現在地 HOME > 掲示板
> 戦争60 > 355.html
★阿修羅♪
|
現在地 HOME > 掲示板
> 戦争60 > 355.html
★阿修羅♪
|
|
| Tweet |
主権移譲から３カ月を控えたイラクで、反米武装集団による外国人の拉致テロだけでなく、イラク人を標的とする身代金狙いの誘拐が頻発し、社会不安に拍車をかけている。暫定政府は摘発強化の構えだが、警察は対応し切れていない。「誘拐ビジネス」の横行に標的になりそうな市民の一部は国外への脱出を強いられてもいる。【バグダッドで斎藤義彦、福島良典】
■狙われる子どもたち
８月１２日午後７時ごろ、バグダッド市内。足を引きずりながら歩く男が突然、地面に倒れ込んだ。友人宅から仲間４人と帰宅途中のファラハ君（１３）が「何事か」と近づくと、車が現れた。カラシニコフ銃を持つ３、４人がファラハ君だけを車に押し込み急発進した。男はおとりだった。
「４０００万イラク・ディナール（約３００万円）支払え。さもなくばつめをはぐ」−−。犯人グループの要求に家族は震え上がった。携帯電話を使った交渉の末、３５００万ディナールでまとまった。「警察も頼れない中、身代金を払う他なかった。治安の良かったフセイン時代に戻りたい」とおじのズブーン・ショーク・アベドさん（４５）が怒りをにじませた。
学生のハムザ・アハターイさん（２０）は今年７月、バグダッド北東部で買い物帰りに自宅近くで誘拐された。目隠しされて連行された民家では「６畳ほどの部屋に、明らかにその家の子ではない１０〜１８歳の子どもが５人閉じ込められていた」と証言する。「殺されるかと思った」。ハムザさんは恐怖の１週間をそう振り返る。
■力不足の警察
誘拐犯の牙は子どもだけでなく、富裕層の大人にも向かう。「バグダッドだけで１１人の医師が誘拐され、うち１人が殺された。１００人近くが国を出た」。会員２万７０００人の医師組合「イラク医療協会」のモハマド・アリ・ジャフ会長（６４）が語る。「犯人は逮捕されても厳罰に処されない。だから誘拐が増えるのだ」と司法体制の不備に不満をぶちまける。
誘拐多発を受けイラク警察庁は従来一つだった担当部門を三つに増強した。バグダッド西方を担当する誘拐部門のフェイザル・アリ副部長（４９）によると、今年１月にイラク全土で１日あたり３０件だった誘拐は今夏、同９件まで減少したが、「報告しない例があるため、氷山の一角だ」。
８月にバグダッド西方で摘発した３件のうち１件はイスラム教地元指導者の息子のグループ、１件は元国軍兵士・治安部隊員の犯行だった。５件の余罪が分かったケースもあり、同副部長は「誘拐ビジネスだ。イスラム教指導者や部族長の関与もある。背景には貧困があり、失業対策なしには減らないのではないか」と分析する。
■募る国民の反発
バグダッドのＣＤ店街。棚には映画や歌謡にまじり、「エジプト人スパイの処刑」のＣＤが並ぶ。８月１０日に武装集団に拉致されたエジプト人自動車整備工、モハメド・アブデル・アールさんの殺害場面の録画だ。
銃を持った覆面男３人の前にひざまずかされたアールさんは「私は米国のスパイだった」などと「自供」を強いられ、屈強な男にナイフで首を切り落とされる。
８月中旬に出回り始め、１枚７５０イラク・ディナール（約５０円）。武装勢力が「恐怖」を売る新ビジネスだ。ＣＤ店主のアマル・アル・オベデイディさんは「この手のＣＤは初めて。爆破攻撃（テロ）ものを抜いて一番人気だ。１日に１５０枚は売れる」と語る。
だが、同時に市民の間では拉致・誘拐や残虐な殺害手法に反発も強まっている。親族の子どもが身代金誘拐の被害にあったＣＤ店主のワサム・アル・ベンナさん（２６）は殺害場面を見た後、食べ物がのどを通らなくなった。「イスラム教に反する行為だ。誘拐・殺害犯はアルカイダのテロリストであり、イスラム教徒の名に値しない」と糾弾、ベストセラーといえども殺害ＣＤは販売しないことに決めた。
■政治的な外国人人質事件も多発
身代金目的でなく、米英軍と武装勢力が衝突を続けるイラクでは、米英の「協力者」らを狙った政治的目的の外国人人質事件が多発している。米ブルッキングズ研究所の調査「イラク・インデックス」の集計（昨年５月〜今年９月２０日）では、拉致された外国人は１３８人に上り、うち２６人が殺害された。
拉致事件は、昨年１１月にポルトガル人記者１人が被害にあって以降、すべて今年４月以降に起きている。当時、米軍は中部ファルージャなどへの攻勢を強め、犯行グループはこれに対抗、米軍や連合軍のイラク撤退を要求した。日本人も計５人がファルージャ周辺で数日拉致された。
５、６月にはいったん沈静化したが、主権移譲後の７、８月に再び増加。労働者やジャーナリストが次々に殺害された。８月末にはイラクに多くの出稼ぎ労働者を出しているネパール人が一度に１２人殺害され、ネパールでは怒った市民がイスラム教礼拝堂に放火する騒ぎに至った。
毎日新聞 2004年9月23日 1時10分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20040923k0000m030178000c.html
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。