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【エルサレム樋口直樹】ガザ地区北部での作戦拡大を決定したイスラエル軍は1日、100台近い戦車などを伴い、ジャバリヤ難民キャンプやベイトハヌーン、ベイトラヒヤへ入った。イスラエル領へのロケット弾攻撃を阻止するため、発射予測地域の制圧を目指す軍部隊は、武装ゲリラに戦車やヘリから攻撃を加えている。同日昼までにパレスチナ人5人が死亡するなど、再び戦闘が激化している。
ガザ北部で30日、30人以上の死者を出した激しい戦闘は、シャロン・イスラエル政権が推し進める一方的なガザ撤退計画の危うさを示したものといえる。撤退計画に刺激され、「勝者」を演じようと過激化するパレスチナ武装勢力に対し、撤退による「敗者」の印象を避けたいシャロン政権は、力の誇示を必要とするがゆえに、泥沼化が予想されるガザ北部の再占領へ突き進んでいる。
「カッサム・ロケット(武装勢力の手製ロケット弾)の影におびえながらガザを離れるわけにはいかない」。イスラエル当局者がロイター通信に語った言葉は、シャロン政権に置かれた立場を端的に示している。自らが率いるリクード内部からも「撤退は過激派に屈することを意味する」との批判にさらされているシャロン首相は、撤退反対派を抑えるためにも武装勢力を徹底的に掃討せざるを得ない状況に追い込まれている。
一方、武装勢力側は、イスラエル軍の敗走を印象付けた00年のレバノン撤退劇の再現を狙っている。パレスチナ各派は撤退前のイスラエル軍を追い討つことで、撤退後の「権力の空白」を手中にしようと躍起になっており、隣接地スデロトへのロケット弾攻撃やイスラエル軍陣地へのゲリラ攻撃を激化させてきた。
ガザ北部の再占領を目指すイスラエル軍にとって、最大の難関はジャバリヤ難民キャンプになる。約11万人が暮らす世界屈指の人口密集地での市街戦では、多数の民間人犠牲者が出ることも予想される。戦いが泥沼化すれば国際的な非難は免れず、シャロン首相の主導力にも影響を及ぼすことになる。
イスラエル全体の世論は現在、ガザ撤退計画に賛同的だが、ガザでの今後の戦闘でイスラエル兵やユダヤ人入植者に大きな損害が生じた場合、撤退に反対する右派勢力が力を盛り返すことも考えられる。
毎日新聞 2004年10月2日 1時25分
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mideast/news/20041002k0000m030157000c.html