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【北京=竹腰雅彦】「多生(多産)処罰」から「少生(少産)奨励」へ――。国民管理や大衆動員の手段として、伝統的に「口号(コウハオ)」(スローガン)を多用してきた中国で、標語の改革が進んでいる。
政治色や強制色が強すぎ、民衆の反発を招いてきた標語を、より「文明的」に変えようというものだ。改革には、民心の党離れに対する政権の危機感が反映されている。
簡潔に意味が表現できる漢字は、「標語に最も適した言葉」と言われ、古くは秦の始皇帝(前259―前210年)も標語を使ったとされる。文化大革命期には、「誓死扞衛毛主席革命路線」(命をかけ毛沢東主席の革命路線防衛を誓おう)などの標語があふれた。
中国誌「新聞週刊」によると、雲南省政府は今年、「庶民感情を害する命令調、強制的な標語」約1万5000を「民衆重視の政策に合わない」として廃止した。
これまで使われてきた「不良標語」の代表例は、「一人っ子政策」での「一人超生、全村結紮」(1人が多く産めば、全村民に強制不妊手術)や、「今天不交税、明天牢里睡」(今日税金を払わねば、明日は刑務所で一晩)などだ。
法的な根拠もないまま国民を脅しつける、こうした“違法”標語は、法律知識が普及していない農村部で特に多い。村幹部らが、上の意向を解釈して作り出したものだ。
ほかにも、「不嫁文盲夫、不娶文盲妻」(読み書きの出来ない夫に嫁ぐな、妻をめとるな)、「小孩放火、父親座監」(子供の放火、父親を収監)などがあった。銀行入り口には、強盗などへの警告で「当場撃斃」(その場で射殺)との看板が掲げてあった。
様々な宣伝媒体が発達した都市部では、標語の比重は薄れているが、約8億人が暮らす農村部では、標語は今なお、「上意下達」の手段として機能している。その標語をよりソフトにすることについて、党関係筋は「標語は、政権の言葉そのものになりうる。民衆の立場に立った見直しは時代の流れだ」と指摘する。
農村部ではただでさえ、拡大する所得格差や税の取り立て、役人の汚職などに対する不満のマグマがたまっている。「厳禁武装抗税」(武装して税に反対することを厳禁する)との標語まであったほどだ。これ以上、農民たちを怒らせるわけにはいかない。
新しい標語の特徴は、「公益性」、「個性化」だという。「司机一滴酒、親人二行泪」(ドライバーの酒一滴、親族の涙二筋)などで、標語としての刺激は薄れつつある。 ◆一人っ子政策=1979年に始まった中国の産児制限・人口抑制政策。各地方政府が中央の方針に基づいて独自規則を定めて対応。特に都市部で厳格に推進されたが、少子高齢化が急速に進み、2002年9月施行の「人口及び計画生育(出産)法」で、一部規制を緩和。条件を満たす夫婦は都市部でも2人目を産めることが明記された。
(2004/12/25/13:37 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20041225it05.htm