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社説:
同時テロ3年 国連軸に国際協調の再建を
米国と世界を深い衝撃に陥れた01年の同時多発テロから3年。国際社会のテロとの戦いはまだ終わりが見えない。それどころか、テロは世界に広がる様相すら見せている。
今年に入ってからも、スペインの列車爆破テロ、モスクワの地下鉄爆破、北オセチアの学校占拠テロなどが続き、9日にはジャカルタの豪大使館前で爆破事件が起きた。パレスチナでは自爆テロとイスラエル軍による要人暗殺が繰り返され、イラクの米兵死者は1000人を超えた。
世界は際限のないテロと報復の連鎖に陥ったのか。国際社会のテロとの戦いの方法や手段を見直す必要はないか。「9・11」3年をきっかけに、改めてテロに取り組む原点に立ち戻って考える冷静さと深慮を持ちたい。
9・11事件の直後、アルカイダなど国際テロの背後にはパレスチナ問題を暴力と殺りくの口実とするイスラム過激派が浮上し、さらにその遠景には冷戦後の世界政治・経済構造の急速な変化がもたらすひずみも指摘されてきた。
繁栄と貧困の格差拡大、民族対立、飢餓、劣悪な環境、政治的不公正感への怒りや不満−−。そうしたグローバル化の「影」の部分への一致した対応が求められて久しい。その「対テロ国際協調」はイラク戦争に至る中で脇道に迷い込み、米欧関係や国連内部には重苦しいしこりが残っている。
市民や子供たちを巻き添えにするテロ行為に毅然(きぜん)たる対応が必要なことは言うまでもない。だが、そのことと一国でできることには明確な違いがある。イラク戦後処理やロシアのチェチェン紛争、パレスチナ情勢の泥沼化を見れば、米国にせよロシア、イスラエルにせよ、力によるだけではテロと無秩序の拡大を防ぎとめることができないのは明白となった。
同時テロ後初の大統領選を迎えた米国では、「対テロ戦争」が主題となる中で国連や各国との協調を無視できなくなりつつある。
イラク戦争で無力感をかみしめた国連は、アナン事務総長の下で「集団安全保障」の協調的枠組みの中でテロや大量破壊兵器拡散問題にどう対処するかの改革試案づくりが進められている。
6月のシーアイランド・サミット(主要国首脳会議)では、方法論に違いはあっても拡大中東地域に民主主義、人権、自由で公正な政治・経済活動を促進するパートナーシップ構想が合意された。9・11後の3年間の歩みには迷走も対立も少なくないが、すべて悲観的なものばかりではない。
テロを克服する道は、遠く険しい。即効性が見えなくとも、国連を中心に据えて地道な積み重ねの努力が欠かせない。米国には誰が大統領に選ばれようとも、国際協調を支える道に立ち戻る必要がある。他の国々も米国を「孤独な超大国」にしない工夫がほしい。
小泉純一郎首相は訪米して国連総会演説と日米首脳会談に臨む。この節目を逃さず、国連と米国を望ましい方向へ動かす大きな構想を世界に示してもらいたい。
毎日新聞 2004年9月10日 0時34分
http://www.mainichi-msn.co.jp/column/shasetsu/news/20040910k0000m070145000c.html