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大手スーパー・ダイエーの再建問題で、産業再生機構がダイエー側に支援申請の期限と通告していた12日が過ぎた。産業再生機構によるダイエーの債権買い取りを前提にした銀行側の筋書きは、当面崩れた。民間スポンサーによる再建策の入札が行われる18日以降、ダイエー再建の新たな筋書きが模索されることになる。
ダイエーの経営問題は債務の過剰に尽きる。その原因を振り返れば、バブル経済時代の銀行による過剰融資とダイエーの放漫な投資だった。98年に経常赤字に転じ、以降ダイエーは銀行の不良債権処理問題の主役でありつづけた。
問題の焦点は、大口債権企業を市場から退場させるか再生させるかという選択だった。企業側が再生を選択するのは当然であり、問題は主力行の選択だった。
01年に主力行は1200億円をダイエーに出資し、5000億円の融資枠を用意した。また、02年には5200億円を債権放棄し、新しい経営再建計画を承認した。主力行は、ダイエーの退場よりも再生を選択したのだ。
背景には、雇用問題の発生を懸念する政府の意向も見え隠れしたが、何より主力行の経営体力が弱く、ダイエーを法的整理した場合に発生する巨額の損失をきらったという事情もあった。
03年4月には産業再生機構が発足した。政府保証の下で得た融資を原資に、出資・融資・債権買い取りなどを通じて事業を再生する仕組みだ。支援の有力候補の一つはダイエーと見られた。しかし主力行は動かなかった。産業再生機構が買い取る債権の価格が低過ぎるというのが、銀行が産業再生機構利用に消極的な理由だった。
状況が一変したのは、金融庁の検査でUFJ銀行が不良債権処理の大幅な積み増しを迫られたことだった。来年3月までに不良債権を半減させる目標の達成が困難になり、UFJ銀行は大口債権者であるダイエーの早急な処理を迫られた。そこで浮上したのが、産業再生機構の利用だった。
こうして見ると、ダイエーについて退場より再生を選んだこと、当面の出資や債権放棄で問題を先送りしたこと、急に産業再生機構の利用に方向転換したことなど、すべては銀行の都合だった。
主力行の主張に説得力があるとは思えない。バブルに踊り、問題を先送りし、行き詰まると軽視してきた産業再生機構を利用しようとする。金融危機は去ったが、まともな金融機関がいまだに少ないこの国の不幸といえよう。
他方、主力3行の説得にがんとして応じなかったダイエーの姿は、これまでの日本経済には見られない光景だった。国内や海外の資本が日本の事業再生ビジネスに参入してきたことで、ダイエーは「民間だけでも事業の再生はできる」と主張することができた。
UFJ銀行の経営問題が金融危機につながる恐れはなさそうだ。事業再生の手法も多様化している。そうした変化を踏まえて18日の入札を待ち、ダイエー再建に冷静に取り組めばいい。
毎日新聞 2004年10月13日 1時10分
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20041013k0000m070157000c.html