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統制の一環か 学校テロで政権批判にロシアメディア沈黙
ロシアの学校テロ事件で、ロシアの主要メディアがプーチン政権の強硬姿勢に沈黙を保っている。政府によるマスコミ統制の一環と見られる。紙面で暗に政権を批判した主要紙イズベスチヤの編集局長が6日、突然辞任し、解任との見方も浮かんで波紋を広げた。
辞任したのはラフ・シャキロフ氏。「辞任の理由は話したくない」と、インタファクス通信に語った。同紙のある幹部は朝日新聞に「同氏は解任された」と語った。
同紙はロシア治安部隊が学校に突入した翌日の4日付1面に、傷ついた子供を抱く父親の写真だけを大きく掲載した。社名題字以外、記事も見出しもまったくないという異様な紙面だった。「記事や見出しをつけると政府批判にならざるを得ない。経営陣はそれを避けた」と関係者は内情を明かした。
同紙の実質的な経営者はプーチン大統領ににらまれている金融財閥ポターニン氏。コムソモリスカヤ・プラウダ紙なども発行している。
イズベスチヤ紙は4日付紙面で、人質の数が当局発表よりはるかに多いことや、死傷者が数百人に及ぶとの見通しも報じた。その報道ぶりについて経営陣と編集局長の間で論争があったという。 ラジオ局「エコー・モスクワ」のベネディクトフ社長は、シャキロフ氏が詰め腹を切らされたのか、経営陣への抗議の意思表示かは不明としながらも、「ロシアのメディアが政府の顔色をうかがわざるを得ない状況に変わりない」と指摘した。
今回の事件ではほとんどのロシア・メディアが、チェチェン武装勢力への憎悪を報道の中心にすえている。チェチェン共和国の地元紙も同様で、プーチン大統領の演説を大きく掲載したり、ゲリラ撲滅を訴えたりしている。
モスクワの6日付の主要紙は1面見出しで「不明者はどこに」(イズベスチヤ)、「生存者に心の痛み」(独立新聞)などと報じた。しかし、社説は掲げず、事件の背景にあるプーチン政権の強権支配を直接批判する論調は全くと言っていいほど見られない。
突入当日、現場から実況中継したテレビ各局は、しばしば映像を中断した。悲惨な光景が国民に衝撃を与えるのを避けたと見られる。
ロシアの主要テレビはすべて政府や政府系企業が過半数の資本を握っており、事実上の政府メディアと化している。プーチン政権は02年のモスクワの劇場占拠事件のあと、メディア関連法を修正し、政府活動に不利な報道をする新聞などへの締めつけを強めた。「政府を批判すれば失職する」(コメルサント紙記者)との自嘲(じちょう)も聞かれる。
事件の悲惨さそのものが、国民の間にチェチェン武装勢力への憎悪を募らせ、プーチン大統領への批判を覆い隠している側面もある。「強権支配を批判する硬骨ジャーナリストらには、この事件でマスコミから声がかからなくなった。権力を恐れるメディアの姿勢はおかしい」(アガニョーク誌の編集幹部)と「自粛」への自問もくすぶっている。
(09/06 22:55)
http://www.asahi.com/international/update/0906/011.html