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9月9日 ◇◆ 日本大使館の公用車がサマワで強奪された! ◆◇ファルージャで大規模攻撃再開 ◆◇自衛隊の海外派遣が本来任務となる ◆◇ロシアも先制攻撃を認め始めた ◆◇「育児」こそテロへの抵抗 ◆◇国民保護法という名の戦時立法 ◆◇
9月9日―メディア裏読み
◇◆ 日本大使館の公用車がサマワで強奪された! ◆◇
9日付けの各紙はバクダッド発の共同ニュースを一段の小さな記事で報じている。しかしこれはもっと大々的に報じられてしかるべき大事件である。
報道によると在イラク日本大使館の公用車を運んでいたトラックが現地時間7日夜バクダッド南20キロ(橋田、小川両ジャーナリストが襲われた付近)で武装集団に襲撃され公用車を強奪されたという。外務省サマワ事務所で使用していた防弾車のトヨタ四輪駆動車を整備修理のためバクダッドへ搬送中であったとのことだ。
このような深刻なニュースがメディアで殆ど報じられていない。記事によると事件は7日夜に起こっているのに、わかったのは8日でありしかも外務省は事件の詳細について何もつかんでいない。日本大使館当局者(日本人なのか現地人なのかも分からない)は「運転手が拉致されているのか確認できていない、具体的な事実関係をイラク治安当局や米軍当局に調査依頼中」などとのんきな事を言っている。
小泉首相や外務大臣は何故この事件について国民の前で説明しないのか。何故マスコミは取り上げないのか。
そういえば8日付の朝日新聞にやはり共同通信の発信で「治安情勢の悪化で活動を自粛していた自衛隊員の屋外作業が25日ぶりに再開された」という記事が流されていた。自衛隊はなんと25日も宿営地に閉じこもっていたのだ!何のための人道援助なのか。そもそも意味のある援助活動がなされているのか。
「非戦闘地域に重装備をした自衛隊が人道援助に行く」という、誰が見ても矛盾した今回の自衛隊のサマワ派遣が強行されて半年がたつ。人々の関心は薄れ、現地からの報道が国民に届かないままに、不明な事が積み重ねられているのではないか。いつまでこんな状態で自衛隊がサマワにとどまるというのか。人道復興支援などという業務は終わりのない業務である。何を基準にわが国の復興支援がその役目を終えたといって撤退するというのか。
いまこそ国会を開いて真剣な議論をすべきではないのか。10月下旬まで国会を休会している時ではない。小泉首相や川口大臣が長期に海外出張している時ではないのである。
◇◆ ファルージャで大規模攻撃再開 ◆◇
そのイラクが今どんな状況になっているのか。もはや日本人の関心は薄れてきているのではないか。
8日米軍は掃討作戦と称して100名の死者を出す空爆をおこなったのである。ファルージャはスンニ派三角地帯の反米感情の強い場所で、数ヶ月前には米国の大虐殺があったところだ。シーア派サドル軍団の休戦が成立したと思っていたら、ファルージャはずっと混沌としていたのだ。ファルージャへの外国武装勢力の流入は防ぎようがないという。米国が無理やり作ったイラク人を中心とした治安部隊は、どんどん逃亡し、治安形態が崩壊しつつあるというではないか。8月29日の米紙ニューヨークタイムズは「米国は瀬戸際に追い詰められた」と報じた。
他方バクダッドでイタリアの人道援助団体の職員2名が拉致された。バクダッド周辺で活動するNGOの間に動揺がひろがり、撤退準備を始める組織が続出し始めたといわれている。イタリア政府も「敵意が新たな段階に入った」と危機感を高め、ベルルスコーニ首相は7日に緊急閣議を招集して、「二人を救う為には何でもする。イタリア部隊の駐留以外のことなら交渉に応じる」といい始めた。イタリア野党である左翼民主党のダマーレ委員長は「この出口のない状況の責任はテロリストだけではない。戦争を始めた責任もある。」と米国を非難した。
ブッシュ大統領に最後までついていくのが日本の小泉首相となることはまちがいない。世界の笑いものになるのはそのような首相を許し続けた我々日本国民なのだ。
◇◆ 自衛隊の海外派遣が本来任務となる ◆◇
自衛隊の任務に大きな変更がなされようとしている。9日付の毎日新聞によると、年末までに固められる「新防衛計画の大綱」では、現行の自衛隊法で「付随的任務」となっている国連平和維持活動(PKO)などの海外派遣任務を「本来任務」に格上げされるという。専守防衛という憲法、自衛隊法の大原則を、防衛庁の計画が踏み越えていく、こんなことが議論もなく報道され、黙認されていく。それが今の日本の政治状況である。
こんなことを許していいのか。野党第一党の民主党は何をしているのか。
◇◆ ロシアも先制攻撃を認め始めた ◆◇
9日付の各紙で、ロシア軍のバルエフスキー参謀長が学校占拠事件などのテロへの脅威に対応する為先制攻撃を準備していることを明らかにした。モスクワで行われた北大西洋条約機構のジョーンズ欧州最高司令官との会談後に記者団に次のように語った。
「テロリスト集団、細胞分子のすべてを撲滅するため、我々は世界のどこでも先制攻撃をする用意がある」
これに対して仏外務省報道官は「テロとの戦いは欧州連合、サミット、国連の枠内で討議すべき問題だ」と間接的に批判した。しかしすでに米国はイラクに対し国際合意を無視して先制攻撃を行った。誰がロシアの先制攻撃を止められるのか。いよいよ世界は無法地帯になってきた。
その米国のバウチャー報道官は7日の記者会見で「チェチェン問題には政治的解決が必要で米国は異なる視点を持つ政治的指導者とも会う」と述べた。これに対してロシアのラブロフ外相は、「チェチェン共和国独立派指導者と会談する事は不適切だ」と強い不快感を示したという。
自分の安全の事しか考えられなくなった米、ロ両大国。これが強権政治の行き着く先なのであろう。
◇◆ 「育児」こそテロへの抵抗 ◆◇
一つの救いを見る思いがした。9日付けの東京新聞に9・11事件の日本人犠牲者の妻の手記がフジテレビでドラマ化されるという記事が出ていた。「天に昇った命、地に舞い降りた命」(マガジンハウス)を書いた杉山晴美さんは富士銀行ニューヨーク支店に勤務してテロの犠牲になった杉山陽一さんの妻で、現在東京都内で6歳、4歳、2歳の男の子の子育てに奮闘中である。
その陽子さんが言う。
「・・・9・11以来暴力による報復に次ぐ報復が連鎖的に起きている。米国は9・11を引き合いに出し被害にあった人間が報復を望んでいるかのような言い方をしているが、私は一度も望んだ事はない。暴力で報復しないとテロに泣き寝入りすることになるとは思わない。・・・私ができることは幼い子どもをしっかり育てて幸せにしてあげる事。壊されかけた笑顔を取り戻して、我々市民が、普通に笑ったり、泣いたりして、幸せに生きて行くにはどうしたらいいんだろうねと、次世代を生きる子供たちと一緒に考えて、考える力をつけてあげたい。そういうことが、暴力より大切だと思うんです。」
小泉首相に聞かせたい。川口外相に替わってこういう人に日本外交をまかせたい。
◇◆ 国民保護法という名の戦時立法 ◆◇
政府は7日、国民保護法に基づき、NHKのほか、民法のテレビ、ラジオ19社を有事の際に政府への協力を義務づけられる「指定公共機関」に決めた。これが有事立法成立の成れの果てである。
国民保護法などというまやかしの名前の下にこの法律が国民の「知る権利」、「報道の自由」を規制する戦時立法であることをどれだけの国民が問題意識をもって受け止めているのか。
「国民保護法ってなんだっけ。よく知らないが、国民を保護するのならいいことなんじゃないの?」。民放で国際報道に携わる若手記者はこう答えた。職場では話題にもならないという。
国民保護法は10日に閣議決定されて17日に施行される。今回の決定はそれに間に合わせたものだ。今後関係省庁はメディア各社と「有事」に向けて業務計画を作成し、訓練をつむ。
平和な日本で何故かくも性急に作業を進めなければならないのか。これは平時においても報道規制が強まるという事ではないのか。実体のない有事に備えた言論弾圧システムが出来上がっていくのではないのか。
私を含め「大本営発表」の怖さを体験として知る者は少ない。しかしロシアの学校占拠事件で真実が一向に見えてこない理由がプーチン政権のメディア弾圧からくることを我々は身近に見せ付けられた。
日本のメディア関係者はもっと危機意識を持つべきだ。それとも巷間よく言われているように日本のメディアはもはや権力と馴れ合ってしまったのか。
http://homepage3.nifty.com/amaki/pages/ns.htm