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不具合の地対艦弾『SSM1改』試験中止
三菱重工業(本社・東京)による88式地対艦ミサイルの改良型「SSM1改」で不具合などの問題が相次ぎ、波紋を広げている。発射試験を予定していた発射場のある伊豆諸島の新島では、関係者約二百人が宿泊の予約をキャンセル。防衛庁の一部では「(かつての)ソ連の上陸侵攻に備えた兵器」の開発続行に疑問の声も上がる。 (社会部・半田 滋)
防衛庁のミサイル発射場は、技術研究本部第三研究所新島支所で、新島の南端にある。地元との取り決めで使用できるのは毎年十月から一カ月程度。今年は十月一日から四十三日間の予定だったが、中止が決まった。
毎年、技術者らが大挙して訪れる発射試験は、夏の観光シーズンが終わった後の島にとって、確実に見込める収入源だっただけに打撃は大きい。
九月下旬から連日、関係者三十人の宿泊予約が入っていたという民宿は一日当たり、二十万円近い宿泊費がゼロに。経営者は「ほかの客を断り、受け入れ準備を整えていたのに…」と残念そう。
洋上監視に漁船を有料で提供してきた新島漁協の北村好太郎組合長は「請負漁船の収入が減る分、本業の漁業で穴を埋めるしかないでしょう」。
新島では一九五〇年代、発射場の建設をめぐって島を二分するミサイル闘争があった。発射試験で事故が起きれば、闘争が再燃しかねないとの思いが住民には強く、あきらめムードも漂う。
田中英二新島村長は「村の経済にとっては損失だが、不完全なミサイルを発射されて事故が起きても困る。やむを得ない」と話した。
トラブルが続いたことで防衛庁の中でもSSM1に関心が集まった。SSM1は、山間部に隠れて沖合の敵艦艇を攻撃するという日本独自の戦術から生まれた特殊な地対艦ミサイルだ。
ミサイル連隊が置かれている駐屯地は北千歳(北海道千歳市)、美唄(同美唄市)、上富良野(同上富良野町)、八戸(青森県八戸市)、宇都宮(宇都宮市)、健軍(熊本市)の六カ所。健軍が中国からの侵攻対処をうかがわせる以外は、ソ連の上陸侵攻をにらんだ配備とされてきた。
艦艇を攻撃するのは海上自衛隊や航空自衛隊の任務のはずだが、ミサイル連隊は陸自だ。なぜ、陸自なのか。複数の軍事専門家は「冷戦当時、陸海空の三自衛隊でばらばらだった対ソ戦術が背景にある」と説明する。
ソ連が侵攻した場合、海自は来援の米空母艦隊を迎えるために太平洋に向かい、航空自衛隊は虎の子の戦闘機を北海道から本州中部以南の基地に移動させることになっていた。取り残された陸自が単独で戦うことを覚悟して保有したのがSSM1というのだ。
だが、自衛隊は二〇〇六年三月から統合運用が開始され、陸海空でちぐはぐだった戦術が姿を消すはずだ。しかも、今年十二月には「防衛計画の大綱」が改定され、自衛隊の役割が上陸侵攻対処からゲリラや特殊部隊への対処に改められる。
防衛庁幹部は「技術を温存する研究は続けなければならない。しかし、装備化するか否かは別問題。開発が終わった段階で、判断する必要がある」という。こうした空気を察知した三菱重工業の関係者は「防衛庁は開発を中止したいと考えているのではないか」と疑心暗鬼になっている。
発射試験は一年以上先の来年十月に予定されている。新島の民宿関係者は「来年こそはやってほしい」と話すが、先行きは不透明だ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20040914/mng_____kakushin000.shtml