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以下のメールが転送されてきた。元は有料らしいが、田中康夫も、この程度のことは言うのであろう。
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日刊ゲンダイ Dailymail Business 2004年 9月 9日号 -2
■■■ http://www.ngendai.com
─【田中康夫 奇っ怪ニッポン】─ 連載 ───────────────────
▼ 政治がつくり出した人種モザイクの悲劇 ──
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カフカス、英語ではコーカサスと呼ばれる黒海とカスピ海の間に位置する地域は、
大カフカス山脈北側のロシア連邦内にチェチェン、イングーシ、北オセチア等の共和
国が点在し、山脈南側にはソビエト連邦の解体に伴って独立したグルジア、アルメニ
ア、アゼルバイジャンの共和国が存在します。
独立直後にグルジアの首都ティビリシで大統領にインタヴューした経験も有する僕
は、思います。今回の悲劇は、こうした一廓で発生した、との前提条件を冷静に理解
しておく必要があるのだと。
即ち、国家という政治が作り出した人種のモザイク模様が悲劇の根底にあるので
す。
この点で、トルコからドイツへ、或いはブラジルから日本へ、雇用という経済が生み
出した国籍のモザイク模様とは、問題の所在が全く異なります。
例えば、カスピ海油田の活況で潤うアゼルバイジャン共和国はイスラム教徒が大半
です。が、ソ連邦崩壊直後に内紛が激化した、アゼルバイジャン内のナゴルノ―カラ
バフ自治共和国は、隣国のアルメニア同様、逆にキリスト教徒が大半なのです。ユー
ゴスラビアがそうであったように、ソビエト政権は嘗て、各地域内に人種の違いが原
因の緊張関係を敢えて生じさせ、治安維持との大義名分の下に遠隔統治する巨大な権
力機構をモスクワで作り上げました。
従来、カフカスに暮らしていたイングーシ人は、スターリンの命令で1944年に
カザフスタンへと強制移住させられます。ドイツと密通していた、との捏造された理
由で。空白地帯となったチェチェン・イングーシ民族自治共和国の跡地には数多くの
ロシア人が入植し、同時に親ロシアのオセチア人がイングーシの一廓に北オセチア共
和国を樹立します。無論、ソビエトの庇護の下に。その後、強制移住させられた人々
は1956年に戻っては来られたものの、ロシア人の入植者が立ち退いてくれた訳で
もなく、オセット人が獲得していた土地がイングーシ人に返還された訳でもなく、難
民化します。
故に1992年、北オセチア、イングーシ間で紛争が生じたのです。すると、ロシ
アに於ける最大の「公共事業」とも呼ぶべき軍隊は、「平和維持」を御題目として掲
げて進駐し、驚く勿れ、北オセチアからイングーシ系住民を排斥し、彼らは益々、難
民化するのです。
経済が生み出したモザイクは、個人の意志によるものです。ですが、旧ソビエトの
各地で見られる政治が作り上げたモザイクは、人々の意志とは懸け離れた思惑から生
じているのです。
テロリズムを肯定する訳では断じてありません。が、ロシア学校が悲劇の舞台とな
ったのは、象徴的ではあります。
加えて、この悲劇を、更なる強権的国家体制の強化へとプーチンは利用している気
配があります。実はネオコン側の謀略では、と囁かれた9・11同様、本当にイスラ
ム側が企てた行為なのだろうか、と疑問視される理由でもあります。
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