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Rubin: Must Confront Warlords, Deal with Taliban
バーネット・ルービン
ニューヨーク大学
国際協調センター所長
アフガニスタン政府は限られた予算で、「数十億ドルもの資金を自由に使える軍閥や麻薬密売業者を相手に闘いを挑み、競い合わなければならない状態にある」。しかも、国際社会はまだこの国で紛争が続いているというのに、紛争後の計画の実施を試みている有り様だ。アフガニスタンの専門家のバーネット・ルービンは、麻薬経済から膨大な資金を得ている軍閥の力を弱めて、アフガニスタン政府を支援するためにも、アメリカは「タリバーンとの戦争にばかり集中するのではなく、もっとアフガニスタンの安定化を重視する必要がある」と強調する。
聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。邦訳文は英文からの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。
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*このインタビューは部分公開中です。邦訳文の全文は「論座」(朝日新聞社)2004年9月号、フォーリン・アフェアーズ日本語版及び日本語インターネット版2004年8月号に掲載いたします。
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軍閥の思惑
アフガニスタンのハミド・カルザイ大統領は、最近のニューヨーク・タイムズのインタビューで、「タリバーンよりもアフガニスタンの軍閥の存在のほうが(今後のアフガニスタンにとって)心配だ」と語っている。この現実をどうみるか。例えて言えば、「コップに半分しか水が入っていないとみるか、半分も入っているとみるか」(ひどい状況だと思うか、かつてに比べればましとみるか)どちらだろうか。
正確に言えばコップに半分水が入っているという例えは正しくない。十分の一も水が入っているとみるか、それとも、十分の九は空っぽとみるかという例えのほうが現実に近い。アフガニスタンはまだ大きな問題を抱えている。
具体的に説明を。
アメリカは空軍力、米軍特殊部隊、米中央情報局(CIA)の小規模なチームを用いてタリバーン政権を粉砕したが、その過程では北部同盟その他の軍事勢力との共闘作戦をとるために彼らに力を貸した。その結果、軍事指導者、つまり軍閥たちは、アメリカから得た資金と兵器を用いて大きな力をもつようになった。中央政府の基盤は依然として弱いままで、全国的な統制力に乏しい。これに対して、軍閥たちは地方政府を簡単に管理下に置くだけの力を十分に持っている。当然、軍閥たちは中央政府の基盤強化には強く反対しているし、法の支配、経済活動のための法環境、そして、より民主的な制度を整備していくことに抵抗している。
タリバーン勢力はどのような状況にあるのか。
タリバーンはパキスタンを聖域にして活動している。パキスタン側の取り締まりも十分ではない。タリバーンは二つのレベルでのアフガニスタン民衆の不満をうまく利用している。一つはアフガニスタン政府が軍閥によって支配されていることに対する民衆の不満だ。有力な軍閥勢力の多くはアフガニスタン北部の非パシュトゥン系の民族で、一方タリバーンはアフガニスタン南部のパシュトゥン人を取り込んでいる。(訳注:アフガニスタンの民族構成はパシュトゥン人が約四〇%、タジク人が約二五%、ハザラ人が約二〇%、ウズベク人が約六%。宗教はイスラム教が九九%[うちスンニ派が八〇%]で、スンニ派がシーア派のイスラム教徒への敵視政策をとっているといわれる)
第二の不満は米軍のアフガニスタンでの活動だ。イラクにおける活動に比べればはるかに小規模だが、イラク同様にアフガニスタンでも米軍が家宅捜索を行い、人々を逮捕し、拘束している。乱暴に扱うと、民衆は反発するだけでなく、部族社会では、それが復讐の対象とみなされることもある。かくして復讐心を抱いた人々はタリバーンを頼みとし、取り込まれていく。アメリカ人が身内を殺したがゆえに、アメリカ人を殺さなければならないと彼らは考える。
アフガニスタンの麻薬経済
このような不安定で不穏な状況の大きな背景をなしているのは麻薬経済だ。麻薬経済のトレンドを覆さないことには国の安定化など望みようもない。タリバーン政権は、少なくともケシの栽培の増大を食い止めることにはなんとか成功していた。二〇〇一年当時、百九十トンだったアフガニスタンのアヘンの生産量は、二〇〇三年には三千トンにも達し、二〇〇四年には四千トンに達すると考えられている。アフガニスタンは世界のアヘン流通量の実に七五%を生産している。
どのような経路でアフガニスタンのアヘンは輸出されるのか。
一部はパキスタン経由で、多くはイラン経由で輸出されてきた。しかし、イランはいまや本気で反麻薬キャンペーンを展開しており、イラン経由の密輸は難しくなってきている。いまやアフガニスタン北部から、旧ソビエト経由で密輸が行われている。
現在、供給過多の状態にあるため、今年に入ってアヘンの実勢価格は低下している。それでも、世界銀行、国際通貨基金(IMF)、国連麻薬管理局が発表した推定によると、アヘン経済によって栽培農家に十億ドル、密売者と精製業者に十三億ドルの資金が渡ったと考えられている。合計すると二十三億ドル。これはアフガニスタンの麻薬経済が表の経済の半分規模に達することを意味する。しかも、麻薬経済が建設、車、輸入の需要をつくり出し、しかも輸入決済にあてる通貨を稼ぎ出しているために、表と闇の経済を区別することは難しい。表の経済は実質的に闇経済に依存している。実際、アフガニスタンの復興資金の大半は、国際社会による援助ではなく、こうした麻薬経済からの資金でまかなわれている。麻薬経済からの資金を提供する者のほうが、援助を提供する外国人よりも大きな影響力をもっているとしても不思議はない。……
Barnett Rubin アフガニスタン、中央アジア研究の第一人者として世界的に知られている。二〇〇一年十一〜十二月のボン合意に向けた交渉では、当時アフガニスタンを担当していたブラヒミ国連事務総長特別代表の特別顧問を務めた。
Copyright 2004 by the Council on Foreign Relations, Inc.& Foreign Affairs, Japan
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<例>・Copyright 2004 by the Council on Relations Inc.& Foreign Affairs, Japan.
フォーリン・アフェアーズ「日本語版」○月号
・米外交問題評議会のウェブ・リソースによれば・・・
・米外交問題評議会のガーズマン・インタビューシリーズの〇〇氏へのインタビューによれば・・・
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