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「人質作戦」のレクチャー
[ 03:28 ] [ イラク ] [ スライドショウ ]
このところ、イラク中部のサマラ、ファルージャ、バグダッド北部のサドルシティーなどで米軍や新イラク軍による空爆や掃討作戦が行われ、一般市民にもかなりの被害が出ているようだ。来年1月の選挙実施に向け、反米・反政府勢力を一掃するつもりなのだろう。だが、建前にしてもイラクに民主主義を根付かせるための選挙なのに、選挙実施の環境つくりを銃や爆弾といった暴力に頼り、非戦闘員にまで血を流させるのでは、民主主義という概念自体を否定しているようなものだ。
さて、イラクで誘拐された各国民間人の安否が気になるが、そもそも、何故イラクで誘拐が頻発するようになったのか。反米・反占領武装勢力による「人質作戦」には、その「お手本」があるように私には思われる。イギリス人技術者ケネス・ビグレイさんを誘拐した犯行グループは「女性囚人達を解放せよ」を要求しているが、米軍によるイラク人女性の拘束には、正に「人質作戦」と言うべき事例もあるようだ。
武装勢力による外国人誘拐が頻発する前の今年2〜3月、米軍によるイラク人の不当拘束や収容所での虐待について取材していた私は、「武装勢力のメンバーらを拘束するため、その妻や姉妹、娘などを米軍が誘拐している」という噂を幾度も耳にした。匿名を条件に取材に応じたイラク人達の話によれば、米軍は武装勢力のメンバーと思しきイラク人の家に突入して、その家の男性が不在の場合、女性を拘束、「家族は預かった。出頭せよ」という手紙を置いていくのだという*。こうした「人質作戦」によって、ファルージャのような反米感情の強い地域でも、一定時期、抵抗活動が沈静化したのだという人もいた。
*同様の話はアルジャジーラでも報道されていたようだ。
確かに「人質作戦」は、イラク人達を怯えさせ、萎縮させるのに絶大な効果があっただろう。連れ去られた女性達は収容所に拘禁されるだけでなく、様々な性的虐待を受けていたからだ。今年2〜3月の取材では、バグダッド周辺の住民達から「トイレの際に米兵はドアを閉めさせず一部始終を見ている」「女性の衣服を剥ぎ取った上で、男性囚人達の房に入れる」という話を聞いた。
さらに今年5〜7月の取材では、収容所内での女性への虐待について調査しているイラク人女性弁護士達から話を聞くことができた。調査チームのリーダーであるアマル・カダム・スワディさんは「ある女性がアブグレイブ刑務所にいる夫を訪ねた時、彼は涙をボロボロ流しながら"君がここに収容されてないことを神に感謝したい。毎日のように女性達が泣き叫ぶ声が聞こえるんだ"と話したそうです。恐らく、性的虐待は日常的に行われていたのでしょう」と語る。
また、性的虐待は尋問の手段としても使われていたようだ。「武装勢力との関係が疑われ拘禁されているイラク人男性が尋問に対して口を割らないので、彼の妻を拘束してきて、目の前で米兵達がレイプしたというケースもあります」(スワディさん)。
虐待問題に関しての米軍の内部調査では、「米兵がイラク人女性とセックスした」という報告があるが、実態はそんな生易しいものではないようである。
こうしたイラク人女性への人権侵害は、多くのイラク人が知っていることであるが、被害者が公の場に出ることは、ほとんど有り得ないと言っていい。日本や欧米諸国でも性犯罪の被害者が人前に出ることは大変困難ではあるが、「名誉は命より重要」とするアラブ・イスラーム文化の中でも、家族の女性が外部の者に危害を加えられることは、最大の不名誉とされる。スワディさん達によれば、収容所から出てきたイラク人女性は、良くて国外へ移住、最悪の場合、「名誉を守るため」に自殺するという。イラク占領を監視するため、国際的な反戦ネットワークが設立したNGO「Occupation Watch」の調査によれば、家族の手で女性が殺されたと思われるケースすらあるのだという。
イラクにおいて、女性が戦闘に参加するということは、まず有り得ない。米軍のイラク人女性拘束・虐待には、一片の道理も無く、武装勢力による各国民間人の誘拐と同じか、それにも劣る恥ずべき行為だと言えよう。イラク人達が激怒するのも当たり前である。そう、批難されるべき民間人の誘拐を武装勢力に「レクチャー」したのは、ザルカウィ一派のようなイラク国外からの反米勢力ではなく、もしかしたら、米軍であるのかもしれない。
画像は、イラク人女性への性的虐待に抗議するオブジェ。バグダッド芸術大学の隣、へワードギャラリーにて。
[ 更新日時:2004/10/06 15:03 ]
この記事のURL:http://www.doblog.com/weblog/myblog/10644/570944#570944