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ハンカチをしまおう
2004年9月20日(月曜日)
友人のみなさん
不安に手をモミモミするのはもういい! 不吉な予言はもういい! ぼくが直接出かけていって慰めなくちゃだめかい? 敗北主義はやめようよ、ね? ブッシュは負ける――ぼくたちが震えながら、アホみたいに泣き言や不平をたれるのをやめればだ。やれやれ、恥ずかしいや! 共和党の連中が笑ってるぞ。連中が泣くを見たことあるかい? 「おお、もう終わりだ! われわれはおしまいだ! ブッシュは勝てん! んぐわあああっ!」なんてさ?
ないだろ? 最後の一票が投じられるまで、連中はあきらめない。連中に終わりはない――サメみたいに眠らずに前進しつづけて、押しまくり、引きまくり、蹴りまくり、邪魔しまくり、嘘をつきまくる。
連中はガンガン突き進む――だからぼくたちは、すげえよなあと密かに思っちゃうわけだ――とにかく絶対に、絶対に、あきらめない。「共和党支持者」を自称する者は、国民の30%しかいないのに、彼らは全部を手にしている――ホワイトハウス、上下両院、最高裁、過半数の知事。少数派なのに、なぜそんなことができるのか? それは彼らがぼくたちリベラル派を朝食がわりに食って、その日一日、地球上で暴れまわるからだ。
なのに、ぼくたちはどうだ?――泣き虫ばかりだ。党大会のあと、ブッシュがぐんと跳ねあがったのを見て、きみはドイツのポーランド侵攻を連想したことだろう。ブッシュたちが来るよお、ブッシュたちが来るよお! そう、彼らは例の高速艇でケリーの寝込みを襲った。そう、彼らはダン・ラザーのミスを突いた。突然、「世の終わりが近づいた! 空が落ちてくる!」みたいな感じになった。
でも、違うぞ。ケリーはダメな候補だ、勝てっこないなんて言うやつがまだいたら、このぼくが……ちぇっ、もちろん、彼はダメな候補だよ……だって民主党員だもの! あれは情けない党だ、勝った選挙にも負けるんだから! きみはほんとは何を期待してた? ブルース・スプリングスティーンの立候補? そりゃ、ブルースならすばらしい大統領になるさ。でも、彼みたいな人は出馬しない――きみやぼくもしない。ケリーみたいな男がするんだ。
そう、もちろん、ぼくたちの誰が出たって、もっとうまい、賢い、強烈な選挙戦をやるだろう。もちろん、ぼくたちはあのインチキ高速艇乗りどもを1人残らず粉砕しただろう。でも、ぼくたちは大統領選に立候補しない――しているのはケリーだ。だから、ブーたれるのはやめて、今ある材料で戦おう。オプラは最近、スタジオに来た女性の視聴者300人近くにプレゼントした……ポンティアックを1台ずつ! で、もらった人のなかに、顔をしかめて文句を言った人が1人でもいたか? 「ゲッ、やだー、ポンティアックなんて!」って? もちろん、いやしない。みんな喜んだ。ポンティアックには車輪が4つあるし、エンジンやアクセル・ペダルもついてる。それ以上を望む人は、面倒見きれないや。ぼくも以前ポンティアックに乗ってたけど、1年間ちゃんと走ってくれた。その1年はすごくすばらしい1年だったんだよ。
友よ、現実をチェックしてみよう。
1. 世論調査はまちがってる。世論調査は下痢便みたいにそこらじゅうを汚す。先週の金曜日には、ブッシュが13ポイント差でリードという結果が出た――でも、別の調査はタイと判定した。世論調査が牛の**なのには理由が3つある。1つ、対象が「投票する可能性が高い有権者」であること。「可能性が高い」というのは、過去何回かの選挙で欠かさず投票してるってことだ。だから、今度初めて投票する若者も、今度の選挙では絶対に投票するという人も、含まれない。理由その2、調査はケータイを第1の電話に使っている人を対象にしない。つまり、ここでも若者がはじかれてる。最後に、ほとんどの世論調査が共和党にうんと有利にできてることは、先週、調査会社の社長ジョン・ゾグビーが明らかにしたとおりだ。そんな世論調査を信じると、ばかを見るぞ。
2. ケリーは「クリントン特攻チーム」を引きこんだ。クリントンを避けるという間違い(ゴアがやった)を、犯さないことに決めたのだ。
3. ぼくみたいに国じゅうを回っているとわかるけど、国民のあいだにはかなり不穏な空気が広がっている。主流派メディアはちゃんと捉えてないけど、現実にグツグツ煮立っている。ブッシュの巧みに演出された集会で吠えまくる白人どもに怯えちゃいけない。テレビを消すんだ!(ジョン・スチュワートとビル・モイヤーズの番組以外はだ――ほかはどれも糖衣でくるんだ嘘だから)
4. 常識的に考えると、もし選挙の最大の争点が9・11(テロの恐怖)なら、ブッシュが勝つ。でも、いいかい、イラクでぼくらがしている「仕事」の現状が争点なら、ブッシュの負けなんだ。その「仕事」は、もう気づいてるかもしれないけど、かつてベトナム戦争がそうだと言われた「第3地獄」まで堕ちている。出口は見えない。ぐちゃぐちゃに泥沼化して、悲しいことに、遺体袋が高く積まれていくばかりだ。開戦決議でケリーがどういう態度をとったにせよ、彼が若者たちを死に追いやったわけじゃない――アメリカの中道派の男女はそれを知っている。ブッシュが「兵役」についていたとき、ちゃんと任務を果たしていたら、「勝利」できない不道徳な戦争とはどういうものか、少しは見分けられるようになっていたかもしれない。彼がイラクにもたらしたのは、去年の感謝祭に兵士たちに届けたプラスチックの七面鳥だけだ。この壮大な失敗のせいで、彼はこの11月、七面鳥みたいに焼かれることになる。
だから、絶望しちゃだめだ。まだすべてが終わったわけじゃない。とんでもない。ブッシュ陣営はきみたちに終わったと思わせたがってる。安楽椅子でぐったりして、また4年間ジョージ・W・ブッシュかと、下腹にシクシク痛みを感じさせたいんだ。その時どきの風に合わせてウィンドサーフィンをするような候補じゃなく、ブッシュが大量破壊兵器や9・11とサダムの関係について嘘をついてることをぼくたちと同じように見抜く頭を持った候補ならよかったと思わせたいんだ。まるでカール・ローブがきみに催眠術をかけてるようなものだ――「ケリーは戦争に賛成した……ケリーは戦争に賛成した……ケーーーリーーーはーーーせんーーそーーーにーーーさんせいーーしたーーー……」
そう……そうだ……そうなんだあああ……賛成したんだ! 賛成したんだあ! もう戦ってもむだだ……寝ちまうしかない……眠るしかなーーい……わたしはだんだん眠くなるーーー……
起きろー! 多数派はぼくたちの味方だ! アメリカ人の過半数は中絶容認派で、環境法制の強化に賛成で、攻撃用銃器が裏通りにゴロゴロしてる現状を嘆いてる――今や国民の54%がイラク戦争はまちがってると考えてるんだ。それらの問題で彼らを説得する必要すらない――彼らに希望の光を与えて投票に行かせるだけでいい。それができるか? やる気があるか?
頼むからやってくれないか? 元気を出してくれ。この国はあと少しでぼくたちの手に戻りかけている。11月3日までは悲観的な言葉を吐かないでくれ! 選挙が終わったら、思いきり文句をたれていい。今でもケリーが、あの勇気を出して何かに立ち向かった長髪の若者でいてくれたらよかったのにと。ぼく個人の意見を言うと、あの若者はまだ彼のなかにいると思ってる。泣いたり歯ぎしりしたりしていないで、手を差し伸べて、彼の内なる「異議を唱える兵士」を助け、今ぼくたちが必死に戦っている悪の勢力を打ち負かそうじゃないか。ほかに選択肢があるかい?
あなたの友
マイケル・ムーア
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