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鈴木創士(すずきそうし)1954年生まれ。
フランス文学者
著書『アントナン・アルトーの帰還』、
訳書、シャべス『歓待の書』『問いの書』
バディウ『ドゥルーズ 存在の喧騒』
ソレルス『女たち』
アルトー『ロデーズからの手紙』(共訳)他。
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(帯文)
十代から、最後まで親友だった
S=エスから見た、
その苛烈な生のすべて
らも は言った。
『生き残ったのは俺とお前だけだ』
君と知り合って三十四年になる。
最初にであったとき、君は高三で僕は高一だった。
どんな風に出会ったのかはよく覚えていない。
場所は神戸・三ノ宮のジャズ喫茶「バンビ」だったと思う。(本書より)
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(小生のコメント)
朝日新聞に連載されていた明るい悩みの相談室での、『中島らも』とは全く違った「素っ裸」の
『中島らも』に出会うだろう。高校時代からの無二の親友が語った赤裸々な『中島らも』がそこ
にいる。
扉の裏には、
『アル中の手の震えのように美しいスカラベは、地平線に姿を消していった。』
―ロートレアモンの『マルドロールの歌』、第五歌
スカラベ @タマオシコガネ(フンコロガシ)
A古代エジプトの護符、再生を象徴する。
最後の著者の文に、不覚にもジーンときてしまった。それを引用しときます。
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(本文最後より引用します)
頭の中で、純白の雪が静かに、降りそそぐ。
音も立てずに、後から、後から小雪が降り積もる。
雪原の上には、狼たちの足跡・・・。
闇の中に遠吠えが聞こえる、とても遠く、とてもかすかに。
それは夜の向こう側に次第に消えていく。
反対方向に目をやると、満月の冷たく蒼白い光が黒い森のすべてを煌々と照らし出している。
おまえはもうそこで見えなくなる。・・・・・
ひとりのノマドとひとりの僧侶が、砂漠で黙って焚き火を囲んで座っていた。
火があかあかと燃えていた。それが俺たちの最良の姿だった。
ひとりの禿鷹とひとりの病人が、
ひとりのジャンキーとひとりの聖具係が、
ひとりの盲目の音楽家とひとりの廃嫡者が、
ひとりの暗殺者とひとりの廃業したテキ屋が、
ひとりのジプシーの手相見とひとりの年老いた酔っ払いが、
ひとりのサーカス団長とひとりの原始キリスト教徒が、
ひとりの楽器職人とひとりの気違い帽子屋が、
ひとりの反物質とひとりの芸人が、
ひとりの魔法使いとひとりの弟子が、なかよく並んで座っていた。
風はそよともしない。
地平線の向こうに陽が沈み、もう一日がくれようとしていた・・・。
この本に書かれたすべての言葉を君に捧げることができるなら、
あらためてこの本を永久に消えることのない君の「死」と「生」の両方に、
そして君のすべてに捧げることができるなら、
それなら、もう僕には言うことは何もない。 (引用終わり)
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