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http://hotwired.goo.ne.jp/
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20050124304.html
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2.5億年前の大絶滅は隕石衝突が原因ではない
Amit Asaravala
2億5000万年前に地球上の大部分の生物が絶滅したのは、隕石の衝突が原因ではなく、
地球の温度が徐々に上昇した結果だ――このような研究結果が、1月20日付『サイエンス』誌
オンライン版に掲載された。
隕石衝突説の有効性に疑問を投げかけた研究は、過去2ヵ月間でこれが2つ目となる。
隕石衝突説とは、巨大な小惑星または彗星が地球に衝突し、地球規模の大量絶滅――科学者たちは
「大絶滅」(Great Dying)と呼ぶ――が起こったと主張するものだ。
仮にそうであれば、2億5000万年前の隕石の衝突は、6500万年前に恐竜を絶滅させたと
広く信じられている衝突と同じようなものだっただろう。だが今日までのところ、大絶滅に
関する証拠は恐竜絶滅に関する証拠に比べて格段に少ない。
「衝突によって1つの絶滅が引き起こされた可能性があるとすれば、他のあらゆる絶滅の
ケースについてもその可能性があると、科学界では誰もこういう見方をする」。今回の研究論文の
主執筆者であるワシントン大学のピーター・ウォード教授(古生物学)はこのように述べた。
「私は大絶滅が衝突によって引き起こされた証拠を探すために(南アフリカに)出掛けたが、
現地で調べた結果、この仮説は間違っていると考えた」
ウォード教授をはじめとする研究者たちは、南アフリカのカルー盆地に赴き、ペルム紀末と
される大絶滅の時期の化石を調査した。だがその結果、多数の動物や植物がいちどきに絶滅した
のではなく、1000万年近くかけて徐々に絶滅に向かっていった痕跡が見つかった。その後、2度目の
絶滅に向かう時期があったとみられ、およそ500万年間続いたと考えられる。
こうした経緯から、大絶滅の原因は、隕石の衝突ではなく、地球温暖化や酸素濃度の低下と
いった長期にわたる環境の変化の可能性が高いとウォード教授は述べた。ペルム紀末に続けて
起こった火山の噴火で、それまで海底で凍っていたメタンガスが放出され、それがこうした変化を
引き起こしたのではないかという。ウォード教授はさらに、調査した堆積物の中に、小惑星に
よって地球に運ばれるイリジウムや、大規模な衝突のために変形した「衝撃」石英など、通常は
隕石の衝突と関連付けられる鉱物のたぐいが見つからなかったと付け加えた。
こうした発見――またはあるべきものが発見されなかった事実――は、2004年6月にサイエンス誌に
掲載されて物議を醸した研究論文(日本語版記事)と矛盾する。この論文で、カリフォルニア大学
サンタバーバラ校の地質学者であるアン・ベッカー博士ら数人の科学者たちは、オーストラリア沖に
巨大な衝突クレーターが埋まっている証拠を発見したと主張した。このクレーターができた時期は、
大絶滅期の初めである可能性があり、これが大量絶滅の原因だと思われると論文には書かれている。
だが論文の発表以来、多くの地質学者がこの証拠に疑問を呈してきた。
『バークレー地球年代学センター』のポール・レン所長は次のように述べる。「この論文にかかわった
科学者たちは、広い範囲で批判を受けている。主張の多くは全く支持できないものだからだ」
隕石衝突説に対しては、昨年12月にも強力な反論があった。ウィーン大学の地質学者、クリスチャン・
コーベール氏が率いる研究チームが『ジオロジー』誌に論文を掲載し、西ヨーロッパのペルム紀末期の
岩石の標本には、イリジウムと衝撃石英が含まれていないと発表したのだ。
6月に発表された衝突説の論文をベッカー博士と共同で執筆した、ロチェスター大学の地球化学者、
ロバート・ポレダ博士は19日(米国時間)、自分のチームの研究の正当性を主張し、自分はまだ衝突説を
支持していると述べた。
「衝撃石英の形跡がなかったことについては、さまざまな要因が考えられる。1つは、南アフリカの
カルーには、分析に足るだけの完全な(堆積物の)切片がなかったという点だ」とポレダ博士。
さらにオーストラリア沖に衝突した隕石は、大量の衝撃石英の生成につながるような適切な岩石に
当たらなかったのだろうとポレダ博士は述べた。また博士は、小惑星ではなく彗星の衝突であれば、
恐らくイリジウムは運ばれなかっただろうと付け加えた。
バークレー地球年代学センターのレン所長――前述のいずれの研究にもかかわっていない――は、
ポレダ博士の主張は合理的だと考えている。だがその一方で、自身を含めた同センターの研究者の多くは、
衝突説から徐々に離れつつあるのだとレン所長は述べた。事実レン所長自身の研究は、大絶滅は徐々に
進行したという説を裏付けるものなのだという。
「酸素濃度や炭素という観点から、大気が変化していたことがわかった――そしてどれも、変化が
恐らく100万年にわたって進行したことを示唆していた。われわれは現在、主たる大絶滅の波は10万年間
続いたと考え始めている。地質学の観点では、10万年はかなり短い期間だが、一瞬とは違う」とレン所長。
この論争に決着を付けるため、科学者たちは現在、フラーレン――内部にガスを閉じ込めることができる
小さな炭素のボール――に着目している。大絶滅初期の堆積物から採取したフラーレンに、地球よりも宇宙で
一般的に見つかるガスが含まれることが判明すれば、その時期に巨大な隕石が地球に衝突した可能性が高くなる。
だがこの方法にも問題があるとレン所長は注意を促す。
「フラーレン内部のガスと衝突とを関連付けるには、非常に多くの作業が必要になる。(確認された衝突の)
タイミングが完全に一致すること。さらにガスの濃度が異常であることを示す必要もある」とレン所長は述べた。
[日本語版:天野美保/多々良和臣]
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