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スーダン政府に米圧力、新決議案準備 ダルフール紛争
スーダン西部ダルフール地方の内戦で約150万人の難民・国内避難民が出ている人道危機で、米政府が事態打開に本格的に乗り出した。武装民兵組織による住民迫害を「ジェノサイド(集団殺害)」と認定し、同組織を支援してきたスーダン政府への圧力を強める新たな国連安全保障理事会決議を採択したい考えだ。しかし複雑な経緯を持つ紛争を単純化し、一方の当事者を非難する「米国流」打開策には実効性に疑問も出ている。
●石油で制裁も
米政府が理事会各国に回している決議案(草案)は、現在約125人いるアフリカ連合(AU)の停戦監視団の大幅な拡大▽スーダン政府による民兵組織の武装解除▽従わない場合、スーダンの石油部門への制裁を検討――などの内容を持つ。
これに対し、中国が拒否権行使も辞さない姿勢を見せている。石油輸入国となった中国は、スーダンの石油開発に協力しており、政府系石油会社の最大の出資国だからだとみられている。
ダルフール周辺には油田開発計画はなく、安易な制裁措置はアラブ諸国の反発も招きかねない。「いま最も重要なのは、AUの部隊を現地に入れることだ」と現地視察したジョン・コーザイン米上院議員(民主)は指摘する。
●単純化できず
アラブ系民兵組織ジャンジャウィードによるアフリカ系住民への迫害――。西側メディアがダルフール危機を説明する際の典型的な表現だ。だが、この紛争を人種対立とみるのは単純過ぎる。
同地方には、農業主体のアフリカ系と、アラビア半島などから約200年前以降に移住してきた遊牧主体のアラブ系住民が住むが、混血が進み外見的にはほとんど変わらない。ともに大半はイスラム教徒だ。ティモシー・カーニー米元駐スーダン大使は「迫害は、砂漠化が進むなか水や牧草地の確保をめぐる定住系と遊牧系の長年の争いに、人種対立が結びついた」と指摘する。
ダルフール地方は元々、中央政府の権力が及ばない地帯だった。反政府勢力「正義と平等運動」(JEM)と「スーダン解放軍」(SLA)は、開発から取り残された農民らの支持を集めて03年2月に蜂起。一時は警察施設や空港を占拠し「権力の真空状態」が生じた。
これに対し、中央政府は遊牧系主体の民兵組織ジャンジャウィードを通じて、遠隔支配しようとした。犯罪者も加わる無法者集団とみられ、住民殺害などにエスカレートした。政府がこうした結果をどこまで予測していたかは不明だが、全土でアラブ化を進めようとする意向も見え隠れする。
●「政治対話を」
事態収拾役として注目を集めているのが、AUによる平和維持部隊の派遣だ。スーダンは現時点では大規模な派遣受け入れに難色を示している。ただ、スーダンは7月末の安保理決議で求められた民兵の武装解除を進めておらず、事態を放置すれば危機は悪化する。カーニー元大使は「中央政府に武装解除の責任を押しつけるより、AUが武装解除と政治対話で中心的な役割を担うべきだ」と指摘する。
イラク、アフガニスタンを抱えるなか米軍派遣は難しいが、専門家らは輸送機や資材の提供などでAUを側面支援できると見る。02年にできたAUにとって、この危機は「AUが機能するかを証明する試金石」(ホルブルック米元国連大使)になる。
(09/18 16:46)
http://www.asahi.com/international/update/0918/008.html