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テロ3年後の現実:
04米大統領選の土壌・第3部/1 大義なき戦争に罪の意識
イラク戦争開戦以来の米軍の死者数が7日、1000人を超えた。01年9月11日の米同時多発テロを契機に始まった対テロ戦争は、米社会に「大きな影」を落とし続ける。大統領選の本格化に合わせ、揺れる社会の実相に迫った。
◇イラク帰還兵、際立つ自殺率
「幼いころの楽しい思い出をありがとう。弱い僕は、もう精神的苦痛に耐えられない」
イラク戦争に従軍、故郷のマサチューセッツ州西部ベルチャータウンに帰還後、自殺したジェフリー・ルーシーさん(当時23歳、海兵隊予備役)が両親にあてた遺書には、そうしたためられていたという。
ジェフリーさんは昨年2月、軍事物資や捕虜を運ぶトラックの運転手としてイラクに配属された。5カ月後に帰還したが、精神的に不安定な状態が続いた。
昨年のクリスマスイブ。ジェフリーさんの様子は急変する。
「『おれは人殺しだ。それがどういうことかわかるか!』って……兄は涙を流し、体を震わせていました」
イラクで何が起きたのか。妹デビーさん(21)がジェフリーさんの「告白」を明かす。
2人のイラク人がジェフリーさんに近づいて来た。怖かった。「撃て!」。仲間の声に押されるように引き金を引いた。弾丸が1人の目と、もう1人の首に命中。動かなくなった2人に近寄ると、武器は持っていなかった。
父ケビンさん(54)が語る。「息子は、そのイラク人が身に着けていた認識票を持ち帰り、いつも首に下げていました。2人は刑務所の囚人だったようです。認識票を肌身から離さなかったのは、(罪の意識から)彼らに敬意を払いたかったのでしょう」
ジェフリーさんは医師に、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断された。今年5月に入ると、幻覚を訴え、嘔吐(おうと)の一方で、食事を受け付けない日々が続いた。そして、6月22日、ジェフリーさんは自宅地下倉庫で首をつった。
ケビンさんは「息子はなぜイラクで大量破壊兵器が見つからないのかといぶかっていました。息子がなぜ自殺により地獄に行かねばならなかったのか、私にはわからない」と言葉に力を込めた。
米軍医療健康諮問チームの調査によると、03年のイラク戦争従軍兵士の自殺率は10万人あたり17・3人。これはベトナム戦争従軍兵の15・6人、湾岸戦争従軍兵の3・6人と比べ際立って高い。
■ ■ ■
「なぜ、弟を殺したんだ! おれたちが何をした!」
元海兵隊員、ジミー・マーシーさん(32)=ノースカロライナ州在住=はイラク人男性の叫びが脳裏から離れない。
マーシーさんは昨年1月から約5カ月間、イラク最前線で戦った。自動小銃や小型ミサイルを操る約50人の部隊のナンバー2だった。
5月初旬、イラク中部カルバラで、イラク人のデモ隊が間近に迫った時、部隊に向け、銃声がした。即座に応戦、3人のイラク人が死亡した。負傷しただけで助かった若いイラク人が英語で抗議したのだった。その後、マーシーさんの部隊の攻撃による民間人犠牲者は約30人に上ったという。
耐えられなくなったマーシーさんは5月初旬、上官に「武器を持たないイラク人の殺害は虐殺だ」と意見し、それを機に12年間勤めた海兵隊から名誉除隊になった。マーシーさんは今も悪夢にさいなまれる。
「罪のない民間人を殺し続ける限り、イラク人の抵抗運動はなくならない」。7月下旬、マーシーさんら帰還兵5人が集まり、「戦争に反対するイラク帰還兵」を結成し、活動を開始した。=つづく【ベルチャータウン(マサチューセッツ州西部)で高橋弘司、写真も】
毎日新聞 2004年9月9日 東京朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mideast/news/20040909ddm007030070000c.html