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【ウィーン=石黒穣】国際原子力機関(IAEA)の定例理事会が13日開幕し、エルバラダイ事務局長は冒頭報告で、韓国が核拡散防止条約(NPT)の保障措置協定に基づく申告義務を怠って行った一連の実験について説明した。
その中で、韓国がこれまでに公表したプルトニウム抽出実験(1982年)、レーザー法によるウラン濃縮実験(2000年)以外にも、80年代にレーザー濃縮に適した形の金属ウランを申告義務を怠って生産していたことを明らかにした。
事務局長は、韓国の一連の実験について「深刻な懸念」を表明。この問題については、次回11月の理事会で改めて報告を行うと約束し、それまでに全容解明が進むよう韓国側に最大限の情報開示を行うよう協力を迫った。
報告によると、80年代、天然のウランを濃縮に適したものに変える転換施設3か所で金属ウラン150キロが生産された。このうち2・5キロがレーザー濃縮実験に使われたという。
保障措置協定では、転換施設について設計情報を申告して査察を受ける義務があり、生産された金属ウランについても数量を厳密に申告する義務がある。
レーザー濃縮では、金属ウランを高温加熱し、蒸気にしてからレーザーを照射する。専門家によれば、この蒸気を作る工程も試行錯誤が必要で、レーザー濃縮の本番に先立って関連実験を行った可能性がある。韓国が20年にわたって周到に計画を進めていた疑念も生まれている。
今度の理事会では、核開発疑惑のあるイランへの対応も焦点。米国や欧州と、濃縮ウラン量産への準備を進めるイランとの間で厳しい駆け引きが予想される。
(2004/9/13/22:19 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20040913it13.htm