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9月4日 ◆◇ ロシアの学校占拠事件の悲劇に思う ◇◆ブッシュ大統領の演説と今の米国 ◇◆核拡散はもはや防ぎようがないのか ◇◆バナナの叩き売りではあるまいに ◇◆
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天木直人
メディア裏読み
9月4日
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◆◇ ロシアの学校占拠事件の悲劇に思う ◇◆
ロシア軍撤退を要求するチェチェンの武装集団の抵抗とこれを徹底的に押さ
えつけようとするプーチン政権の強権政治はついにここまでの悲劇を生むこと
になった。静止できない残酷さである。あらゆる論調は抵抗組織の愚挙を非難
し各国政府もまたプーチン政権のとった措置に理解を示す。
しかしそれが正しいのか。
私は敢えて異を唱える。
人が人を力で押さえつけるところに真の和解はない。人間性を否定されたもの
は抵抗を止めない。
人間をそういう状況に追い込むことこそ責められるべきなのだ。
チェチェンの武装抵抗の根底にあるのは世界に共通している被抑圧者の究極の
抵抗と捕らえるべきだ。かつて黒人差別問題と闘って南ア白人政権に拷問死させ
られたスチーブ・ビコを描いた映画「遠い夜明け」の中で、拷問する南アの官憲
に投げかける次のような言葉がある。
「何をそんなに恐れているんだ。怖いのはお前たちだけじゃあない。俺たちは
もっと怖いんだ」
自らの強権政治の結果として国内に抵抗運動を抱えている指導者たちは、あた
かも傷をかばいあうように断固とした「テロとの戦い」の姿勢を褒め称えあって
いる。かつて世界規模で核戦争も辞さないとしていた米ロ超大国の大統領二人が、
抵抗組織を抑圧するという一点でエールを交換しているというのはもはやパロディ
である。
しかし強権政治の犠牲者は、更なる憎しみの連帯感を増幅させて世界的に抵抗
の輪を広げる。その行き着く先は世界規模における危険の高まりである。
戦前の日本はまさしく強権政治であった。治安維持法や特高警察により人々の
自由と独立が抑圧されていた。その結果があの無謀な太平洋戦争である。その反省
にたって今日の日本がある。せめてわが国の首相は、世界の強権政治に追随するこ
となく、世界の平和と人権に最大の価値を与える日本を世界に示してもらいたい。
◆◇ ブッシュ大統領の演説と今の米国 ◇◆
共和党全国党大会最終日のブッシュ大統領の候補指名受諾演説を聴いて、米国は
とんでもない国になってしまったと実感した。とにかく「テロとの闘いに屈しない」
という攻撃姿勢一色である。
健康保険にも加入できない貧困層が4千数百万人にものぼり、貧富の差が拡大する
一方の米国経済を前にして、外交・安保を前面に打ち出し、いたずらに危機感を煽って
国民を繋ぎとめようとするブッシュ大統領の演説は、いかにそれが4年に一度の大統
領選挙に勝つための集票演説であるとしても、あまりにも空疎ではないのか。
もっともブッシュ大統領にとっては、「国民の選挙ではなく裁判所の判決で決められ
た大統領」という汚名を晴らす為にはなんとしてでも再選される必要があるのであろう。
それにしてもである。
「われわれは攻勢をかけ続ける」、「海外でテロリストを叩く」、
「サダム・フセインとタリバンという人殺し政権が過去の歴史となり、5000万人の人々
が解放された」、「われわれの戦略は成功している」、「米国と世界はより安全になった」、
「アメリカは世界を自由に導く使命を帯びている」、「自由は全能の神が授けるものだ」
こんな言葉が繰り返されるたびに合計100回もの拍手が巻き起こるうそ臭さである。
その一方で会場となったニューヨークでは激しい反ブッシュの抗議行動が繰り広げられ
逮捕者が過去最高の1800人にのぼったという。
イラクへの攻撃で、アラブを、欧州を、そして世界を二分してしまったブッシュ大統領
は、米国そのものを亀裂させてしまったかのようだ。
◆◇ 核拡散はもはや防ぎようがないのか ◇◆
韓国が国際原子力機関に未申告でウラン濃縮実験を実施した事が明らかになって世界は
大騒ぎである。驚いたのは責任者である韓国原子力研究所の張所長が朝日新聞に対し
「研究者たちの求めでイラン濃縮実験を一度だけ私が許可した」「この程度の実験まで
政府に報告する必要がないと考え韓国政府に報告しなかった」とあっさりと答えているこ
とである。
私は技術的なことの知識がないので原子力の平和的利用と核開発の関係や、どの段階の
実験が核兵器に繋がる危険なものかについていくら勉強しても理解が追いつかない。
しかし最近報じられる各国の動きは、もはや核拡散は避けられなしような気持ちにさせ
られる。
共和党大会に出席していた韓国ハンナラ党の朴国会議員は「北朝鮮が10月に核実験をす
るとの観測が米政官界で広まっている事を明らかにした」という(ソウル発時事)。
南アフリカの捜査当局は2日、核兵器製造に必要な資材を国外に売却しようとした疑いで
ヨハネスブルグに住むエンジニアを逮捕した(3日付毎日)。
米国はイランが核兵器を開発していると主張して国連安保理への付託を強く求めている。
私がレバノンであった抵抗組織の一人は「自分たちに核兵器があればためらうことなくこれ
を使う」と言って私を驚かせた。
武力で屈服させる事がもっとも手っ取り早い方法だと公言してそれを実行に移している
米国、イスラエルを見ていると、もはや核拡散は避けられないような気がする。
そんな中で日本が憲法を改正して軍事国家になればどうなるのか。米国の軍事戦略に組み
こまれたただの小国に成り下がるだけである。
ますます平和憲法が貴重なものになってくるのである。日本が世界の尊敬を受ける国にな
れるとすればそれしかないことは明らかである。
◆◇ バナナの叩き売りではあるまいに ◇◆
9月3日の産経新聞が一面トップで「米国牛、輸入再開へ」というスクープを放った。翌
4日の各紙はいっせいに後追い記事を書いた。それらを総合すると、狂牛病対策の検証を進め
ている食品安全委員会プリオン専門調査会が3日、現在実施している全頭検査について、「生
後20ヶ月以下の感染牛の検出は困難である。・・・一定の月齢以下の若い牛を検査の対象から
除外しても人に感染するリスクは増えない。・・・」との報告書案を示した為、この案が承認
されれば関係省庁が検査対象の見直しなどの省令改正を検討することになるというのだ。
繰り返しこのコラムでも述べてきたが、米国産牛肉の輸入は、米国の圧力によりいつかは再
開される。問題は再開するときに国民にどう説明できるかである。
これまで厚生労働省、農林水産省で検討されてきた狂牛病検査の牛の月齢は国内でもっとも
若い感染牛の生後21ヶ月を下回る20ヶ月、国際的に検査が困難とされる24ヶ月、米国が危険
性がないと主張する30ヶ月の三案があったが、20ヶ月以下であれば検査の判別が不可能だから
認めてもいいという。
これで米国産輸入牛の8割をカバーするから。100%をカバーする30ヶ月でなくても米国も
飲むだろうという思惑か。
これではまるでバナナの叩き売りだ。
それにしても、検査をしてもはっきりした事がわからないから輸入を認めるという。
これは論理が逆ではないのか。
わからなければ危険で輸入できないというのなら話はわかるが。いずれにしてもいい加減な話
である。
いつ、どういう形で輸入が再開されるのか。私たちは監視し続けなければならない。
http://homepage3.nifty.com/amaki/pages/ns.htm