規模テロ攻撃が発生した場合の政府の対応能力に対する信頼は低下している。
数量化することは困難にせよ、こうした信頼の低下は、小泉政権が本当に繁栄を取り戻せるという国民の信頼をも後退させることになろう。日本人の多くは、貯蓄がないから買わないのではない。雇用不安が払しょくされないために消費しようとしないのだ。信頼感の問題によるところが大きいのだが、小泉政権の経済運営にはその信頼がほとんどない。
円安
日銀に信頼があるかどうかもはっきりしない。その結果、「量的緩和策解除のめどは立たない」とリーマン・ブラザーズ・ジャパンのチーフエコノミスト、ポール・シャード氏は指摘する。
日銀がデフレの早期終息について真剣に議論していないことも、日本の景気が正常な状態に戻るという期待に冷や水をかけている。このため、日本が再び円安誘導による景気てこ入れ策に舞い戻っても全く不思議ではない。これは小泉首相の最も一貫した政策であり、過去1年間で円が対ドルで2.2%上昇したことに満足しているわけはない。谷垣禎一財務相は今週、通貨安定のために行動する姿勢があると表明している。
景気に強気な姿勢が広がっていた半年前には、政府当局者は円相場にほとんど気に掛けていなかったのに、ここにきて円相場に急に注目し始めたのは、景気回復が頭打ちしたのを暗に認めるようなものだ。第2四半期(4〜6月)の成長率は1.3%と1年ぶりの低水準となり、政策当局のレーダーに再び円相場が映り始めたのだ。
日銀ウォッチャーは長期休暇を取れそうだが、為替トレーダーはここ数カ月、動向注視に極めて多忙な日々を送ることになりそうだ。(ウィリアム・ペセック・ジュニア)
(ウィリアム・ペセック・ジュニア氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:An Extended Vacation for the Bank of Japan: William Pesek Jr.抜粋) {NXTW NSN I67JVT1A74E9 更新日時 : 2004/10/27 15:41 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html