12月８日（ブルームバーグ）：内閣府が８日発表した04年７-９月の国内総生産（ＧＤＰ、季節調整値）の改定値（２次速報）は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.1％増となった。１次速報（新方式・暫定値）の同0.0％減からやや上方修正されたが、市場の事前予想には及ばなかった。年率換算ではプラス0.2％成長。

今回は過去数値も変更、４-６月が0.1％減のマイナス成長となり、03年４- ６月から続いていたプラス成長が４期連続でストップ。７-９月もわずかのプラスにとどまり、04年度入り後に景気が急激に減速した姿が浮かび上がった。

ブルームバーグ調査では７〜９月の実質ＧＤＰは前期比0.2％増、同年率プラス1.1％成長が見込まれていた。最近の経済指標は弱い動きが目立ち、景気減速感が一段と強まっている。景気転換のサインと言われる景気一致指数が10月に３カ月連続で判断の分かれ目となる50％を下回るなど、景気後退局面入りの懸念も強まりそうだ。

竹中平蔵経済財政･郵政民営化担当相は記者会見で、景気は引き続き警戒感を持って動向を見ていく必要があると慎重な姿勢を維持したものの、「上り坂のなかの微調整にある」と述べ、今回の数字で景気認識を変える必要はないとの考えを強調した。

バークレイズ・キャピタル証券の山崎衛チーフエコノミストは、04年４?６月、７?９月にかけほぼゼロ成長となったため、日本の景気が足元で弱まっていることを確認する数値になったと指摘。ただ、景気全体の判断を変更する必要はないとし、足元の景気停滞は一時的な踊り場だとの判断を示した。

消費は下方修正、設備投資は上方修正

需要項目別にみると、個人消費が前期比0.2％増と１次速報（新方式、暫定値）の同0.6％増から下方修正された一方で、民間設備投資は同1.1％増と１次速報の同0.8％減から上方に修正された。民間住宅投資も１次速報の同0.2％増から上方に修正され同0.7％増となった。

一方、公共投資（公的固定資本形成）は同2.2％減と１次速報の同3.7％減から上方修正された。輸出は同0.6％増（１次：同0.4％増）、輸入は同1.8％増（１次：同2.3％増）となった。

民需の成長率への寄与度はプラス0.2％だったのに対し、外需の寄与度はマイナス0.1％となった。より実感に近い名目ＧＤＰは前期比0.0％減。ＧＤＰデフレーターは前年同期比1.3％下落となった。

メリルリンチ証券の会田卓司シニアエコノミストは、内需の拡大により05年度にデフレを克服するというシナリオに沿った結果だとみている

03年度は1.9％増にダウン−定率減税議論へ影響も

同時に発表された03年度の実質ＧＤＰは前年度比1.9％増と、これまでの同 3.2％増から下方修正された。

住友商事総合研究所の奥田壮一シニアエコノミストは03年度の実質ＧＤＰが下方修正されたことを受け、今後、民間調査機関でも経済見通しを下方修正する動きが相次ぐと指摘し、政府・与党の定率減税廃止・縮小の議論にも影響を与えるだろうと語った。ただ「景気後退に陥っているとみるのは早計」とも指摘した。

三井住友アセットマネジメント、アセットアロケーショングループの武藤弘明エコノミストは、「04年度中のＧＤＰは弱い」とし、鉱工業生産、景気のイメージ同様に今回の結果を受け04年度ＧＤＰも実質的に下方修正されるとみる。05 年度については、循環的な景気のリバウンドが見込まれることから、再び1.3? 1.5％程度の潜在成長率を上回るペースに戻るとみている。

算定方式を変更

今回の２次速報からＧＤＰ算定方式が変更された。これまでＧＤＰ２次速報では、１次速報発表後に公表された法人企業統計季報などを用いて、民間設備投資、在庫投資などが再計算されてきた。今回の発表では、こうした従来の改定に加え、連鎖方式の導入のほか、一部推計方法の変更、03年度確報発表に伴う季節調整係数変更などが行われた。

11月12日に内閣府が発表した旧方式での７-９月ＧＤＰ１次速報は実質で前期比0.1％増、同年率プラス0.3％成長。その後、内閣府は新算定方式で試算した暫定値（前期比0.0％減、同年率マイナス0.1％成長）を公表した。

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更新日時　: 2004/12/08 12:07 JST

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