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9月2日付・読売社説(1)
[常任理事国]「『日本の役割』が見えない首相発言」
小泉首相が、今月下旬の国連総会一般討論演説で、日本の常任理事国入りを訴える。
大戦の戦勝国による常任理事国五か国(P5)体制が現在の国際社会の現実を反映しているとは言い難い。世界第二位の経済力を持つ日本が、常任理事国入りし、国際社会の平和と安全に応分の役割と責任を果たして当然である。
だが、この問題に関する、首相の発言には、いささか疑問な点がある。
「P5はすべて核保有国だ。国際紛争が起きた場合、海外での戦闘行為を辞さない国だ」「日本はP5と同じことはできない。P5とは対応が違う国として、発言権を得ていく立場を表明する」
日本の常任理事国入りについて、首相は以前から、憲法九条の制約などを理由に消極的な姿勢を示してきた。今回の発言も、明示はしていないが、「九条の制約」を念頭に置いたものだろう。
だが、日本が常任理事国になったからといって、核保有国になる義務などあるはずがない。「国際紛争が起きた場合、海外での戦闘行為を辞さない」ということと、安保理決議に基づいて、平和の維持・創出のために自衛隊を派遣することを同列に論じることはできない。
憲法九条が禁じているのは、「国権の発動たる戦争」と「武力行使」だ。安保理決議に基づく、国際社会の平和の維持・創出のための自衛隊の海外派遣は「戦争」や「武力行使」には当たらない。現に、首相は、イラク派遣の自衛隊の多国籍軍「参加」を認めている。
多国籍軍などへの参加も、「義務」ではなく、加盟各国の政治判断で決めることだ。イラク多国籍軍にも、P5のうち仏露中の三か国が参加していない。
民主党の岡田代表は、「憲法を改正し国連安保理の明確な決議があれば、海外での武力行使を可能にすべきだ」と主張している。首相の発言は、岡田氏より後退しているようにも見える。
九条改正が望ましいのは無論だが、現行憲法の下でも、「武力行使」の解釈変更によって、日本はかなりのことができるはずだ。その権限は首相にあり、首相の政治判断で可能なことだ。「集団的自衛権を持ってはいるが行使できない」という政府の解釈の変更も同様だ。
これだけでも、自衛隊を活用した国際平和協力活動の幅は大きく広がる。
「P5と同じことはできない」と言うだけでは、国連加盟国から、日本の常任理事国入りへの支持や理解がどれだけ得られるか疑問だ。「できない」ではなく「何ができるか、何をすべきか」をまず追求するべきである。
(2004/9/2/01:25 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040901ig90.htm