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「法の支配」の重要性強調 国連総会でアナン氏演説へ
第59回国連総会の一般演説が21日午前(日本時間同日深夜)、ニューヨークの国連本部で始まる。各国首脳に先立ち冒頭演説を行うアナン国連事務総長は「法の支配はいま、世界中で危機に直面している」と訴え、イラクで続く民間人の殺害などを例に挙げて、弱者を守るための法の支配が無視されていると警告する。イラク戦後の世界で事実上の無法状態が広がっているとみて、安全保障理事会を含む国連の機能強化で法の支配の復活を呼びかける。
アナン氏は昨年の総会演説で、米が明確な安保理決議なしにイラク戦争に踏み切ったことを厳しく批判し、「法を逸脱した武力行使が拡散するのではないか」と懸念を表明した。事前に配布された演説草稿によると、今年は法の支配が各地で崩壊しているとの認識を表明する。
その例として、イラクで多くの市民が戦火の犠牲になっていることをあげる。アブグレイブ刑務所でのイラク人虐待にも触れる。米の名指しは避けつつも、多国間協調を無視したイラク戦争開戦が、大きな混乱を招いている現状を指摘する。
さらに、スーダンでのアラブ系民兵による黒人住民迫害▽ウガンダでの子ども虐待▽パレスチナ過激派による自爆テロとイスラエル軍の報復、などを例示。「こうした暴挙の蔓延(まんえん)は、私たちみんなが法を支え維持するのに失敗したからだ」と強調する。
一方、安保理改革については「法の支配を強制できる力が公平または効果的に使われていないと多くの人が感じている」と述べるにとどめ、改革の必要性を示唆しながらも具体的な方策には触れていない。
21日は午前中にブッシュ米大統領、午後には小泉首相の演説がある。首相は常任理事国入りをめざす日本の立場を表明する。一般演説は10月1日まで開かれ、191の加盟国首脳らと、オブザーバーのパレスチナ、バチカンの代表が参加する。
(09/21 21:04)
http://www.asahi.com/international/update/0921/012.html