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対テロ「EUに軍民混成部隊を」 専門家グループ提唱
テロの脅威に対処するには、紛争地域の住民の安全など「人間の安全保障」を実現するための軍民混成部隊の創設が必要だとする報告書を欧州連合(EU)の専門家グループがまとめた。部隊の3分の1を治安回復のための警察官や法律家、援助専門家らで構成するとの構想で、EU側は提言を高く評価。対テロ戦略をめぐり軍事力に頼りがちな米国と、欧州との理念の違いが浮き彫りになっている。
「欧州のための人間の安全保障ドクトリン」と題する26ページの報告書はEUの諮問を受けて、ロンドン大政治経済学院(LSE)のマリー・カルド教授を主査とするグループが作成。EUの共通外交安保政策を担当するソラナ上級代表は「EU軍事幕僚部の中に軍民協力のための部署を近くつくりたい」と語り、提言の実現に向けた論議を進める考えを示している。
報告書は99年のコソボ空爆や米主導のアフガニスタン、イラクでの軍事作戦を分析。破壊力を持つ兵器で軍事目標を達成したとしても治安回復は必ずしも実現していないと指摘。イラクでは空爆による市民の犠牲やインフラの破壊が混乱に拍車をかけ、「軍事力と安定達成の度合いのギャップを示した」と、軍事的対応の限界を指摘した。
さらに軍事作戦の後、イラクやアフガンへ派遣された多国籍軍の活動について報告書は「治安回復のための手立てを十分持たず、今なお続く人権侵害や犯罪集団の拡大を防げないでいる」とし、治安回復と復興のために多国籍軍の編成が見直されるべきだとの考えを示唆した。
その上で「『人間の安全保障』対応部隊」と名づけた混成部隊の創設を提言。規模は1万5000人程度を想定し、警察官や、法制度再建、人道援助を担う専門家ら5000人が軍部隊と行動を共にしながら、民族対立、失業、人々の暮らしを立て直すとしている。
部隊の創設年や派遣候補地は記されていないが、チェチェン武装勢力が犯行声明を出した学校テロ事件が起きたカフカス地方や、アフリカ、中東アラブ世界の混乱はテロや人身売買、難民流入などの形で欧州にも及ぶとし、早急な取り組みを呼びかけた。
欧州各国は従来、国連平和維持部隊のほかに、警察官、選挙監視員ら軍民双方の専門家を紛争地に積極的に派遣してきた。03年以降、EU軍部隊がコンゴへ、EU警察部隊がボスニアへそれぞれ派遣されているが、軍と警察、文民専門家は別々に組織されていた。
〈人間の安全保障〉 国家単位ではなく、国境を越えた人間一人ひとりの生命や人権を重視した安全保障の考え方。90年代に国連開発計画が提唱し、政府の途上国援助(ODA)が貧富の格差拡大や独裁的な政治体制の温存につながらず、恩恵が住民全体に行き渡るよう求めた。その後、各地での難民の増加、エイズの拡大などを受け、紛争後の平和構築を含めた広い概念になりつつある。日本政府も「人間の安全保障無償資金」を設けるなどの取り組みを見せている。 (09/20 06:07)
http://www.asahi.com/international/update/0920/001.html