現在地 HOME > 掲示板 > 戦争59 > 584.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
救出作戦に不備」と英紙が指摘 ロシア学校占拠事件
大惨事に発展したロシアの学校占拠事件について、英各紙は5日までに、テロリストを激しく非難する一方、「救出作戦に不備があったのでは」と指摘する声も紹介している。事実関係の解明はこれからだが、ロシアの警備当局は、偶発的に始まる「最悪シナリオ」への備えが十分ではなかったのではないか、との疑問だ。
英紙が当局発表をもとに報道したところでは、2回の爆発をきっかけに銃撃戦が始まり、犯人が逃げる人質を乱射。ロシア軍が応戦する形で混乱が広がった。連邦保安局は「特殊部隊の突入は計画していなかった」としており、偶発的に始まった銃撃戦が惨事の引き金になった可能性が高い。
人質救出は、交渉を長引かせて人質の数を減らし、犯人が人質に危害を加えるかパニックが生じた場合、巻き込まれる人質を最小限にするのが鉄則だ。人命最優先の考えから、「人質に危害を加えない限り、先制攻撃しない」のが一般的だ。
占拠した武装集団は人質の生命や健康を顧慮する様子はなく、自らも死を覚悟していたと見られた。犯人の要求に応じて逃走路を提供するなど、交渉による解決の可能性は低かった。この点でロシア当局を批判する声はない。問題は、偶発的な事態の展開に備えた計画がなく、あるいは部隊相互の指揮・連携がとれていなかったとの疑問だ。
5日付日曜紙サンデー・テレグラフは、「警備の基本的誤りが被害を拡大した」と批判。特殊部隊の準備が整っていなかったため、人質が逃走し始めてから作戦合流までに20分以上もかかったと指摘。他の部隊が現場周辺を立ち入り禁止にしなかったため、武装した市民が学校に救出に向かい、この混乱に紛れて犯人の一部が逃走したと批判した。また、救急医療チームが待機していなかったため、被害者への応急措置が遅れた点も指摘している。
4日付ガーディアンも、元英特殊部隊員らの意見をもとに、非常線を敷いていなかった点を批判し、親や市民らが入り乱れて混乱に拍車がかかった点を指摘。特殊部隊をバックアップする他の部隊が適所に配備されていなかったことなどをあげ、予期せぬ事態に即応する態勢がなかったとの見方を紹介した。
さらに同日付インディペンデントのコラムニストも、「過激派と軍が対決する」という当局の強硬姿勢が、人質たちの動きを十分に考慮しない結果を招いたのではないかとの疑問を提示。武装した親たちが、わが子を案じて発砲したとの報道を引きながら、統制のなさが混乱を拡大したとの疑問を指摘した。
◇
準備不足、不適当な装備、そして専門部隊の不在――。AFP通信は学校占拠事件でロシア治安当局の「戦術ミス」を厳しく批判するフランスの対テロ専門家の意見を伝えた。
特殊部隊に関する著作があるエリック・デネセ氏は、「占拠された学校の封鎖が不十分で、生徒の親やジャーナリストたちも学校周辺に入り込んだ」と指摘。大勢の民間人が巻き添えになり、一部の占拠犯の逃亡を許したとする見方だ。
デネセ氏は「超小型の偵察機器を用いて占拠グループの規模や配置を探り、綿密な作戦計画をたてるのが常道」と強調。ロシアには連邦保安局(FSB)に特殊精鋭部隊がいるが、今回主に投入されたのは内務省所属の特殊部隊。「テレビに映るのはカラシニコフ銃などを握る隊員ばかりだった」と述べた。
仏当局の対テロ部門の幹部も同通信に「人質事件で必要なのは交渉で時間を稼ぐこと。今回は十分な時間がなかった」と述べた。
また仏日曜紙ジュルナル・デュ・ディマンシュは、3日正午すぎに占拠グループが突然発砲を始めた時、学校周囲に配置についていた特殊部隊員がパニック状態に陥ったとする近所の住民の目撃証言を伝えた。
(09/05 22:13)
http://www.asahi.com/international/update/0905/012.html