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特集:イラクのフランス人人質
暗号の解読
厳密な分析が、自称《イラク・イスラム軍》は、イスラム教徒でもなければイラク人でもないことを示している。反対側の組織の知られざる連中で、連中はイリアド・アラウイの政府としか接触を持たず、連合軍の利益に奉仕している。フランスの政府要人たちが、拉致犯が望んでいる論理に入り込むどころか、このドラマを、文明間の戦争という米国のプロジェクトに対抗する国際的な総結集運動に転化させるべく、あらゆる外交網を展開した理由がここにある。
フランス人ジャーナリスト、クリスチャン・シェスノとジョルジュ・マルブリュノ、それにシリア人の運転手、モハメド・アルジョンディが、8月24日、イラクの米国占領地帯で消息不明となり、呆然とした沈黙をもたらしたが、その4日後、放映された拉致犯のメッセージが国際的な抗議を巻き起こした。
問題はビデオカセットだ。その中で、二人のジャーナリストは、拉致犯の姿がないということをよく表している。つけ加えられた声明は、二人がイラクのイスラム軍によって監禁されていることと、イスラム軍が《スカーフ禁止法》をフランスが廃止するよう求めていること、そして48時間の猶予を与えるという内容で、モハメド・アルジョンディはもはや問題にされていない。
カセットは誰からだか分からないがアルジャジーラに届けられた。だがアルジャジーラはすでに同じ署名のある他のカセット(複数)を受け取っていた。こうして、《イラク・イスラム軍》と署名された別々のカセットは、出所が一つであることが分かる。
ビデオは中近東の非合法グループが平常使うものとは異なる作り方だ。非常に注意深く作られ、二つの簡潔な画面が固定されて、編集はきちんとしている。拉致犯は映像には出てこない。
声明はフランス語とアラビア語で作られている。フランス語圏とアラブ諸国向け放送のためである。しかしフランスのテレビ局は、一回しか流さないことを決めたLC1を除いては、拉致犯に問題をアピールさせないために放映を拒否した。
2番目のカセットは2日後に放送された。同じやり方で作られているが、今度は、二人のジャーナリストは英語でしゃべっている。拉致犯はフランスで放映されなかったから、そこで英語圏の公衆に訴えたのだ。
イラクの合法、非合法の政治集団について本を書いたハッサン・ガリブ(Hassan Gharib)は、われわれに《イラク・イスラム軍》という名称はいかなる反対勢力として知られた組織にも参照するものがないと確言した。それはフィリピン政府を屈服させて以来、メディアを通じてしか存在しないのである。
7月10日、アルジャジーラを通して、《イラク・イスラム軍》の人質がアロヨ大統領に対してイラクからの部隊の撤退を要請した。フィリピンは7月12日に脅しに屈した。20日には部隊は完全に撤退し、人質は解放された。連合国の多くがフィリピンの弱腰に文句をつけたが、一方《イラク・イスラム軍》は、外国の雇われ軍隊を打ち負かしたレジスタンスの唯一のグループとして存在をあらわにした。
しかし、それは明らかに演出だった。自称《イラク・イスラム軍》が、20万人を超える外国の占領軍と傭兵から国を解放するため、わずか80人から成るフィリピン軍を標的にしたのである。7月20以前に撤退を主張したが、そのときすでにフィリピン軍は撤退を開始し、8月20日に終えることになっていた。フィリピンはかつてのアメリカの植民地であり、外交政策で運営の自在性もなく、軍隊もペンタゴンに組み入れられている。その撤退は何も意味しない。
もっと驚くのは、10日の危機の間、フィリピン政府と《イラク・イスラム軍》間の話し合いは、イアド・アラウイの政府の仲介で行なわれたということである。今では、連合軍の政府が、公然と要求して設定した人質の監禁者と連絡が取れる唯一のチャンネルになっている。ことははっきりしてきた。イラクで起こっていることに関して情報通と評価されているアヤトラ・アリ・ハメネイが、《イラク・イスラム軍》は米国とイスラエルの代理として働いているエージェントで構成されている疑いを表明したことがある。
同じ署名が、イタリア人ジャーナリスト、エンゾ・バルドニの誘拐と死に関して突然現れた。しかしながら、イタリアの新聞によれば、バルドニ氏は処刑されたのではなく、監禁中に死亡した模様だという。その先の企みが何であったのか分からないまま、計画は頓挫したようである。
フランス人人質の命と引き換えに《スカーフ禁止法》の廃止を要求することは、イラクの現実から分離している。外国勢力によって国が占領されている時に、《イラク・イスラム軍》は友人の国の法律を変更することを気にかけているのである。その指揮者がイラク人であれば、驚くべきことだ。
拉致犯は学校が始まることを知っている。9月6日だから、今週中に決定しなければならない。しかし彼らは、国会だけが法律を廃止できるということを知らない、あるいは知らない振りをしている。しかも国会はバカンス中である。
誘拐と脅しの本質は信仰を高めることではなく、それは破廉恥な行為だ。それは信仰の篤いイスラム教徒のすべての権威者から断罪される。イラクで誘拐の実行が一般化されて以来、彼らのメッセージは広い範囲で繰り返された。したがって、《イラク・イスラム軍》がイスラム教の信仰によって動かされるなどとは驚くべきことだ。
こうした要素から、われわれは最初の結論を引き出すことができる。
アリ・ハメネイ師がすでに注意したように、《イラク・イスラム軍》は明らかにイラクのイスラム教徒で構成されたものではない。それは、合法的にせよ非合法にせよ他の反対運動とは接触がない。そして戦闘を装っているアラウイ政府としか公式の論議をしない。この新しい事態の中で、連中はイラクを解放しようとはせず、フランスの政治に干渉しようとしているのだ。
フランスの要人、高官の反応
首相は危機管理委員会を招集した。内相はイスラム教徒のフランス委員会を呼び出した。首相は二つの議会の代表とコンタクトを取った。大統領は国民に呼びかけた。翌日、外相はカイロでアラブ連盟の代表と、次いでエジプトの外相と、アレクサンドリアでエジプトの情報局長と会った。外交と軍事代表団がバグダッドへ赴く。大統領はソチでロシアの大統領とドイツ首相と会談する。外相はヨルダンの情報局長と会うためにアンマンへ行く。3日足らずの間に、フランスの外交網は主だったイスラム教要人たち、アラブ体制と政治組織の全面的な支持を獲得する。
(中略)
かつてイギリスのMI6や米国のCIAに雇われていたことを隠さず、エジプトやヨルダンの機関にもいた首相、イアド・アラウイは、何人かの欧米のジャーナリストに胸の内を語ってとりとめない雑談をした。すると「ルモンド」がその1部を不自然に再構築してインタビュー形式で報じた。取り上げられた話題は、その場にいたアングロサクソン系のジャーナリストによっても、アラウイ氏によっても確認されていない。《イラク・イスラム軍》とダイレクトに交渉できる唯一の人物である首相は、連合軍への支援に対するフランスの拒否が、テロリズムからフランスを守らないのだと説明する。反対に、彼によれば、連合軍への支援を拒否する国家にテロ攻撃が発生するだろう。さらには、部隊の撤退を主張する米国の町々にも。
要するに、アラウイ氏は、次の標的が何であるかを知るために《イラクのイスラム軍》と頻繁に付き合っているのである。そして連合軍に反対する国々や集団を脅す。イラクにおける彼らの利益に対抗するためだけではなく、彼らの領土に対しても。
外交的逆転
当初から、ジャック・シラクはこれが二人の人質の生命、または《スカーフ禁止法》の問題を遥かに超える危機だと感知していた。そして文明間の戦争を推し進める米国の計画に直面したフランスの外交的立場が賭けられていると理解していた。われわれが数多くの政府とイスラム世界のメディアに対して、ほぼ3年間繰り返すのをやめなかったように、ロングタームのフランスの外交政策は束の間の利益には駆られることなく、共和国の社会契約に従うものである。指導者がどんなに変わろうとも、フランスは常に国際関係で宗教から独立した概念を維持している。それは内在的に文明間戦争のプロジェクトに反対する。フランスの観点からすれば、文明間の戦争は中東対西欧の戦争ではなく、国内の戦争である。共同体間の人口的均衡が動機なのではなく、これは共和国政体の定義に関わるのである。
(以下略)
http://www.reseauvoltaire.net/article14762.html