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9月3日付・読売社説(2)
[ロシア情勢]「テロの拡散と拡大が憂慮される」
テロが拡散、拡大するロシア情勢は、極めて憂慮すべき状況にある。
ロシア南部の北オセチヤ共和国で、武装グループが、始業式直後の中等学校を襲撃し、児童や生徒らを人質にして立てこもった。親や教師を含む人質の数は、三百五十人に達する、という。
グループは、紛争が続くチェチェン共和国からのロシア軍の撤退などを求めている。その要求などから判断すると、チェチェン・イスラム武装勢力に関連するグループの仕業である可能性が高い。
人質の生命の安全を考えれば、慎重な対応が求められるだろう。しかし、プーチン大統領ら政権指導者が、テロリストの要求に安易に屈するようなことになれば、新たなテロの種をまく結果になりかねない。
すでにロシアは、連続するテロ事件で揺れている。先月下旬、モスクワを別々に離陸した旅客機二機がほぼ同時刻に爆破されて墜落し、九十人が死亡した。学校襲撃事件の前日には、モスクワの地下鉄駅入り口付近で自爆テロが発生し、少なくとも十人が犠牲になった。
旅客機連続爆破と自爆テロ事件について、アル・カーイダ系と見られるイスラム過激派組織が、犯行声明を出した。
それだけで、犯行グループを特定するのは難しいが、声明の中でこの組織は、チェチェン問題とのかかわりに言及している。国際テロ組織とチェチェン武装勢力との連携が懸念される。
この連携が事実なら、ロシアにおけるテロ問題は、単なる民族主義的な対露独立運動に連動した動きとは次元の異なる段階へ入ったことになる。
連続テロの発生は、プーチン政権のテロ対策そのものの有効性に、根本的な疑問を突きつける格好となった。
旅客機爆破テロに関しては、空港の警備上の甘さが指摘されているばかりではない。地上の「作業員」に共犯者がいたとする見方も出ている。テロ対策の一層の徹底、強化が求められる。
ロシア政府は、相次ぐテロ事件を受けて、核関連施設の警備強化を決めた。当然だろう。テロリストによる核施設への攻撃や、国際テロ組織の核物質入手などという事態を許してはならない。
プーチン政権は、テロ事件の背後に横たわるチェチェン問題の対処に、難しい判断を迫られることになった。独立派を武力で抑え込むだけでいいのか。地域安定に資する政策は、ほかにないか。
テロリストに屈服することなく、テロの拡散をどう抑え込むか。政権が直面する課題の実現は、容易ではない。
(2004/9/3/01:57 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040902ig91.htm