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「IBMとホロコースト」訴訟、スイス最高裁へ
原告のジプシー団体はIBMのパンチカードマシンがナチスの大量虐殺を容易にしたと主張し、IBMは訴訟の棄却を訴えている。この問題の決着は、スイスの最高裁で争われる。
ジュネーブ(Associated Press)
米IBMは8月30日、スイスの最高裁に、同社のパンチカードマシンがナチスの大量殺りくに貢献したとするジプシー(ロマ族)の団体による訴訟を退けるよう求めた。
IBMの弁護団はスイス連邦最高裁に、この訴訟の続行を認めたジュネーブの控訴裁判所の決定を覆すよう求めたと同社の広報担当ブライアン・ドイル氏は語る。
「係争中の訴訟についてはこれ以上コメントしない」とドイル氏はAP通信の電話取材に応えて語った。
ジプシーの団体は、2001年に出版された「IBMのパンチカードマシンが、ナチスによる大量殺りく作戦の効率化を可能にした」とする書籍を受けて、訴訟を起こした。
この団体「Gypsy International Recognition and Compensation Action」(GIRCA)は、IBMのジュネーブ支社がナチスとの取引の拠点になっていたと主張している。IBMはこれを否定している。
IBMは一貫して、「IBMにはホロコーストにおける同社マシンの使途に責任がある」との主張を否定している。ドイル氏は、この申し立てへのコメントを拒否した。
「この問題にはメディアではなく法廷で最善の対処を取る」と同氏。
ジュネーブの地裁は昨年、IBMは第2次世界大戦中に同市に「アンテナ」を置いていただけだとして、同裁判所にはこの件の審理を行う権限がないと判断した。
だが6月に同市の控訴裁は、地裁の決定は誤りであるとし、同市の記録には、IBMが1936年に「International Business Machines Corporation New York, European Headquarters」の名称で支社を開設したことが記されていると指摘した。
控訴裁は、「IBMが機材や知的支援を通じてナチスの犯罪行為に加担した」ことは無視できないとの判断を下した。
GIRCAの弁護団は、IBMのジュネーブ支社は、ニューヨーク本社からの明確な指示に従って行動し、ナチスとの欧州全域にわたる取引の調整を続けていたと主張している。
同団体は独仏の4人のジプシーと、ポーランド出身でスウェーデン在住のジプシー1人の代理人として、IBMに「道徳的な償い」とそれぞれ2万ドルの損害賠償を求めている。これら5人の原告は、ホロコーストで孤児になった。
この訴訟は、米国の作家エドウィン・ブラック氏が著書『IBMとホロコースト』の中で、ナチスが強制収容所に送る人間の情報を体系化するのに(IBMの)パンチカードマシンを使っていたと指摘したことを受けて起こされた。ジプシーの被収容者は「ナンバー12」、ユダヤ人は「ナンバー8」と記録されていた。「D4」のコードは、殺害された被収容者を意味していた。
ナチスは600万人のユダヤ人のほか、約60万人のジプシーを殺害したとされているが、複数のジプシーの団体が、殺害されたジプシーの人数は150万人に上っていた可能性もあると主張している。
IBMのドイツ支社は、同国の政府と企業が出資する、大戦中のナチスによる強制労働に補償するための基金に参加している。
ニューヨークでも以前に同社を相手取った集団訴訟が起こされたが、ドイツのホロコースト補償基金からの支払いが遅れるのではないかと弁護士が懸念したことから、2001年4月にこの訴訟は取り下げられた。ドイツの企業はこの基金に参加する前に、訴訟の対象にされないという保証を求めていた。
ジュネーブの訴訟は、欧州でIBMに対して起こされた初めてのホロコースト関連訴訟だとジプシー側の弁護士ヘンリー−フィリップ・サムバック氏は語る。同氏によると、スイス連邦最高裁は早ければ11月にも、IBMの訴えに対する判決を下す可能性がある。
[Jonathan Fowler,The Associated Press]
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