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米軍司令官発言・重大性の認識に欠ける
事の重大性を全く認識せず、言語道断で、県民をばかにしているとしか思えない。トーマス・ワスコー在日米軍司令官のことである。
二十六日に東京都内で講演した際、米軍ヘリ沖国大墜落事故について「乗員は墜落すると分かった段階で、被害を最小限にしようと努力した。三人の乗員が制御不能の状況下で、人のいないところに(ヘリを)もっていったという素晴らしい功績があった」などと発言したのだ。
そもそも、機体尾部のローターが飛行途中に脱落した状態では操縦不能になっていたはずだ―と専門家も指摘している。沖縄国際大の墜落地点に、たまたま人がいなかったからこそ、犠牲者を出さずに済んだ。民間人の身体に被害が及ばなかったのは奇跡以外の何ものでもない。
自らの失態で県民、市民の生命を脅かし、恐怖に陥れたことへの反省もなく、乗員を称賛する神経は到底理解できない。身勝手で占領意識丸出しだ。米軍が、こんな感覚で住民地域の上空を飛んでいるかと思うと、背筋が寒くなる。
司令官以下も同じだ。二十七日に駐日米国大使館で記者に事故の背景説明をした在沖第三海兵遠征軍の担当官は「大学の敷地に緊急着陸した」「不時着した」「大学の施設に触ってしまった」「ビルがちょっと傷を受けてしまったが、中の人たちを安全なところへ避難させた」などと述べていた。驚きである。
墜落し炎上した事故が、どうして「不時着」になるのか。子供でも分かる話だ。ここまで事実とかけ離れた認識を披歴されると、米軍の言うことは一切信用できなくなる。
彼らをこれほどまでに増長させたのは、対米追従で弱腰な日本政府の責任でもある。政府は、ワスコー司令官の発言を黙視せず、直ちに米国政府に抗議すべきだ。
米軍基地の管理・運用体制にとどまらず、司令官の資質まで問われている。このような意識を持つ司令官がトップに座っている限り、事故の危険性は消えず、再発防止など望むべくもない。速やかな更迭を望む。