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<無年金者>会計検査院が80万人と推計 現役で払い損も
年金保険料の支払期間が規定の25年に満たず、今後払い続けても老齢基礎年金(国民年金)の受給権を得られない人と、既に無年金者となっている人が推計で約80万人に上ることが、会計検査院の検査などで分かった。国民年金の未納率が36.6%(03年度)に達するなど、公的年金は空洞化が進んでいるにもかかわらず、政府の未納対策は強制徴収の強化など小手先にとどまっており、このままでは今後さらに無年金者が増える可能性もある。
老齢基礎年金は、国民、厚生、共済の各公的年金共通の制度。各制度を合算して25年以上加入した65歳以上の人に支給される。納付期間は例外を除いて60歳になるまで。満額支給なら月額約6万6000円だが、制度への不信感も重なり、国民年金未納率は02年度に過去最高の37.2%に達した。無年金者が急増する可能性が高いが、社保庁は、海外赴任期間など、年金額には反映されなくても加入期間とみなされる「カラ期間」のデータがないことなどを理由に「現在の人数は不明」というのが公式見解だった。
検査院は、国民年金の未納率が高まり社会問題化しているため、事務の執行状況などを調べた。
その結果、60歳未満の現役の被保険者のうち、今後納付しても期間が25年未満で、“払い損”になるため督促名簿から外している約40万人分のデータを社保庁が持っていることが明らかになった。検査院は、このデータを「現役の被保険者に含まれる無年金者の実態に近い数字」と判断した。
一方、65歳以上の「無年金者」については長妻昭衆院議員(民主)の質問主意書に、社保庁が今年8月、40万7000人と回答。これに60歳未満の約40万人を合わせると80万人を超える。
この数字には60〜64歳のデータが抜け落ちており、無年金者はさらに増えると見られる。無年金者は富裕層を除くと生活保護対象者になるとみられ、財政圧迫要因ともなる。
ただ、加入者が死亡した場合、妻子に支給される遺族基礎年金、加入者が障害を負った場合に受け取る障害基礎年金については、保険料納付済み期間が全加入期間の3分の2以上あれば、加入期間を問わず支給される。
自分の納付期間は最寄りの社会保険事務所で確認できる。【神戸金史】
◆「無年金者」なくす努力を
老齢基礎年金(国民年金)の受給権のない「無年金者」の増大は、生活保護費の膨張などを通じて社会保障財政の圧迫要因になるだけでなく、社会不安の拡大につながる恐れもある。現在と将来を合わせて無年金者が約80万人に上るという今回の推定値にはなおあいまいな部分もあり、「年金の世界」から外れた人びとについての実態把握を怠ってきた厚生労働省は、早急に態勢を立て直す必要がある。
日本の公的年金制度は財源の中心を保険料でまかなう社会保険方式を採用している。「負担に見合う給付」を原則としているため、一定期間以上、保険料を支払っていなければ、年金受給権が発生しない仕組みになっている。制度設計上、無年金者が生まれることは当然予想されたことだが、同省や社会保険庁は「受給権者への支給が我々の業務。権利のない人の数は把握していない」として事実上、無年金者の存在を無視してきた。
受給権に関して国民年金法には「25年規定」が明記されているが、02年度の社保庁調査で、国民年金加入者の4割がこの規定を知らないことが分かっている。ところが同庁に目立った対応は見られなかった。逆に、国民年金の未納率が4割近くに達し、25年規定によって無年金者がさらに増えるという悪循環に陥りつつある。
外国の場合、年金受給権を得るのに必要な加入期間は、仏3カ月▽スウェーデン3年▽独5年▽米国10年――など。日本は群を抜いて長い。社会保障制度の違いもあり、単純には比較できないが、政府が「国民皆年金」を標ぼうする以上、無年金者をなくそうとする行政の努力が必要だ。【吉田啓志】
(毎日新聞) - 10月15日3時6分更新