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露学校占拠:民族超え過激派連携か (毎日新聞)
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投稿者 彗星 日時 2004 年 9 月 06 日 10:35:45:HZN1pv7x5vK0M
 

露学校占拠:
民族超え過激派連携か

 ロシア南部・北オセチア共和国の学校占拠事件は、周到な計画性、多数の犠牲者を意図した手口などから、国際テロ組織「アルカイダ」の影響をうかがわせている。実行部隊にはチェチェン人のほか、地元オセチア出身者、近隣のイングーシ人、カザフ人などが含まれていたとの情報も出て、民族を超えた犯行グループが形成されたとの疑いも強まっている。従来のチェチェン武装闘争を抜け出し、国際社会に強い衝撃を与える意図さえ感じられる今回の事件の犯人像を探った。【モスクワ杉尾直哉、カイロ小倉孝保】

 ◇用意周到、資金援助も

 「犯人の中には10人のアラブ人がいた。うち1人は褐色の肌だった」−−。プーチン大統領顧問のアスラハノフ氏らは、早くに武装集団とアラブ、さらにはアルカイダとの関連を示唆した。だが、人質による確たる目撃証言は出ていない。

 ロシア紙イズベスチヤによると、実行部隊の直接の指揮は、チェチェン共和国でかつて安全保障会議事務局長を務めたドク・ウマロフ司令官が執った。事件発生当初、脱出に成功した少年が、治安当局の資料の中から顔写真を選んで判明したという。

 また、モスクワ放送によると、他の指揮官格には、チェチェン、イングーシでの数々の事件で知られるマゴメト・エブロエフ氏もいた。地元北オセチアのエリホト村出身のウラジーミル・ホドフ氏もいたとされる。

 5日のモスクワ放送によると、ロシア検察当局は、実行部隊にイングーシ人、カザフ人、アラブ系、スラブ系メンバーが含まれていたと明かした。事実ならば、民族的に「寄せ集め」をうかがわせる構成だ。

 部隊の背後で全体計画を立案したとみられているのは、チェチェン独立強硬派指導者のバサエフ総司令官だ。6月のイングーシ共和国での内務省庁舎襲撃事件を首謀したのをはじめ、チェチェン絡みのテロ事件ほとんどに関与が指摘されている。ウマロフ、エブロエフ両氏は側近にあたる。

 そして、治安当局が事件を資金面で支えた人物とみて重視しているのが「チェチェンでのアルカイダ代表」とされるアブオマル・アッセイフ氏だ。サウジアラビアのイスラム原理主義思想を支えるワッハーブ派信者で、アルカイダの評議会(シューラ)の構成員だという。グルジアでチェチェン武装勢力の活動を支援し、カフカス地域のイスラム武装集団とアルカイダの接点役として名前がたびたび浮かんでいた。

 ロシアの各メディアは今回の事件がきわめて周到な計画で実行されたことを改めて伝えている。武装集団は事前に武器や爆発物を学校に運んで隠したほか、占拠直後に体育館など建物の窓をすべて割り、2年前のモスクワ劇場事件での治安当局による有毒ガス攻撃への対策をとった。また、訓練された犬2頭を連れ、狙撃者や監視担当役をち密に配置したという。

 時間をかけたであろう大掛かりな計画や、武器の豊富な量、死をも覚悟したような行動からも「アルカイダの影がちらつく」と見る向きはある。

 タス通信によれば、地元住民3人が武装集団に協力していた疑いで北オセチア内務省に逮捕された。ほかに地元の警察官が先導役に引き込まれていたとの情報もある。

 北オセチア共和国内務省は7月から、チェチェン大統領選挙(8月29日実施)に備え、北オセチア一帯でも厳戒態勢を敷いていた。だが、大統領選が終わった後の8月末限りで態勢は解かれ、その直後に学校が襲撃された。現地の治安当局の動向を知った上での犯行との見方も強い。

 アルカイダのメンバーが直接加担していたかどうかは不鮮明ながら、少なくともアルカイダ的な行動や手法を犯行グループが取り入れたことは間違いないようだ。

 ◇アラブ諸国内で接触

 北オセチア共和国の学校占拠事件におけるチェチェン武装集団とアルカイダの直接的な関係は、現時点でははっきりしない。ただ、チェチェン指導部が最近、生き残りのためにイスラム過激派ネットワークと接近していたとの見方は根強く、アルカイダが資金・武器提供のほか、犯行計画立案などで事件に関与した可能性は否定できない。

 イスラム原理主義過激派のネットワークについては不明な点が多いうえ、ロシア政府はチェチェンの武装闘争とイスラム・テロを結びつける傾向が強い。だが、アラブ側では「アルカイダとチェチェンが共闘する可能性はない」(エジプト人ジャーナリスト、サイド・ナッサール氏)と慎重に見る向きもある。

 しかし、一方でチェチェン武装勢力がイスラム過激派の国際ネットワークとの結びつきを強めていたとの見方は出ていた。ロシアの圧力にかかわらず、大規模なテロを実行するには、背後に大きな支援ネットワークが不可欠ともいわれている。

 アラブ諸国には19世紀のカフカス戦争以来、大勢のチェチェン人が移民した。近年は武装闘争で追い詰められたり、負傷した多くのチェチェン兵士が、トルコやアラブ諸国に逃れ、地元イスラム原理主義グループに保護されている。一部のチェチェン人がアラブ人化した中で、武装勢力とイスラム過激派組織の関係は強まっている。

 占拠事件の首謀者として名前が挙がっているバサエフ総司令官は、アフガニスタンで軍事訓練を受けたとされ、アラブ・ムジャヒディン(イスラム聖戦士)とのつながりが強い。また、直前に発生したロシア機の同時爆破事件で犯行声明を出した「イスランブリ旅団」という名のグループは、アルカイダの関連組織だと疑われている。

 アルカイダはアラブ人中心の組織だが、イスラム教徒の同胞意識が民族意識を超えるため、イスラム教徒であれば民族は問われない。チェチェン人は従来、穏健なイスラム教徒が多いが、ロシアの圧力が強まるに従い、過激思想が主流になってきたと言える。

毎日新聞 2004年9月6日 2時36分
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/afro-ocea/news/20040906k0000m030119000c.html

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