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9月17日付・読売社説(1)
[日朝宣言2年]「不信を増幅させる『北』の不誠実」
日本の首相として初めて、小泉首相が北朝鮮を訪問し、金正日総書記とともに、日朝平壌宣言に署名して二年になる。
だが、宣言がうたう「北東アジアの平和と安定」どころか、北朝鮮の核開発やミサイルの増強などによって、事態は悪化し、脅威が増大している。日本にとって、万一の事態も想定し、万全の備えを整えることが重要な課題となっている。
日朝平壌宣言後、北朝鮮は使用済み核燃料棒を再処理し、プルトニウムの生産を進めるなど、公然と核兵器の開発を進めている。核廃棄を迫る六か国協議も次回会合の出席に難色を示し、協議の停滞は避けられない情勢だ。米国は、核実験の兆候があると警戒を強めている。
一連の動きは、平壌宣言に明記された「核問題に関連する、すべての国際合意の順守」や「核・ミサイルなど安全保障上の関係国の対話の促進」などに、まったく相反する。軍事国家・北朝鮮が、地域の安全保障に対する深刻な脅威であることを改めて示すものだ。
小泉首相は五月の再訪朝の際、「平壌宣言は日朝関係の基礎」と確認した。だが、宣言の誠実な履行をこそ強く迫るべきだ。小泉首相は「平壌宣言に反しない限り、制裁措置は発動しない」としているが、現実は、発動してもおかしくない状況になりつつあるのではないか。
拉致問題についても、金総書記は五月に、横田めぐみさんら安否不明の十人の再調査を約束しながら、今もって結果を示していない。月末に予定される実務者協議でも、北朝鮮が具体的な調査結果を示す可能性は乏しい。
「核、ミサイル、拉致」の包括解決が日本の原則だ。だが、核をめぐる六か国協議が停滞し、日本にとって深刻な脅威であるミサイルは協議の俎上(そじょう)にさえ載っていない。拉致問題にも進展がない。
こうした状況で、国交正常化交渉の再開などできるはずがない。小泉首相が五月訪朝の際に約束した、二十五万トンの食料など、人道名目の支援のうち、政府は半分の実施を決めているが、大方の国民は納得できないのではないか。残り半分の支援は当面、凍結するべきだ。
日朝平壌宣言二年の十七日、国民保護関連法が施行され、有事関連法の体系が整う。ミサイルなどの大量破壊兵器やテロを「新たな脅威」とする新防衛計画大綱が年内に策定される見通しだ。
日本の国家主権と国民の人権を踏みにじった拉致や、核・ミサイルの脅威によって、日本国内に、国家意識が広く浸透し、安全保障意識が高まっているからこそだろう。
(2004/9/17/01:42 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040916ig90.htm