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http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/europe/news/20050124k0000e040018000c.html
【ローマ海保真人】イタリアで「ロット」と呼ばれる数字選択式の宝くじをめぐり、破産者や自殺者が相次いでいる。20カ月近く出ていない「53」という数字を狙い、大金をつぎ込む人が続出しているためで、国民のロトへの熱狂ぶりは社会問題化している。
ロットは1から90までの数字を最大五つ選ぶ賭け事で、11倍から最大9700万倍の当選払戻金が見込まれ、国内10都市で毎週2回、それぞれ抽選を行っている。このうちベネチアで「53」が03年5月以来、178回の抽選で出ていないことから、「次こそ53」という予想とうわさが全国に一気に広まり、賭ける人が急増した。
イタリア紙によると、この結果、今月13日には家計を全額ベネチアの「53」に投じた女性が自殺。18日には「53」に賭けるため、勤務先の銀行から100万ユーロ(約1億4000万円)を持ち出した行員が逮捕された。さらにフィレンツェ近郊で「53」のため借金が膨らんだ55歳の男性が、妻と子を殺害したうえ自殺、悲惨な事件が続々と表面化した。
イタリア人はもともと賭け事好きで知られ、ロットの原形は1871年に生まれたという。ロットは国営公社が運営するため、国の重要な財源にもなっている。昨年は100億ユーロ(約1兆4000億円)が賭けられた。国民の約3500万人がロットを含む各種くじに日常的に賭け、うち約70万人が「中毒者」になっているという推計もある。
専門の精神療法学者は「『中毒者』の半数以上は女性で、老人のほか若い世代にも増加傾向が見られる」と指摘。一部の消費者団体は、政府に対し「しばらく『53』を賭けの対象番号から外すべきだ」と訴え始めている。
毎日新聞 2005年1月24日 10時14分