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8月30日付・読売社説(1)
[武器輸出]「防衛大綱に明記すべき新原則」
新たな防衛計画大綱を検討する小泉首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」で、武器輸出三原則が重要な論点の一つになっている。
「武器輸出は原則自由とし、特定のケースのみを禁止すべきだ」「米国とミサイル防衛(MD)の技術開発を進めることは、『死の商人』となることとは異なる」などと、三原則の見直しを求める意見が出ているという。
武器輸出三原則は、一九六七年の佐藤内閣当時、共産圏諸国、国連決議での武器輸出禁止国、国際紛争当事国と、そのおそれのある国を対象に定められた。三木内閣当時の七六年には政府統一見解によって、事実上、全面禁輸となった。
見直し機運が高まっているのは、日米で進めているMDの共同技術開発に支障をきたすからだ。
政府は、中曽根内閣当時の八三年、米国への武器技術の供与を、武器輸出三原則の例外扱いとした。だが、今後、MDが研究段階から生産段階に移行する時点で、米国に対して技術だけではなく、部品を輸出する必要が生じる。
三原則の下では、それが不可能だ。米国から欧州諸国などへMDの輸出もできず、日米共同開発の障害ともなる。
冷戦後の防衛力整備は、各国が資本や技術を持ち寄る共同開発・生産が世界的な流れになっている。しかも、軍事革命(RMA)といわれるほど、軍事技術が急速に進展している。
現在の三原則では、他国との連携が制約され、技術の開発で後れを取ってしまう。独自の開発では、過大なコストを強いられる。現状のままでは、日本の安全保障に深刻な事態を招きかねない。
民主党などには、三原則見直し反対論もある。日本が「平和国家」としての外交力を失う、という理由からだ。
三原則を見直すに当たって、国際紛争の助長を回避する、という基本理念を堅持するのは、当然だ。見直しはあくまで共同開発が目的だ。「武器輸出大国」や「死の商人」を目指すものではない。
議論のたたき台はある。
自民党の国防部会は、三原則の見直しを提言し、「国連決議などによりテロ支援国または人権侵害国とされた国、国際紛争の発生地域などへの武器輸出を認めない」などという新たな原則を掲げている。事実上、佐藤内閣当時の三原則に戻すように求めたもの、と言っていい。
懇談会は、九月末にも、報告書をまとめ、首相に提出する。年内に策定される新防衛大綱には、三原則に代わる新たな武器輸出原則を盛り込むよう、政府内の調整を急ぐべきだ。
(2004/8/30/01:32 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040829ig90.htm