現在地 HOME > 掲示板 > 戦争60 > 824.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
10月1日 ◇◆ 京都議定書が発効した時こそ日本の環境政策の真価が試される ◆◇悪化の一途をたどるイラク情勢から眼をそらすな ◆◇
■□■ ■
□★□ 天木直人 10月1日 メディア裏読み □
■□■ ■
◇◆ 京都議定書が発効した時こそ日本の環境政策の真価が試される ◆◇
9月30日、ロシア政府は地球温暖化防止の為の京都議定書の批准を閣議決定し
た。今後は下院、上院の承認が必要になるが両院ともプーチン大統領の与党が圧倒
的多数を占めているので批准は確実である。1997年12月に採択された京都議定書
は、批准した先進国の二酸化炭素排出量合計が基準年(1990年)の55%に達すれば
発効することになっていた。最大排出国である米国が2001年に一方的に離脱したに
よりにより発効のめどが立たなかった京都議定書が、基準年の排出量が全体の
17.4%にあたるロシアの批准により米国抜きでも発効する見通しになったのだ。
小泉首相は30日官邸で記者団を前に「かねてからプーチン大統領との会談でも批
准を働きかけてきたことだからよかった。歓迎したい」とさりげなく答えている。しかし
彼はこれからの問題の難しさをどこまで認識しているのであろうか。二酸化酸素の最
大の排出国米国が2001年に議定書を離脱し署名すら拒否していることについて一
度たりともブッシュ大統領に注文をつけたことがあったというのか。
議定書の発効により日本は2008年―2012年の温室効果ガスの平均排出量を
1990年基準で6%削減する義務を負う。ところが現実は90年以降も温室効果ガスの
排出は増え続け、2002年度には7.6%を上回った。6%とあわせ13.6%もの削減を迫
られる事になる。しかし省エネ先進国である日本はこれ以上の削減には限界がある。
その代替案として議定書で認められた排出量取引、すなわち目標値に届かない国が
届いている国から排出量を売る取引を適用するしかない。
環境省は削減目標を達成する為に化石燃料に環境税を課すことを目指しているが
経済界には強い反発がある。日本商工会議所の山口信夫会長は30日、「環境税導
入など安易な手段には絶対反対」とクギをさした。奥田経団連会長も同じように「環境
税のように企業の活力をそぐ施策はとるべきではない」との談話を発表している。
しかし地球温暖化防止は人類共通の環境問題である。最近世界各地で起きている
温暖化と異常気象という「地球異変」は我々の手による環境破壊と無縁ではない。小
泉首相の政治的手腕の見せ所は郵政民営化だけではない。地球温暖化防止にどこ
まで小泉首相が国内的、国際的にリーダーシップを発揮できるのか、この点も我々は
注目する必要がある。
◇◆ 悪化の一途をたどるイラク情勢から眼をそらすな ◆◇
毎日のように報じられるイラクでの死傷事件にいつのまにか我々は麻痺させられて
しまった。ニュースがニュースにならなくなった。しかしその間にも確実にイラク情勢は
悪化している。
9月26日付のワシントン・ポストは武装勢力の攻撃が9月中旬以降一日平均70
件にも達し、6月末の政権移譲後急速に治安が悪化していると報じた。暫定政府や米
国政府の表明にも関わらずこのままでは来年1月末の国民議会選挙の実施は困難
との見方が広がりつつある(9月30日、毎日)。イラク最大のシーア派組織の長である
シスタニ師も28日、公正な選挙の条件は整っていないと発言した(28日テヘラン発
ロイター)。武装襲撃もイラク全18県に拡大し米軍の死者も増加の一途という(10月1
日、読売)。民間機関のボディカウントではイラク人の死者は15,000人に達したという。
英紙フィナンシァル・タイムズは9月30日、豊富な石油埋蔵量を誇るイラク南部の三
県が自治区設立を検討していると報じた。暫定政府への失望感が背景にあり、国土
統一を脅かしかねない動きと懸念している。そのような混乱を受けて米シンクタンク
「シカゴ外交問題評議会」が行った世論調査では、イラクへの米軍駐留に反対する者
が68%と賛成27%を大きく上回っている。
そのような状況のなかで、9月17日―19日にレバノンの首都ベイルートで反戦の
ための「国際戦略会議」が開催されていたことを赤旗新聞で知った。その会議に出席
したバクダッド大学政治戦略研究センターのファラフ・サマライ研究員が赤旗の特派
員に述べた次の言葉が、米国のイラク攻撃の失敗を見事に証明している。ブッシュ大
統領がどのように弁明しようとも、米国はイラク国民に勝てるはずはない。
「・・・ブッシュ大統領は『イラクは自由と民主主義の国になった』などと繰り返してい
ますが、イラク国民でこの言葉を信じている人間など一人もいないと断言できます。イ
ラク国民は止むことのない米軍の攻撃に加え自爆テロの激化に苦しみ続けています。
誰かが止むを得ず外出すると、その家族はもう二度と再会できないかもしれないと覚
悟を決めなければならないような状況です。こんな自由があるでしょうか。
経済の状況も深刻で、イラク人の失業率は80%に達しています。米国は『イラクの
復興』を口にしますが復興しているのは米軍基地やそれに関連する施設ばかりで、イ
ラク人の生活の復興は無きに等しい。石油輸出の利益もいったいどこに流れている
のかわかりません。
私たちはたしかにフセイン大統領の独裁に苦しめられました。しかし少なくとも治安
は保たれていた。米軍による戦争と占領がなければ今も安全な生活を送っていた事
は間違いないのです。
イラク人の怒りは米軍の軍事作戦に協力する暫定政府にも向けられています。大
多数の国民が、暫定政府が国民の為ではなく米国の為に存在していると考えていま
す。政府の閣僚たちはそのことを承知の上で米国の為に働いています。彼らは米国
の保護がなければ街も歩けません。もしそうでなければイラク人によってすぐさま殺
害されるでしょう。暫定政府はそのような存在なのです。
日本政府は間違いを起こしました。イラク国民は民間の復興支援は望んでも軍隊
の存在は拒絶しているのです。イラク国民はこれまで日本は米国と反対の立場をとる
ものと思ってきたのにそれと反対の道を選択しました。自衛隊に対する攻撃はいつ発
生してもおかしくありません。」
http://homepage3.nifty.com/amaki/pages/ns.htm