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チェルノブイリ知りイスラエルの核暴露 バヌヌ氏と会見
イスラエル南部ディモナにある核兵器施設の機密を暴露し、国家反逆罪で18年の刑に服したモルデハイ・バヌヌ氏(49)がこのほど、朝日新聞との単独会見に応じた。暴露を決断させたのは、チェルノブイリ原発の事故だったことのほか、南アフリカとの技術協力が進められていたことなどを明らかにした。またディモナ施設の放射能汚染の危険性も指摘した。イスラエル政府は国外への技術流出や汚染について否定しているが、来年5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議に向け、同条約に加盟せず、核保有が公然の秘密になっているイスラエルへの国際的な圧力が強まろう。
ディモナで核管理部門の技術者だったバヌヌ氏は今年4月に刑期を終えて出所した。その後、米国に行く予定だったが、イスラエル最高裁の命令で出国や外国メディアとの接触などが禁止された。しかし、同氏は「命令は不当で、私には自由に発言する権利がある」と述べ、機密暴露のいきさつや刑務所生活などについて、エルサレムで2回にわたって詳しく語った。
バヌヌ氏は「86年に機密を暴露したのは、チェルノブイリ原発の事故がディモナでも起きかねないと憂慮したためだ。さらに、核戦力を持つことでアラブ諸国より優位に立とうとすることが、いかに危険なゲームであるかを世界に訴えたかった」と話した。
英紙サンデー・タイムズが86年、同氏の証言として「南ア技術者がディモナを訪問していたのを見た」と報じたことについて、内容が事実だと改めて確認した。同氏は「南アの核開発は、イスラエルとの技術協力で進められた。イスラエルに核抑止力は必要ない。南アのように核廃棄を宣言すべきだ」と述べた。
ディモナの原子炉は50年代にフランスが提供。その後、イスラエル独自の技術で核兵器の開発が進み、67年の第3次中東戦争までには核武装していたと、欧米の専門家は推測している。
バヌヌ氏は、ディモナ施設の老朽化と放射性廃棄物による汚染の危険についても指摘した。こうした環境問題は、イスラエル国会でも取り上げられたことがあるが、イスラエル原子力委員会のウジ・エイラム元委員長は「原子炉はうまく維持管理されており、安全性に問題はない」と語った。
しかし、バヌヌ事件後にディモナで働いた別の人物は、匿名を条件に朝日新聞記者との会見に応じ、「バヌヌ氏の警告には共感している。プルトニウムやトリチウムなどの管理や放射性廃棄物の保管方法などに疑問があり、不安だらけの施設」と証言した。
〈バヌヌ事件〉 イスラエル南部のディモナにある核施設で約9年間、核管理の技術者として働いたモルデハイ・バヌヌ氏が、核弾頭の製造工場内部の写真約60枚を盗み撮りし、英紙サンデー・タイムズに情報を提供。同紙は86年10月、「イスラエルが200発近い核弾頭を保有している」と1面トップで報じ、イスラエルの核機密が暴露された。
イスラエル情報機関は、記事掲載の直前、ロンドンに女性工作員を派遣してバヌヌ氏を誘惑。ローマで身柄を拘束し、イスラエルに連れ戻した。裁判は非公開で行われ、88年3月に懲役18年(未決勾留(こうりゅう)期間を含む)が言い渡された。イスラエル最高裁は10月21日、現在も「軟禁状態」のバヌヌ氏に対する措置を決定する。 (09/25 06:32)
http://www.asahi.com/international/update/0925/003.html