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【バグダッド小倉孝保】来年1月末までにイラクで予定される移行国民議会を選ぶ直接選挙について、暫定政府や米政府首脳から「予定通り実施する」との発言が相次いでいる。しかし、イラク国内では、暫定政府の統治が及ばない地域も多いほか、治安の不安定化に歯止めがかからず、選挙実施を疑問視する声が高まっている。米国は選挙の実現に向けて武装勢力への攻勢を強める方針で、今後、イラク情勢は一層緊迫する局面も予想される。
暫定政府のアラウィ首相は先の英米訪問で、「4カ月で治安状況を一定程度まで回復し、スケジュール通りに選挙を行う」と繰り返した。ブッシュ米大統領も1月中の選挙実施を明言した。
しかし、ラムズフェルド米国防長官は「一部で選挙が難しい地域が出るかもしれない」と述べ、米政府内部にも治安回復への懸念がぬぐえないことを示唆した。
イラク紙「アルシヤダ(主権)」のアブドルサッタール・ジャワッド編集局長(61)は「暴力の連鎖に改善の兆しはなく、選挙の実施はかなり難しくなっている」と分析する。
中部ファルージャやラマディ、北部のモスル周辺、バグダッド・サドルシティーなどでは、地元民兵組織の実効支配が続く。爆弾テロや警察官、治安部隊を狙った攻撃も続いている。
イラクの厳しい現状にもかかわらず、ブッシュ政権関係者が選挙強行の発言を繰り返す背景について、同編集局長は「11月の米大統領選挙が終わるまでは、イラクが混乱しているというイメージを作るわけにはいかない。大統領選挙後に現実的な見通しが出てくるだろう」と解説する。
また、暫定政府が選挙延長を口にできない事情もある。バグダッド大学の政治学者、ワミド・ナドミ氏はロイター通信に対し「延期になれば、国民の怒りを買い、暴力が激化するだろう」と警告する。
しかし、全土から275人の代表を選ぶ選挙には、準備作業でも困難が伴う。有権者名簿が整理されていないため、独立選挙委員会が現在、約500人のスタッフで有権者登録作業を急ぐ。フセイン・ヒンダウィ委員長(56)は「事務的には何とか間に合うと思う」と語るが、さらに約1000人のスタッフが必要との指摘も出ている。
また、選挙が強行された場合、4000カ所と見込まれる投票所がテロのターゲットになるのは確実で、「やらないよりはましという程度の選挙になる」(政治評論家のガッサン・アティヤ氏)と突き放した見方も広がり始めた。
毎日新聞 2004年9月29日 18時33分
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/afro-ocea/news/20040930k0000m030025000c.html