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10月25日(ブルームバーグ):ゴルフ場運営のペブルビーチと映画制作のユニバーサル・スタジオ:中国人民元の切り上げを求めているブッシュ政権にとって、忘れてはならない資産だ。
米国の象徴とも言えるこれらの資産を日本勢が買収した1980年代。米経済の将来に対する不安は全米中に広がった。連邦議員の1人は、米国は「急速に日本の植民地化している」との警戒をあらわにした。
当時、米国民をうんざりさせていたのは日本の巨額の貿易黒字よりも、日本勢が米国の資産を安く買いたたくという認識だった。日本と同様に中国も米国の恐れと嫌悪の対象になるだろうか?答えはどう考えてもイエスだ。人民元の切り上げが行われれば、そういう日が来るのも早まるかもしれない。
人民元相場が10%、20%、また一部アナリストが予想するように40%上昇すれば、中国勢はより手ごろな値段で米国の著名な企業や資産の買収が可能になる。中国は15?20年前の日本のように、購買力を強めることで米国の批判を浴びる可能性がある。
もちろんこうした見方は時期尚早かもしれない。実際、中国の国民1人当たりの所得は、平均的な米消費者の所得の1割程度にすぎない。世界規模で事業展開する国際的で知名度の高い中国企業が少ないことも事実だ。
将来の話
しかし、状況は急速に変化している。バンク・オブ・アメリカ・キャピタル・マネジメントの主任市場ストラテジスト、ジョゼフ・クインラン氏は「今日および将来の関心事は、中国に流入する外国資本の規模ではない」と指摘。「関心事は、中国企業の海外進出に伴い対外投資資本の国外流出が増えていることだ」と語る。人民元のドル・ペッグ(連動)制をめぐる議論に埋もれてしまった重要な視点だ。
ペッグ制廃止の副作用を見極めようとするエコノミストは、米国債に注目することが多い。中国勢は現在、ペッグ制を維持するため米国債を購入している。これが国内総生産(GDP)の6%に近づいている米国の経常赤字の穴埋めに役立っているわけだ。このため中国勢の米国債購入が減少することは、米国債利回りが上昇し、米経済の成長ペースが鈍化することを意味する。
人民元の上昇によって海外進出を加速させる「中国株式会社」が、米国企業にとって新たな脅威になる可能性も高い。
カナダでは既に現実のものとなっている。同国最大手の鉱山会社ノランダは先月、中国大手の中国五鉱有色金属から70億カナダ・ドル(約6000億円)の買収提案を受けた。カナダの議員にはこの買収を阻止する動きも見られるが、今後こうした案件が北米企業にとって日常茶飯事になる可能性もある。
それは日本の例からも分かる。第二次世界大戦に敗戦し経済が壊滅的な状態となった日本勢が、コロンビア・ピクチャーズやペブルビーチ、ロックフェラー・センター、ユニバーサル・スタジオなどの著名な米国資産を買収することなど、1970年代には考えもつかなかった。
経済繁栄モデル
安い通貨、保護された国内市場、輸出主導型の経済モデルを推進する政府:中国株式会社の現在の状況は約30年前の日本の状況に似ている。中国も同じ道をたどるのだろうか?日本が当時抱えた課題を現在の中国が共有していることを考えれば、その可能性はかなり高い。
クインラン氏は「米国が貿易不均衡をめぐり中国を批判すればするほど、中国企業が今後想定される貿易障壁をかわすため、米国に直接投資する動きが増えるとみている」と言う。
1980年代に年平均4億5000万ドルだった中国の対外直接額は、90年代に同 24億ドルに拡大。2000年代に入ってからの平均は30億ドルだ。世界全体からみると規模は小さいが、日本勢の対外投資が始まったのもこの程度の水準からだった。
険しい道
中国は経済が過熱寸前の深刻な状態にある。学ばなければならないことも山ほどあり、道は険しい。多国籍企業が、国際経験が乏しい中国企業との新たな争いで簡単に負けるはずもない。
中国政府は国内企業の海外進出を後押しし、企業幹部に海外視察を促すとともに、海外進出企業に優遇措置を適用している。数十年前の日本のようだ。
「米国よ、準備せよ」と、クインラン氏は言う。「中国株式会社がやって来る」。
(ウィリアム・ペセック・Jr氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:A Chinese Pebble Beach or Universal Studios?: William Pesek Jr.
{NXTW NSN I648T407NBB5 更新日時 : 2004/10/25 14:51 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html